Movie: 2011年1月アーカイブ

東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」リハーサルレポート

取材・文:高橋森彦(舞踊評論家)


 現代バレエに革命をもたらしたモーリス・ベジャールが世を去って早3年。巨匠の厚い信頼を勝ち得てきた東京バレエ団が、新たなベジャール・レパートリーに挑む――。珠玉の名作群をベジャール作品の申し子、ジル・ロマンが編み直した「ダンス・イン・ザ・ミラー」の開幕が迫るなか、東京バレエ団スタジオで公開リハーサルが行われた。
 披露されたのは、冒頭に上演される『現在のためのミサ』ソロ&アンサンブル、"ラ・ダンス"と名付けられた場面だ。1967年に20世紀バレエ団が初演したもので、宗教儀式・祈りを主題とする。サイケデリックな興奮に満ちたピエール・アンリの音楽にのせたこの作品を皮切りに、"東京バレエ団が、モーリスの歩んだ道程を改めて知る旅"(ロマンによるプログラムノート)へと誘われる。
 ダンサーたちの、白のスニーカーにジーンズ姿という格好は、上着こそ違うとのことだが、本番同様という。芸術監督の飯田宗孝、バレエミストレスの友田弘子が見守るなか振付指導の那須野圭右(モーリス・ベジャール・バレエ団)が厳しくチェックを行い、緊張感の漂うリハーサルとなった。
 まずは女性群舞の確認から。寝転びつつ手を挙げ起き上がったり、腰を落としたりといった動きを経て、鳥が翼を羽ばたかせるように両手を上下させていったりする。手をはばたかせる振付の際、すかさず那須野の注意が入る。「手や肘でなく胸を起点として大きく回すように」。すると、見違えるように生気を増した動きへと変わってくる。
 続いて男性陣。上半身を大きく肉感的に用いた"ベジャール振り"を小気味よくこなすさまは壮観だ。その後出演者総出の通しへ。男女のパ・ド・ドゥで埋め尽くしたユニゾンは迫力満点で、小走りする、ひざまずいて祈るといった振付等や高岸直樹のソロも印象に残る。ダイナミックな動きのなかに深い精神性を湛えた秘儀空間が立ちあがった。

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 リハーサル終了後、那須野と「進行役」として多くの場面に登場するという木村に話を聞くことができた。
 那須野は、ロマンが公演前に来日して最後の仕上げを行うまでの指導を一任された。ベジャール作品を踊るに際し重要なのは「エナジー」と断言する。「(ベジャール作品は)形ではなく精神を伝えなければ意味がない」。バレエ学校時代から数えて10年にわたって晩年の巨匠の謦咳に接してきた自負は、熱心な指導ぶりからも伝わってきた。
 木村は、今回『火の鳥』のタイトル・ロールを踊る。自身何回踊ったか覚えていないと語るくらい踊り込んでいるが、踊ったあと目の前が真っ暗になるほど精魂を使い果たすという。那須野の助言も受けて心機一転挑むという『火の鳥』の演技、物語の進行者としての存在感に注目したい。
 "亡き偉大なベジャールへの祈りと、未来への希望"という構想に基づく「ダンス・イン・ザ・ミラー」は、"生きよ、踊り続けよ"というベジャール不変のメッセージを改めて実感させる舞台となりそうだ。

photo:Kiyonori Hasgeawa



●「ダンス・イン・ザ・ミラー」リハーサル映像



三者三様、熱風を巻き起こす「ボレロ」

吉田 裕(舞踊評論)


上野水香──  しなやかに謳う肢体が魅せる「決定版」メロディー

11-01.19-bolero01.jpg いま現在、本家のベジャール・バレエ以外では、彼女こそが「決定版」として人々の脳裏に焼き付いているのではないか。実際、国の内外を問わず、上野のしなやかに謳う肢体の神秘性に、客席は沸きに沸いた。その所作が訴えかけるベジャールの本意が声を発するとき、会場全体が圧倒的な高揚感に包み込まれてきたのである。
 だが、上野の凄みはそこにとどまらない。というのも、彼女のステージにはつねに驚きがあるからだ。同じ振付を二度とは同じ解釈では踊らない、という驚きが。たとえば、あるときは静かな闘志を燃やす挑戦者、あるときは獲物を狙う俊敏な豹、またあるときは天高く舞い上がる鷹 ──。豊かに膨らむイメージを喚起しつつ、舞台が生ものであるという実感を、上野ほど如実に呼び起こすメロディーはほかにはいない。
 次はどのような存在が目の前に立ち現われるのか。その謎が明かされる瞬間は近い。


高岸直樹──  元祖メロディーから円熟のメロディーへ

11-01.19-bolero03.JPG この名作がカンパニーのレパートリーとなったその日から、彼はいわば日本におけるメロディーの一番手、すなわち元祖だった。それまでのほかの誰とも似ていない、正真正銘の「アジアの雄」、そんな栄えある像を確立したパイオニアである。
 その本質を一言でいえば、トップ・アスリートのストイシズム、そして太陽神とでも評すべき大らかな男性性。いうなれば、はがねのような身体と、それを支える精神の高潔さ。これが、高岸が繰り出す『ボレロ』の興奮の源だ。赤い円卓の中心に在って揺るぎないリーダーシップを示しつつ、リズムたちの信頼を一身に集め、彼らに投げかける眼差しの一つひとつにも、大海原のように豊かな慈愛が満ちている。まさに高岸の舞踊人生を象徴しているかのようだ。彼のキャリアの深化に合わせ、このメロディーがさらに重厚化し、かつ完成の域に至っていることへの興味は尽きない。


後藤晴雄──  進化し続ける幻惑のメロディー

11-01.19-bolero02.jpg 2009年2月、彼はここ東京で初めてこの役を披露した。そのときの残像は、いま
だ記憶のすみずみまでをも覆っている。それまでの後藤のイメージを一新するかのような、謎めいた衝撃が走ったからにほかならない。
 客席に微笑みかけるように、柔らかな空気で始まった彼のメロディー。燃えるような激しさとも、また憑かれたような情熱とも一見距離があるものの、音楽とともに、いつの間にやら巻き込まれ、気がついてみるとすっかり幻惑し尽くされていた。が、これがなぜか無類に心地よい。全編をとおし、得体の知れぬマイルドな野生が彼を内面から衝き動かしていた。こんな『ボレロ』は見たことがなかったのである。
 「後藤のメロディーには、まだまだ先がある!」、と多くの観客に確信させたことだけは疑いがない。今後の進化を永く見続けたいとの思いを、皆が強烈に抱いている。

photo:Kiyonori Hasegawa



●東京バレエ団が誇る3人の「ボレロ」ダンサー。映像でもご覧ください!




日が変わってしまったため「昨日」のこととなってしまいましたが、初日前日のベルリン国立バレエ団の様子をお伝えします。

皆さんもよくご存知のとおり、バレエダンサーの一日は「クラスレッスン」からスタート。
まずはリハーサル室と舞台の二手に分かれクラスを行っていました。

こちらはリハーサル室でのクラス。

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左の写真の一番右にいるのがマラーホフ。今日もマラーホフ・ブランドの稽古着で。
右の写真には、ママの近くで、赤いボールで遊んでいる、ヤーナ・サンレコの息子マーレイくんの姿も。大人しくママのレッスンを見守る(?)マーレイくんは、すっかりクラスに溶け込んでいました。

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舞台では、昨日(正確には一昨日ですが・・・)もご覧いただいた、「シンデレラ」の電飾装置に階段が加わって、より華やかに。

そして、17時からは「シンデレラ」のゲネプロが行われました。

初日(15日)の13時30分、2日目(16日)の「シンデレラ」に主演するポリーナ・セミオノワは、来日する毎に、より洗練され、美しくなっているように思います。
このマラーホフ版「シンデレラ」は、ボリショイ・バレエ学校でマラーホフに見出され、彗星のごとくベルリンに登場したとなったポリーナに想を得て創られた作品。
最後にスポットライトを浴びるシンデレラと、今や押しも押されぬバレエ界のスターとなったポリーナが、ひとつに重なって見えてくるに違いありません。

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ヤーナ・サレンコとマリアン・ヴァルターのペアも1幕の一部分だけ登場。童話の世界から抜け出したような"かわいい"という表現がピッタリの2人。本番がますます楽しみになってきました。

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マラーホフ版「シンデレラ」で忘れてはならないのが、シンデレラの先輩ダンサーたち。
こちらの記事でご覧いただいた衣裳を付けて、でもゲネプロなのでヘアメイクなしで登場したマラーホフ。そんなことを感じさせないほど、見事な演技と愛嬌で、女役を演じ切っていました。
この写真のポーズ、たまらなくチャーミングだと思いませんか?

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ゲネプロも無事に終わり、舞台の準備も万端。
あと、12時間で初日の幕が開きます。

最後に開幕直前メッセージ第2弾をお届けしましょう。
かわいいヤーナ・サレンコのかわいいメッセージです。



初日の公演は13時30分と18時の2回。いずれも90分前から当日券を発売いたします。
皆さまのご来場、お待ちしております。

遅くなりましたが、昨日の記事でお知らせした、ウラジーミル・マラーホフの開幕直前ビデオメッセージをお届けします。




ビデオメッセージでご覧いただきましたとおり、マラーホフからの「スペシャルプレゼント」が急遽決定いたしました!
マラーホフの出演公演(下記5公演)にご来場いただいたお客様の中から、各公演抽選で1名様に、マラーホフが心をこめて書いたスペシャルなサイン入り、愛用のバレエシューズをプレゼントいたします!
新春ですのでちょっと豪華に、これまたマラーホフのサイン入り「チャイコフスキー」の舞台写真も一緒にプレゼントいたします。
2000人を超える来場者の中で、マラーホフの愛がたっぷり詰まった「スペシャルプレゼント」を受け取ることができるのは、1名様だけ! 
2011年の運を占う、またとない機会です?! ぜひご来場ください!


◆マラーホフからの「スペシャルプレゼント」対象公演◆

 (1) 「シンデレラ」 1月15日(土) 13:30開演
 (2) <マラーホフ・ガラ> 1月18日(火) 18:30開演
 (3) 「チャイコフスキー」 1月20日(木) 18:30開演
 (4) 「チャイコフスキー」 1月22日(土) 15:00開演
 (5) 「チャイコフスキー」 1月23日(日) 15:00開演


●ベルリン国立バレエ団のチケットはこちらから

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