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2008/06/06
モーリス・ベジャール・バレエ団 記者会見開催【06/17追記】

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いよいよ6月8日(日)に、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)2008年日本公演が開幕します。

初日に先駆けて、6月5日(木)に都内のホテルで、ベジャールの死後、芸術監督としてBBLを率いるジル・ロマン、BBLの中心ダンサーであるジュリアン・ファブロー、エリザベット・ロス、カトリーヌ・ズアナバール、そして副芸術監督を務めるジュリオ・アロザレーロによる記者会見が行われました。




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【左より】

カトリーヌ・ズアナバール、ジュリオ・アロザレーナ、ジル・ロマン、エリザベット・ロス、ジュリアン・ファブロー



記者会見の冒頭、ジル・ロマンは、「モーリス・ベジャールにとって日本は第二の故郷というほど大切な国でした。また、モーリスのおかげで私たちは日本を訪れ、日本で踊り、日本を知ることができました。残念ながら今回モーリス・ベジャールはおりませんが、またこうして来日できたことを幸せに思っております」と挨拶。
ベジャールが亡くなって初めての日本公演ということもあり、質疑応答ではそれぞれの現在の思いや今後のBBL方針など、記者から活発な質問が飛び出しました。






[6/13追記]

k.hasegawa0036.jpg――――私自身ベジャールさんの死がまだ実感できないが、どんなときにベジャールさんはまだ側にいると感じるのか、どんなときに「もういないのだ」と感じるのかをお聞かせください。



ジル・ロマン「私もモーリスは死なない人だと思っていました。モーリスは瞬間、瞬間に私の中に存在しています。モーリスの作品、振付が私たちを豊かにしてくれていますし、彼の作品を踊るたびにモーリスを感じます。モーリスはパ(ステップ)とともにあると思っているんです。振付というのはパだけではではありません。精神性、エスプリなのです。振付を踊るということは、やはり一生かけて歩む道であると思いますし、作品を踊り込めば、踊りこむほど、モーリスに近づけるような気がします」


ジュリアン・ファブロー「僕も一瞬一瞬、モーリスのことを意識しています。そして、リハーサルスタジオにも舞台の上にもモーリスは存在しています。僕はBBLとともに、モーリス・ベジャールとともに、ベジャールの作品とともにこれまで生きてきましたので、人生すべてにモーリスが存在しているのです」


エリザベット・ロス「一日たりともモーリスのことを語らないことはありません。リハーサル中も、「モーリスはこんなことを望んでいたね」と必ずモーリスのことが話題にのぼりるんです。彼はいつも私たちの意識の中にいます」


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―――これまで数え切れないベジャール作品を踊っていると思いますが、今、ここで聞かれ、最初に頭に浮かんだベジャールさんの振付作品は何ですか。



ジル「今、頭に浮かんだのは『アダージェット』です。この作品は自分にとって特別な作品であり、長いストーリーが背景にはあるからです。19歳ではじめて踊り、今に至るまで踊り続けていますし、ジョルジュ・ドンから受け継いだ作品ということでも意味が深い作品なのです。しかし、どの作品も大切です。私はいまだに自分がどのような人間であるかがわからないでいるのですが、作品を踊り続けることで、ベジャーが創ってくれた道を一歩一歩進んでいることで、自分が誰であるかを最後に発見できるのではないかと思います」


ジュリオ・アロザレーロ「『火の鳥』ですね。それまでベジャールのこともストラヴィンスキーのことも知らなかったが、この作品を観て「絶対にこの作品を踊りたい」と思い、実際にその夢が叶った作品です」


カトリーヌ・ズアナバール「『バクチ』です。この作品で初めて主役を務めたという意味であげました」


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―――今後のBBLの方向性は。


ジル・ロマン「モーリスは「ダンサーの価値を高めることが、作品創りにおいて最も大切」だということを教えてくれた、ベジャール作品はたくさんの作品がありますが、BBLのダンサーを見ながら、柔軟性をもって、ダンサーがより自己表現できる、観客に理解されるであろう作品を選んでいきたいと思います。具体的には2009年4月に『コンクール』を上演することが決まっています。
確実に言えるのは、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)は今後もBBLという名前で活動を続けていくということです。ベジャール作品を深く踊りこんできた私たちは、新しい世代にベジャール作品を伝えていく役割があります。一方で、新しい栄養(作品)をダンサーに与えることも必要です。私自身も振付をしていくつもりですし、外部から振付家を招くことも考えています。ベジャール作品を踊って伝えることと同時に新しい作品を創り出していくという2本柱で進んでいくことになるでしょう」



―――ベジャールさんの言葉で印象に残っているのは?


ジル・ロマン「本質的に大切なことを学んだのはスタジオで、全て身体を通して伝えられたものです。敢えてあげるとすれば、モーリスがよく私に言っていたニーチェの言葉「自分自身でありなさい」ですね」


ジュリオ・アロザレーナ「モーリスは「踊りなさい」とよく言っていました。「踊る」という言葉でしょうか」


ジル・ロマン「皆さんもよくご存知のゲーテの「もっと光を!」という有名な言葉がありますが、モーリスは「もっとダンスを!」と言っていました。モーリスにとってはダンスこそが光であったのでしょう」



―――日本のファンへのメッセージを。


ジル・ロマン「日本の皆さん大好きです! いつもあたたかく迎えていただき、本当にありがとうございます。これからもあたたかく見守り、支えてくださり感謝しております。これからもベジャールが残した作品を上演して、いい形で新しい作品発表していきたいと思いますので、末永く応援してください」



※演劇ポータルサイト「シアターガイド」に記者会見記事が掲載されました。
シアターガイド

※チャコットのweb-magazine「DANCE CUBE」に記者会見の記事が掲載されました。
チャコット「DANCE CUBE」