『タンホイザー』初演に沸く!  ミュンヘン現地潜入レポート ~後編~

インタビュー・レポート 2017年6月 9日 15:20


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ヨーロッパで大きな話題になっているバイエルン国立歌劇場『タンホイザー』。

NBSスタッフが潜入した舞台裏レポートの後編をお届けします!










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 舞台の下手では『タンホイザー』の舞台装置を発見! この黄金の塊は、第3幕の巡礼たちの合唱の場面で使用されます。今回の演出では「金」がひとつのキーワードになっています。装置に照明があたるとどのような表情をみせるのでしょうか...ちなみに、黄金の塊の左にみえている肌色の塊は1幕のヴェーヌスベルクの場面で登場します。


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~『タンホイザー』 第3幕より~


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 舞台へと続くドアにはこんな張り紙(写真左)も!

「今回の『タンホイザー』では序曲の時に矢を射る演出があるのですが、その時に舞台をとおると大変危険なので、"序曲の演奏中は通り抜け禁止!"という注意です」(三浦さん)


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~『タンホイザー』 序曲の一場面~
 
                                                                              
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 こちらはオーケストラピット(写真左)と、ピットから仰ぎ見た客席の様子(写真右)。オーケストラの団員からはきっとこのような風景が見えているのでしょう。

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 コッホさんがおすすめする見所のひとつが劇場のロビー、「とても美しいので、訪れた際にはぜひ見ていただきたいです」とのこと。

 ちなみに、今回の『タンホイザー』は発売してすぐに全6公演がソールド・アウト。この日のボックスオフィスには「当日券は出てませんか?」と尋ねる人の姿が何度も見られました。















6回ものカーテンコール、ペトレンコに嵐のような拍手

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 会場にはこの歴史的な『タンホイザー』を観るために日本からかけつけたオペラファンの姿も! ドレスアップした2人の女性は「ペトレンコさんの大ファンです。いてもたってもいられなくて日本から飛んできました!」と語り、この日が3回目の鑑賞だというミュンヘン在住の女性は「ペトレンコはやはりこの劇場の人ですし、歌手もとても豪華ですからね。それに演出がカステルッチということでレジーシアターのファンも注目しているようです」とその人気を分析されていました。
 また、ひいきの歌手を日本から追ってきたという男性は「最近のオペラは奇抜な演出が多く、正直観るのに嫌気がさしていました。ですが、今日の舞台は大胆な演出を試みながら、歌手が音楽そのものに最も集中出来るよう配慮がされていて、第二幕後半の難しいアンサンブルの完成度も素晴らしかった。来てよかったと心から思います」とにっこり。
 公演がはじまり、満場の客席にペトレンコが登場すると演奏前からブラボーの声、2幕がはじまる前にはさらに多くのブラボー、3幕の開始前には嵐のような拍手と歓声がマエストロに贈られました。さらに、通常の公演では1回しかないというカーテンコールがなんと6回も! 拍手と観客が踏み鳴らす足音(ヨーロッパでは感動的な演奏をした芸術家に対し足を踏み鳴らして称える風習があります)は、いつはてるともなく続くのでした。












『タンホイザー』初演に沸く!  ミュンヘン現地潜入レポート ~前編~

インタビュー・レポート 2017年6月 6日 17:00




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9月の日本公演に先駆け、5月に幕をあけたバイエルン国立歌劇場『タンホイザー』。

その3回目の上演となる528日の公演にNBSスタッフが潜入!

現地で話題騒然となっている公演の舞台裏や客席の様子をご紹介します! 






                                                                               


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 バイエルン国立歌劇場は南ドイツ最大の都市、ミュンヘンの街の中央に位置する劇場。劇場の歴史は古く、1818年の創立以来ヨーロッパのオペラシーンを牽引し、カルロス・クライバーをはじめ、伝説的な指揮者が伝統を受け継いできました。


 「バイエルンでは"HOUSE GOD"と呼ばれている3名の作曲家がいます。モーツァルト、R・シュトラウス、そしてワーグナーです」そう語るのはバイエルン国立歌劇場に勤続28年という三浦真澄さん(舞台背景画家)。


 「私たちの劇場の歴史を語るうえでこの3名の作曲家は欠かせません。特にオーケストラ、合唱はこの作曲家のオペラを大事にしてきました。200年近く続いてきた伝統の"音色"があります。けっして他の団体には出せない音です」と、クリストフ・コッホさん(広報部部長)も熱く語ります。



 そんな歴史ある劇場は驚異の"広さ"も誇っています。「変形四面舞台とでもいうのでしょうか、メトロポリタンオペラの舞台よりも広いんですよ」と三浦さんが舞台裏に案内してくれました。

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メトより広い舞台面と、立体駐車場のような舞台そでのスペースにスタッフ驚愕!


 オペラを上演する際、"四面舞台"(客席から見えない舞台袖の中の上手(かみて)(右側)、下手(しもて)(左側)、奥舞台にも舞台と同じ広さが確保されていること)を備えている劇場が理想だといわれています。

 ところが、バイエルン国立歌劇場ではなんと舞台の約2倍ものスペースが上手、下手それぞれにあり、そのうえ複数の演目のパネルや背景幕がストックできるだけの広さをそなえた収納スペースまであるのです。丸めた背景幕は演目ごとに分けて収納され、その様子はまるで立体駐車場のようです。


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>>> レポート後半はコチラから!! 



新演出『タンホイザー』プロモーション動画

インタビュー・レポート 2017年5月26日 23:19


 世界中のオペラ・ファンが注目するなか、5月21日、名門バイエルン国立歌劇場でキリル・ペトレンコ指揮、クラウス・フロリアン・フォークト主演による『タンホイザー』のプレミエが行われました。その衝撃の舞台を鮮やかに映したプロモーション動画が届きました!
 
 


 
 初演に立ち会ったNBSのスタッフによると、オーケストラと合唱を極限まで緻密に作りこんできたペトレンコ采配の演奏は、神がかり的な美しさ。その中でフォークトが、あの美声を駆使して、見事に"タンホイザー"役のデビューを飾りました。

 また、鬼才ロメオ・カステルッチによる演出は、このサイトでも紹介した、カステルッチ独自のコンセプトに基づく「金の円盤、弓矢、肉、崩壊」といった象徴がつぎつぎと現れ、この上なく刺激的。プロモーション動画でもその面白さをぞんぶんに感じ取っていただけると思います。

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初演のカーテンコールより。前列左から2番目より、パンクラトヴァ、ペトレンコ、カステルッチ、フォークト。


 初日の客席を埋め尽くし、息を詰めて舞台に聴き入り見守っていた観客たちは、カーテンコールになるとペトレンコや歌手たちに最大級のブラボーを贈りました。いっぽう演出のカステルッチが登場すると、盛大なブーイングとブラボーとが入り乱れて場内は騒然。さまざまな視点を提示する新演出はコントラヴァーシャルな反応を引き起こしたものの、客席は大興奮だったとのことです。9月、日本で話題の舞台をぜひお確かめください!


※このプロモーション動画はミュンヘンで初演前に作成されたもので、実際の舞台とは演出が異なる部分があります。

photo:Wilfried Hoesl
 

 

ロメオ・カステルッチの語る 新『タンホイザー』~エピソード2「弓と矢」

公演関連情報 2017年5月23日 14:56



 世界中のオペラファン、音楽ファンが注目するバイエルン国立歌劇場『タンホイザー』プレミエ、5月21日にその歴史的な舞台の幕があきました。



LM0A2912.jpgバイエルン国立歌劇場 『タンホイザー』より



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写真右:ロメオ・カステルッチ(演出)


 公演の様子は公式ホームページでも改めてご紹介いたしますが、その前にロメオ・カステルッチの語る『タンホイザー』、演出コンセプト第2弾の映像をおとどけします。エピソード2では「弓と矢」がキーワードです。ぜひご覧ください!

 
cas2.jpgリハーサル風景より
© Bayerische Staatsoper Wilfried Hösl



(翻訳)
ロメオ・カステルッチの新演出におけるシンボル ~ エピソード2 「弓と矢」

弓と矢のイメージは台本から直接来ています。
ヴェーヌスベルクの前奏曲ではキューピッドがもつような矢がたくさん出てきます。
ワーグナーのヴェーヌスベルクの世界では、矢は愛を象徴すると同時に、矢が創る傷も象徴しています。
第1幕の後の方で、領主ヘルマンと騎士たちがハンター狩人として登場します。
すると矢が再び現れます。面白いことに、タンホイザーはいつも被害者です。
タンホイザーは常に追われるのです。まるで動物のように、獲物のように。
彼はヴェーヌスの世界(ヴェーヌスベルク)で捕らえられ、領主の世界(ヴァルトブルク)でも捕らえられる。
そしてタンホイザーはこれらの罠から逃れようとするのです。
対照的に、弓はハープを意味する部分があります。
音楽に詳しい考古学者たちは、弓というのは楽器の原始的な形を示していると言います。
弓はタンホイザーのハープを意味しているのかもしれません。
そして間違いなく、弓は、時を象徴しています。
つまり、タンホイザーとエリーザベトの物語は時というテーマと関係していると言えるでしょう。
二人は現世を超越した異次元でしか会うことはできないのです。





ロメオ・カステルッチの語る 新『タンホイザー』~エピソード1「金の円盤」

インタビュー・レポート 2017年5月19日 20:02



 いよいよ『タンホイザー』の初日まであと2日!
 バイエルン国立歌劇場では本番直前まで入念なリハーサルが行われており、連日のように現地ではニュースに取り上げられています。今回のプレミエが劇場にとっていかに大きな挑戦であるか、ミュンヘンの人々ならず、世界中のオペラファン、音楽ファンが注目している中、いよいよそのヴェールがはがされようとしています。

 
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左からクラウス・フロリアン・フォークト(タンホイザー役)、ロメオ・カステルッチ(演出)


 NBSのスタッフも5/18(木)に現地入り。リハーサルにお邪魔しましたが、マエストロ・ペトレンコとバイエルン国立歌劇場のオーケストラの紡ぎだす圧倒的な音色に完全にノックアウトされた様子。もちろん主役のフォークトをはじめ絶好調の歌手陣にも期待が高まるばかりです。

 
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© Bayerische Staatsoper Wilfried Hösl


そんな本番直前のさなか、演出を担当するロメオ・カステルッチが演出コンセプトを語るメッセージ映像が届きました!
今日から4回に分けてご紹介してまいります。初回は「金の円盤」をキーワードに語っています。ぜひご覧ください!



(翻訳)
ロメオ・カステルッチの新演出におけるシンボル ~ エピソード1 「金のディスク(円盤)」

円というのは、もっとも根源的な形状と言えるでしょう。
円は、目を意味し、盲点を意味し、そして何かが目の中に貫通するポイントを意味しています。
円はしばしばイメージのシンボルとして登場するとも言えるでしょう。
つまりもっとも純粋なイメージとも言えます。
円盤、金の円盤は、太陽の象徴でもあります。
突然に辺りを照らす太陽。
そして、タンホイザーは、その突然の明かりによって啓蒙され動かされるのです。
タンホイザーは、光をみるたびに聖母マリア、ヴェーヌス、エリーザベトの名前を思い起こします。いつも女性の名前を。
そしてそうした名前は、彼の中に稲妻のような効果をもたらします。
それはほとんど仏教とも言えるでしょう。再解釈された仏教。
金の円盤はつまり、タンホイザーの意識を突き抜ける光の筋を意味しているのです。



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