英国ロイヤル・オペラは伝統を踏まえながら、新しい価値を追求する姿勢を貫き、成功しているオペラハウスといえるでしょう。新しい価値とは、突飛さや斬新さだけに頼る演出ということではありません。たとえば音楽監督アントニオ・パッパーノは、新演出上演の初日前に、オペラハウスで歌手とともにレクチャーを催します。これは、音楽的な魅力、作品の本質を伝えたいと考えるからにほかなりません。オペラをどう楽しんでもらえるか、どうすれば作品の素晴らしさを伝えることができるか、パッパーノは真摯にさまざまな準備に取り組み、上演当日にピークにもっていくのです。こうしたことから、英国ロイヤル・オペラは、パッパーノ音楽監督のもと、世界でも最も充実をみせるオペラハウスとなっているのです。

パッパーノのロイヤル・オペラでの最後のシーズンとなる2019 年の日本公演には、グノー作曲『ファウスト』と2017年6月に新演出初演が行われるヴェルディ作曲『オテロ』がプログラムされました。

『ファウスト』は、フランス・オペラの最高傑作の一つ。ゲーテの詩劇に基づき、誘惑と悪魔の力、そして宗教をめぐる闘いが織り込まれた名作で、全編に豊麗な美しいメロディがあふれます。2004 年に制作されたデヴィッド・マクヴィカー演出は、バレエ場面の強烈な印象など、フランス・グランド・オペラとしての魅力を最高に表出するものとなっています。また、すでに発表された2016-17年シーズン・プログラムで、最大の注目を集めているのが2017年6月に新演出初演が行われる『オテロ』です。ロイヤル・オペラでも、東京でも、《ニーベルングの指環》を演出したキース・ウォーナーが手がけます。

日本公演では、音楽監督パッパーノのもと、『ファウスト』には、目下ロイヤル・オペラのアイドル的存在である人気テノール、ヴィットリオ・グリゴーロと、その魅力こそ悪魔的なイルデブランド・ダルカンジェロ、歌に演技に超のつく技を備えた歌姫ディアナ・ダムラウ、『オテロ』には最高のオテロ歌いの一人、グレゴリー・クンデと、実力派バス、ジェラルド・フィンリーという豪華なキティングが予定されています。

予定される出演者

ディアナ・ダムラウ
Diana Damrau

イルデブランド・ダルカンジェロ
Ildebrando D' arcangelo

ジェラルド・フィンリー
Gerald Finlay

ヴィットリオ・グリゴーロ
Vittorio Grigolo

グレゴリー・クンデ
Gregory Kunde

※上記の演目および出演者は2016年9月1日の予定です。今後、出演団体側の事情により変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。