東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」リハーサルレポート
現代バレエに革命をもたらしたモーリス・ベジャールが世を去って早3年。巨匠の厚い信頼を勝ち得てきた東京バレエ団が、新たなベジャール・レパートリーに挑む――。珠玉の名作群をベジャール作品の申し子、ジル・ロマンが編み直した「ダンス・イン・ザ・ミラー」の開幕が迫るなか、東京バレエ団スタジオで公開リハーサルが行われた。
披露されたのは、冒頭に上演される『現在のためのミサ』ソロ&アンサンブル、"ラ・ダンス"と名付けられた場面だ。1967年に20世紀バレエ団が初演したもので、宗教儀式・祈りを主題とする。サイケデリックな興奮に満ちたピエール・アンリの音楽にのせたこの作品を皮切りに、"東京バレエ団が、モーリスの歩んだ道程を改めて知る旅"(ロマンによるプログラムノート)へと誘われる。
ダンサーたちの、白のスニーカーにジーンズ姿という格好は、上着こそ違うとのことだが、本番同様という。芸術監督の飯田宗孝、バレエミストレスの友田弘子が見守るなか振付指導の那須野圭右(モーリス・ベジャール・バレエ団)が厳しくチェックを行い、緊張感の漂うリハーサルとなった。
まずは女性群舞の確認から。寝転びつつ手を挙げ起き上がったり、腰を落としたりといった動きを経て、鳥が翼を羽ばたかせるように両手を上下させていったりする。手をはばたかせる振付の際、すかさず那須野の注意が入る。「手や肘でなく胸を起点として大きく回すように」。すると、見違えるように生気を増した動きへと変わってくる。
続いて男性陣。上半身を大きく肉感的に用いた"ベジャール振り"を小気味よくこなすさまは壮観だ。その後出演者総出の通しへ。男女のパ・ド・ドゥで埋め尽くしたユニゾンは迫力満点で、小走りする、ひざまずいて祈るといった振付等や高岸直樹のソロも印象に残る。ダイナミックな動きのなかに深い精神性を湛えた秘儀空間が立ちあがった。

リハーサル終了後、那須野と「進行役」として多くの場面に登場するという木村に話を聞くことができた。
那須野は、ロマンが公演前に来日して最後の仕上げを行うまでの指導を一任された。ベジャール作品を踊るに際し重要なのは「エナジー」と断言する。「(ベジャール作品は)形ではなく精神を伝えなければ意味がない」。バレエ学校時代から数えて10年にわたって晩年の巨匠の謦咳に接してきた自負は、熱心な指導ぶりからも伝わってきた。
木村は、今回『火の鳥』のタイトル・ロールを踊る。自身何回踊ったか覚えていないと語るくらい踊り込んでいるが、踊ったあと目の前が真っ暗になるほど精魂を使い果たすという。那須野の助言も受けて心機一転挑むという『火の鳥』の演技、物語の進行者としての存在感に注目したい。
"亡き偉大なベジャールへの祈りと、未来への希望"という構想に基づく「ダンス・イン・ザ・ミラー」は、"生きよ、踊り続けよ"というベジャール不変のメッセージを改めて実感させる舞台となりそうだ。
●「ダンス・イン・ザ・ミラー」リハーサル映像
いま現在、本家のベジャール・バレエ以外では、彼女こそが「決定版」として人々の脳裏に焼き付いているのではないか。実際、国の内外を問わず、上野のしなやかに謳う肢体の神秘性に、客席は沸きに沸いた。その所作が訴えかけるベジャールの本意が声を発するとき、会場全体が圧倒的な高揚感に包み込まれてきたのである。
2009年2月、彼はここ東京で初めてこの役を披露した。そのときの残像は、いま





