『タンホイザー』初演に沸く! ミュンヘン現地潜入レポート ~後編~
ヨーロッパで大きな話題になっているバイエルン国立歌劇場『タンホイザー』。
NBSスタッフが潜入した舞台裏レポートの後編をお届けします!
舞台の下手では『タンホイザー』の舞台装置を発見! この黄金の塊は、第3幕の巡礼たちの合唱の場面で使用されます。今回の演出では「金」がひとつのキーワードになっています。装置に照明があたるとどのような表情をみせるのでしょうか...ちなみに、黄金の塊の左にみえている肌色の塊は1幕のヴェーヌスベルクの場面で登場します。
~『タンホイザー』 第3幕より~
舞台へと続くドアにはこんな張り紙(写真左)も!
「今回の『タンホイザー』では序曲の時に矢を射る演出があるのですが、その時に舞台をとおると大変危険なので、"序曲の演奏中は通り抜け禁止!"という注意です」(三浦さん)
~『タンホイザー』 序曲の一場面~
こちらはオーケストラピット(写真左)と、ピットから仰ぎ見た客席の様子(写真右)。オーケストラの団員からはきっとこのような風景が見えているのでしょう。
コッホさんがおすすめする見所のひとつが劇場のロビー、「とても美しいので、訪れた際にはぜひ見ていただきたいです」とのこと。
ちなみに、今回の『タンホイザー』は発売してすぐに全6公演がソールド・アウト。この日のボックスオフィスには「当日券は出てませんか?」と尋ねる人の姿が何度も見られました。
6回ものカーテンコール、ペトレンコに嵐のような拍手
会場にはこの歴史的な『タンホイザー』を観るために日本からかけつけたオペラファンの姿も! ドレスアップした2人の女性は「ペトレンコさんの大ファンです。いてもたってもいられなくて日本から飛んできました!」と語り、この日が3回目の鑑賞だというミュンヘン在住の女性は「ペトレンコはやはりこの劇場の人ですし、歌手もとても豪華ですからね。それに演出がカステルッチということでレジーシアターのファンも注目しているようです」とその人気を分析されていました。
また、ひいきの歌手を日本から追ってきたという男性は「最近のオペラは奇抜な演出が多く、正直観るのに嫌気がさしていました。ですが、今日の舞台は大胆な演出を試みながら、歌手が音楽そのものに最も集中出来るよう配慮がされていて、第二幕後半の難しいアンサンブルの完成度も素晴らしかった。来てよかったと心から思います」とにっこり。
公演がはじまり、満場の客席にペトレンコが登場すると演奏前からブラボーの声、2幕がはじまる前にはさらに多くのブラボー、3幕の開始前には嵐のような拍手と歓声がマエストロに贈られました。さらに、通常の公演では1回しかないというカーテンコールがなんと6回も! 拍手と観客が踏み鳴らす足音(ヨーロッパでは感動的な演奏をした芸術家に対し足を踏み鳴らして称える風習があります)は、いつはてるともなく続くのでした。