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2008年2月 Archive

『ボッカチオ』主演 アンティゴネ・パポウルカス インタビュー1

『デカメロン』などの著作で知られるイタリアの作家ボッカチオ。そんな彼を主人公にしたスッペのオペレッタ『ボッカチオ』はウィーン・フォルクスオーパーでも人気演目の一つだ。男女の機微を、女性の気持ちをくみ取って描いたボッカチオは、当然あの時代の女性たちの圧倒的支持を得ていたというが、フォルクスオーパー版でボッカチオ役を演じているアンティゴネ・パポウルカスが宝塚の男役トップスター並みの長身、美貌で舞台映えすることといったらない! 素顔の彼女もスポーティなハンサム・ウーマンで、来日公演では一番人気になりそうだ。


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アンティゴネ・パポウルカス(ウィーンにて)


―――舞台もカッコ良かったけど、ご本人も物凄くカッコ良くて、ドキドキしています(笑)。
「ありがとう。おかげさまで・・・かな(笑)」


―――以前、私が観た『ボッカチオ』のタイトルロールは確か男性でテノールだったような・・・。
「初演というか、元々はメゾ・ソプラノの女性の役として書かれているんですけど、その後、男性に変わって、今また女性の手に取り戻したという経緯なのよ」


―――取り戻せてよかった!
「特に、私はね(笑)。というのは、私が得意にしている役って、『フィガロの結婚』のケルビーノ、『ばらの騎士』のオクタビアン。何せ『ヘンデルとグレーテル』のヘンゼル役で男役がスタートしたぐらいで、もうどっちかというと男の役専門といってもいいくらい(笑)」


―――フェンシングのシーンもサマになっていましたし。
「あれは舞台のためだけじゃないのよ。私、スポーツとしてフェンシングをやっていたの。実際に私が10歳か11歳のとき、アニァ・ヒステルというドイツの女性選手がオリンピックで金メダルを取って、それを見て感動しちゃったのよ。とてもアグレッシブなスポーツなのに、でもそのアグレッシブさを自分がコントロールして、速さの中に優雅さもある。集中力もものすごいし。で、1歳下の弟とずっと一緒におもちゃの木の剣とかでフェンシングをやっていたんだけど、どうしても本物のフェンシングがやりたくなって、親に頼んでやるようになったの」

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『ボッカチオ』のフェンシング・シーン(photo:Dimo Dimov/Volksoper Wien)


―――歳がひとつしか離れていない弟というと・・・。
「そう。もう男の子が2人みたいなものね(笑)。実際、弟とはとても仲良しで、いつも走り回っていたから。でも、映画の中の剣ファイトって、『スター・ウォーズ』のライトセーバーとかはSFXをいっぱい使ってて、あまりびっくりしなかったけど、『マトリックス』はちゃんと生身の人間があそこまでやるのは凄いと思った。私は『マトリックス』が好きなのよ(笑)」


―――そういえば、どことなく(『マトリックス』に出演している)キャリー=アン・モスに似ているような。
「それ、一番うれしいお世辞よ(笑)」


―――でも、なぜフェンシングから歌の世界に方向転換したの?
「それは、私の家族の血というか、家系によるものが大でしょうね。私の父はずっとフォルクスオーパーと(ウィーン)国立歌劇場で歌っていて、テノール歌手なの。私自身はフランス語と美術史の先生になりたいと思っていて、そういう特別な学校に行っていたの。ま、それでも学校のコーラスぐらいでは歌っていたけど。それで、高校の最後の学年になって、父が「ちょっとくらいレッスンしてみようか」って(笑)。全然深刻なものじゃなくて、ただ、笑いながらの楽しいレッスンをやってくれたら、なんか「才能がある」ってことになって(笑)。あわてて音楽大学の願書を取り寄せ、試験を受けてみたら受かっちゃったの。それでまあ、音楽をやることにしたのよ」

佐藤友紀(フリーライター)

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