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2014:11:04:19:21:482014/11/04   

シルヴィ・ギエム、現役最後となる2015年ファイナル・ツアーを発表!

デビュー当時から100年にひとりの天才と称され、35年近くにわたって世界中の観客を魅了してきたシルヴィ・ギエムが、このたび〈ライフ・イン・プログレス〉と題した現役最後となる世界ツアーの概要を、英国ロンドンのサドラーズ・ウェルズを通じて発表いたしました。ギエムは本年8月弊財団を通じて日本の観客に向けて引退の表明を行いましたが、このたびのファイナル・ツアーの公式発表はロンドン、パリ、イタリア、そして日本において同時に行うものです。

このファイナル・ツアーはイタリアのモデナで2015年3月31日にスタートし、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場(5/26-31)を含む世界各地を公演して、12月日本で最終日を迎えることになります。日本以外の公演地では、振付家アクラム・カーンとラッセル・マリファントの新作、マッツ・エックの「バイ(アジュー)」、ウィリアム・フォーサイスの作品が上演される予定です。

日本公演につきましては、弊財団の制作、東京公演については弊財団の主催により実施し、全公演で東京バレエ団が共演いたします。また東京以外に他都市での公演を含め、3週間ほどの日程となる予定です。公演日程・演目・料金等につきましてはただいま調整中につき、決まり次第の発表とさせていただきます。

シルヴィ・ギエムはパリ生まれ。体操選手として12歳でオリンピック予選を通過し、パリ・オペラ座バレエ学校で研修を受けたのを契機にバレエに転向。1981年にパリ・オペラ座バレエ団に入団し、史上最速の19歳でパリ・オペラ座バレエ団のエトワールの座に登りつめました。後に英国ロイヤル・バレエ団に移籍して「国家的損失」と言わしめ、以後、古典バレエを極めたのはもとより、演劇的作品に進境を示し、コンテンポラリーで独自の境地を拓くなど幅広く活躍。バレエ界の女王、スーパースターとして世界に君臨してきました。2011年、日本が大震災に見舞われた際には〈HOPE JAPAN〉と銘打ってパリ、東京で被災者支援のチャリティ・ガラを開催。続けて全国ツアーを行い、被災地の福島、岩手公演で「ボレロ」を踊って人々を勇気づけたことは記憶に新しいところです。

この舞台人として最後となる引退公演について、シルヴィ・ギエムから次のメッセージが届いております。併せてご覧ください。




シルヴィ・ギエムのメッセージ


14-11.04ギエム ラストツアー発表.jpg 39年前、わたしがダンサーとして、初めてしたレヴェランスは予期しない急ブレーキをかけて「横滑り」をしながらのものでした!

 当時わたしたち「パリ・オペラ座の小ねずみたち」は毎日のように、レッスンに遅刻しないために廊下を全速力で走りながら、すれ違うバレエ団の先輩ダンサー一人ひとりに忘れずに挨拶をしなければなりませんでした。

 先輩方は自分たちが偉いと信じていますから、お高くとまっています。そして面倒なことに、たいてい何の前触れもなく、わたしたちの前に突然「気取った」様子で現れるのです。迷路のように入り組み、何世代にもわたる歴史と無数の「横滑り」で磨きあげられた廊下でのそんな出会いには、たいへんな危険がともないました!

 猛スピードで駆け込むわたしたちは、先輩の前で急ブレーキをかけるとお決まりの「ポジション」をとらなければなりません。その「ポジション」とはすなわち、「両腕をまっすぐ逆Vの字におろし、両手の先をぴんとそらせます。軸足は軽く曲げ、後のつま先を伸ばし、軸足の足首に押し付けるのです」。先輩に敬意を示すこのポーズを、わたしたちはすくなくとも0.5秒がんばって維持したのち、再び次の教室に向かって走りだすのでした。バランスの法則に逆らい、お決まりのお辞儀は優雅とはいえませんが、おかまいなしです。「任務完了!」でした。

 39年間の「トレーニング」を経て、わたしは最後のレヴェランスをすることに決めました。今回は「横滑り」することなしに。

 2015年は、感謝と心を込めてこれまで踊ってきたステージを巡り、踊りと共にさよならを告げる最後のツアーとなります。アクラム・カーン、ラッセル・マリファント、ウィリアム・フォーサイス、マッツ・エックによる新作2作品と再演2作品となります。

 わたしは39年間のすべて、いずれの時間も愛しました。そして今も変わらず愛しつづけています!!では何故? それはただ単に、最後まで自分がこれまで情熱と誇りを持ってしてきたことをやり遂げたいからです。

(引き際を自分で判断できずに、延々とステージに上がり続けないよう「殺人許可証」(※)を与えた「スパイ」役の友人がいるのですが、彼をその任務から解いてあげたかったのも一因です)

 予期しない「横滑り」で始まった旅はかけがえのない旅でしたが、考えた末、針路を変えることにしました。「成長し続ける人生」・・・それがわたしの人生。

シルヴィ・ギエム



※License to Kill 「007 消えたライセンス」の原題


photo:Gilles Tapie

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