1989年生まれのガブリエル・アレナス・ルイーズは、まさに新世代のベジャール・ダンサー。BBL入団4年にして数々の主要な役柄を任されている期待の若手です。
──日本公演で上演される『ライト』で踊っている"裕福な者"とは、どんな役柄ですか?
私が登場するのは豪華な空間、ヴェネツィアの宮廷のような場所で展開する複数の場面。私が踊っている"裕福な者"は、"侯爵"とも呼ばれている役柄です。彼はメセナ、芸術のパトロンです。真白に化粧をし、立派なウイッグをかぶるので、この役の準備には時間がかかるんですよ。
冒頭のシーンで、侯爵は誕生のシンボルである卵を、エリザベット・ロスが踊る母親に持ってきます。侯爵の周囲には、侯爵夫人、オスカー・シャコンが踊るヴィヴァルディ("赤毛")、宮廷人たちがいて、舞台はバロックの雰囲気に包まれます。このバレエでは数々のソロが踊られ、どれもダンサーにとっては非常に難しい踊りなのですが、とても美しいですよ。
──難しい役柄でしたか?
最初は少し心配でしたが、とても自然に取り組むことができました。洗練と優雅さ、控えめさが要求される役柄ですから、その高貴さを表現するためにずっと"自信満々"な顔をしていなければならない。それがうまくいったんですね。
この役を演じるのが大好きです。訴えかけてくる人物、自分と何か共通点のある人物について語るのは好きですね。こうした役柄には徹底的に打ち込みます。あらゆる振付は、ダンサーがその振付を生きること、その振付の精神に憑依されることを強いるもの。それによって、作品を観客の皆さんに伝えることが可能になるのです。

──『ライト』の初演は1981年ですね。ベジャールの過去の作品に取り組むことについて、どう感じていますか?
モーリス・ベジャールの作品に取り組む際には、過去への敬意を持つ必要があります。現代から見れば、時代的に少々ズレを感じます。『ライト』で使用されているさまざまな音楽から、当時のモーリスの表現の意図を思い浮かべることができました。作品が誕生した当初は前衛的だったザ・レジデンツの音楽が、今日では当時と同じように感じられない、それも時代のズレを感じる理由でしょう。けれども『ライト』のストーリーは、現代のダンサーそして観客に直接に語りかける普遍的なテーマをいくつも含んでいます。『ライト』はとても美しいバレエだと思います。
日本公演では『ディオニソス組曲』、またジル・ロマン振付『シンコペ』でも重要な役柄を担います。80年代の傑作を踊りながら、新たな作品への創作にも参加と、カンパニーに不可欠な存在として、そのキャリアを着実に積み重ねています。
──では、Aプロで上演される『ディオニソス組曲』の魅力について、作品の魅力を教えてください。
舞台は、ギリシャの怪しげなタベルナ(酒場)です。ギリシャ人のカップル、水兵たち、ジゴロ、娘たちがいます。ディオニソス、そして全体を通して重要となる母親的人物もいます。陽気なバレエで、悲劇は起こらず、非常にダイナミックで音楽も素晴らしい。女性アンサンブルは喜びに溢れた快活なダンスを踊ります。彼女たちはディオニソスを凄くセクシーに魅惑するんですよ。終盤の男性たちのダンスは、まるでお祭りみたいで非常にフィジカル。舞台の後は心地良い疲労感が残ります。
──この作品での役柄は?
私が踊っているのは、2人いる水兵のうちの1人。とても自然な雰囲気を醸しているバレエですから、人物を演じ過ぎないことが重要です。ただし、見かけは自然でも、振付は身体的にとてもハードで、たくさんのダンス・ポジションを含んでいます。
カンパニーでギリシャを旅したことがあるのですが、確かに、この作品と同じ雰囲気を感じたんです。カンパニーのツアーは、常に私たちを豊かにしてくれるもの。他国での発見を自分たちのダンスに取り入れ、関係性を築き上げ、それを自分のものにしようと努力しています。
──ジル・ロマンの作品、『シンコペ』も踊っていますね。
このバレエの筋は、フランス語で"サンコップ(シンコペ)" という語が持つ二つの意味に拠っています。それは人間の心臓のリズムが止まる瞬間であると同時に、音楽におけるリズムの要素の一つでもある。けれども、作品の主要なテーマは、イマジネーション、そして記憶です。この作品の世界観、深遠さのなかに現れるユーモアは、すぐに私に訴えてきました。私たちの世界とは全く違う世界に包みこまれるのです。
──踊っているのはどんな役柄ですか?
孤独、複数の思い出、そして思い出による癒しを物語るのが、私の役。パートナーはエリザベット・ロスで、彼女は私の人生を照らし、私を支え、バレエの内部へ連れて行きます。私はこの役をとても気に入っています。私はこの作品で、伝達すべき新しい感覚を見出しました。この仕事は私を成長させてくれたのです。
──では、あなたにとってモーリス・ベジャールとは?
モーリスは人間的に本当に心打たれる人物でした。ジルも同じです。モーリスの人間的な一面は、私たちにとって一種の教訓となっています。私は彼を非常に尊敬しているし、彼の作品を踊ることは本当に自分を豊かにしてくれる。が、クリエーションへの参加は、さらに一層、自分を豊かにしてくれます。ジルの作品で、私はより自由を感じます。振付家が自分たちのために一緒にクリエーションをしてくれるのは幸運なことです。それはムーヴメント誕生の特別な瞬間であり、そのとき私たちの身体は真に何かを語るのです。

更新履歴: 2013年1月アーカイブ
英国ロイヤル・バレエ団2010年日本公演で収録された、ケネス・マクミラン振付「ロミオとジュリエット」(全編)の再放送が決定いたしました。
ジュリエット役は、この公演が英国ロイヤル・バレエ団との最後の共演になった吉田都。ロミオ役を演じるのは、八面六臂の活躍を続け、今年の英国ロイヤル・バレエ団日本公演でも「不思議の国のアリス」、「白鳥の湖」に主演するスティーヴン・マックレー。
7月の来日公演の前に、気品と伝統に満ちた英国ロイヤル・バレエ団の魅力をたっぷり味わってください。
英国ロイヤル・バレエ団
「ロミオとジュリエット」
●番組名:Eテレアーカイブス
●放送日時:2月16日(土)
00:00~2:21(金曜深夜)
●放送局:NHK Eテレ
photo:Kiyonori Hasegawa
これまでの日本公演でも『バレエ・フォー・ライフ』、『火の鳥』をはじめ、さまざまな作品で重要な役柄を踊り、BBLの活動の中核を担うダンサーとして、その存在感を印象づけてきた那須野さん。インタビューでは、今回の日本公演で上演される『ディオニソス組曲』の魅力、ベジャール作品への思いについて語ってくれました。
──『ディオニソス組曲』の魅力を教えてください。
40分程度の長さの作品ですが、これは長編バレエ『ディオニソス』からの抜粋です。明確なストーリーはなく、モーリス・ベジャールのクラシックなスタイルによる作品です。バレエは静寂と暗闇の中で始まり、さまざまなダンスを経て、エネルギーに満ちあふれた男性アンサンブルで終わります。
このバレエは、なんと言っても男性のバレエだと強く感じます。タベルナ(酒場)のシーンの一つで、僕は若者を踊ります。そのあとに男性ダンサー全員が、ヴェルサーチのデザインした独特のフォルムの赤いパンツ姿で登場します。全員が半円を描いて座り、独特な雰囲気とエネルギーが生まれ、同じ音楽が何度も繰り返される。それはまさに日本のお祭りのようです。

──では、那須野さんにとって、モーリス・ベジャールとは?
ダンスの神様であると同時に、カンパニーのメンバーと付属学校の生徒みんなの祖父でした。モーリス・ベジャールは、私のことを"サンジュ(猿)" と呼んでいて、たくさん跳躍があり、速いリズムの音楽を使ったフィジカルな作品をいろいろ練習させてくれました。スタジオにモーリスと一緒にいること、彼と一緒に仕事をすること、それだけでも既にとても意味深く、強烈な経験でした。今は、まだ知らないモーリスのバレエを踊りたいという気持ちもあります。カンパニーの提案に沿って、取り組んでいきたいですね。

モーリス・ベジャール没後5年記念シリーズII
<ベジャール・ガラ>
振付:モーリス・ベジャール 振付指導:小林十市
◆主な配役◆
「ドン・ジョヴァンニ」 音楽:フレデリック・ショパン (モーツァルトの主題による)
ヴァリエーション 1:加藤くるみ、三雲友里加、高浦由美子
ヴァリエーション 2:矢島まい
ヴァリエーション 3:河合眞里、伝田陽美
ヴァリエーション 4:乾友子
ヴァリエーション 5:奈良春夏
ヴァリエーション 6:渡辺理恵
シルフィード:吉川留衣
「中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク
無頼漢の首領:森川茉央
第二の無頼漢―娘:小笠原亮
ジークフリート:柄本弾
若い男:田中結子
中国の役人:木村和夫
「ギリシャの踊り」 音楽:ミテキ・テオドラキス
I.イントロダクション
II.パ・ド・ドゥ(二人の若者):宮本祐宜-岡崎隼也
III.娘たちの踊り
IV.若者の踊り
V.パ・ド・ドゥ:小出領子-梅澤紘貴
VI.ハサピコ:上野水香-高岸直樹
VII.テーマとヴァリエーション
ソロ:後藤晴雄
パ・ド・セット:西村真由美、乾友子、高木綾、渡辺理恵、村上美香、吉川留衣、矢島まい
フィナーレ:全員
※音楽は特別録音によるテープを使用します。
◆上演時間◆
「ドン・ジョヴァンニ」 15:00 ~ 15:25
休憩 15分
「中国の不思議な役人」 15:40 ~ 16:15
休憩 20分
「ギリシャの踊り」 16:35 ~ 17:10
モーリス・ベジャール没後5年記念シリーズII
<ベジャール・ガラ>
振付:モーリス・ベジャール 振付指導:小林十市
◆主な配役◆
「ドン・ジョヴァンニ」 音楽:フレデリック・ショパン (モーツァルトの主題による)
ヴァリエーション 1:川島麻実子、河谷まりあ、沖香菜子
ヴァリエーション 2:阪井麻美
ヴァリエーション 3:高木綾、岸本夏未
ヴァリエーション 4:西村真由美
ヴァリエーション 5:奈良春夏
ヴァリエーション 6:上野水香
シルフィード:吉川留衣
「中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク
無頼漢の首領:後藤晴雄
第二の無頼漢―娘:小笠原亮
ジークフリート:柄本弾
若い男:西村真由美
中国の役人:小林十市
「火の鳥」 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
火の鳥: 木村和夫
フェニックス:柄本弾
パルチザン:乾友子、奈良春夏、川島麻実子*
氷室友、宮本祐宜、梅澤紘貴、岡崎隼也、吉田蓮
※当初の発表より、*印のキャストが変更となっております。何卒、ご了承ください。
※音楽は特別録音によるテープを使用します。
◆上演時間◆
「ドン・ジョヴァンニ」 15:00 ~ 15:25
休憩 15分
「中国の不思議な役人」 15:40 ~ 16:15
休憩 20分
「火の鳥」 16:35 ~ 17:00
東京バレエ団
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」
◆主な配役◆
オーロラ姫:吉川留衣
デジレ王子:宮本祐宜
リラの精:二瓶加奈子
カラボス:伝田陽美
カタラビュット(式典長):岡崎隼也
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ
<プロローグ・第1幕>
乳母:河合眞里
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、杉山優一
オーロラの友人:河谷まりあ、政本絵美、加藤くるみ、三雲友里加
<第2幕>
フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:政本絵美
◆上演時間◆
<プロローグ・第1幕> 16:00 - 16:45
休 憩 15分
<第2幕> 17:00 - 17:40
---------------------------
主催:
公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
後援:東京バレエ協議会/品川区教育委員会
東京バレエ団
子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」
◆主な配役◆
オーロラ姫:沖香菜子
デジレ王子:松野乃知
リラの精:渡辺理恵
カラボス:矢島まい
カタラビュット(式典長):氷室友
王さま:永田雄大
王妃さま:小川ふみ
<プロローグ・第1幕>
乳母:河合眞里
優しさの精:村上美香
やんちゃの精:岸本夏未
気前よさの精:大塚怜衣
のんきの精:古閑彩都貴
度胸の精:阪井麻美
4人の王子:梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、杉山優一
オーロラの友人:河谷まりあ、二瓶加奈子、政本絵美、三雲友里加
<第2幕>
フロリナ王女と青い鳥:三雲友里加、梅澤紘貴
白い猫と長靴をはいた猫:岸本夏未、吉田蓮
赤ずきんとおおかみ:古閑彩都貴、森川茉央
シンデレラとフォーチュン王子:村上美香、杉山優一
白雪姫:政本絵美
◆上演時間◆
<プロローグ・第1幕> 12:30 - 13:15
休 憩 15分
<第2幕> 13:30 - 14:10
---------------------------
主催:
公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
後援:東京バレエ協議会/品川区教育委員会
