――お母様から個人教授でバレエを習われたとか。
シムキン:ロシアのバレエ一家に生まれ、両親と共に2歳でドイツに移住しました。幼い頃から子役として舞台に立っていましたが、9歳になり、母が「もしこのまま舞台に立ち続けたいならば、きちんと中身が伴わなければ」と言ったので、母からバレエを一対一で習い始めました。両親は普通の子ども時代を送ることが大切だと考えていたので、ぼくは普通の環境で、普通の学校に通い、両親の近くで育ったのです。バレエはあくまで趣味で、学業を優先していました。しかしコンクールがとても上手くいっていたので、16歳の時にバレエを仕事にしようと決めました。しかし両親はぼくが高校を卒業することを望んだので、それから2年待たなければなりませんでしたが。
――ここ数年でシムキンさんを取り巻く環境は劇変しました。
シムキン:ウィーン国立バレエ団にいた頃(NBSの)佐々木さんが「世界バレエフェスティバル」への出演依頼をくださいました。ぼくはそれをキャリアの決定的瞬間と呼んでいます。そこから全てがうまくいきだしたのです。アメリカン・バレエ・シアターに入団し、世界中からゲストとして呼ばれるようになりました。今ではヨーロッパ、アメリカなど地球上を飛び回っています。
――ガラ公演について教えてください。
シムキン:〈インテンシオ〉は「インテンション(意図)」と「インテンス(熱狂的な、強烈な)」という2つの単語をかけ合わせて、ぼくが新しく作った言葉です。お客様から熱狂的な反応が返ってくるガラ公演にしたい、同時に単なる意味のないガラでなく、確固とした意図のある公演にしたいという想いを込めました。ぼくの父は舞台デザインに深く関わっており、二人で何か新しいことを始めようと、この企画を立ち上げました。公演の最初から最後まで一貫した舞台デザインにより、強烈な表現を作り上げたいと思っています。
――オチョア振付の新作には最新技術が使われるそうですね。
シムキン:ソロとリアルタイム映像プロジェクションを組み合わせるつもりです。リアルタイム映像プロジェクションとは、すでに撮影されたビデオ映像でなく、舞台にいるぼくに反応して即時にコンピューターで作成される映像です。センサーが動くぼくの影に反応し、そうして入力されたデータを元に、舞台に投影する映像を算出します。それも単に踊りを映し出すのでなく、例えば手を拡大した映像が投影されるのです。実際のぼくよりはるかに大きなスケールで、強烈(インテンス)に。ぼくと父は最新技術を芸術と結びつける新しい方法を模索しています。
――『レ・ブルジョワ』はシムキンさんを代表する作品です。
シムキン:これは元々、ダンサーだったぼくの父(ドミトリー・シムキン)に振付けられた作品です。その後、多数のダンサーによって世界中で踊られました。でもみんな好みや技術的嗜好で手を加えているので、父に教わったぼくの踊るものが最もオリジナルに近い振付です。ある意味ぼくが父からこのソロを継承したわけです。父はぼくの人生で大きな役割を果たしています。恵まれた環境で育ったぼくは本当にラッキーです。
――『くるみ割り人形』を楽しみにしているファンも多いと思います。
シムキン:4歳の頃から劇場でこのバレエを見続け、音楽を聴き続けてきたので、この作品はぼくの一部です。どこか興味深いところがあるし、音楽もきれいです。ニュアンスを見つけて自分のものにできる可能性がありますし、とても繊細で深みがあります。素晴らしい作品だけど簡単ではありません。でもぼくは楽しめると思います! 小出領子さんとは『ドン・キホーテ』でもご一緒しましたが、とても親切で可愛らしい方です。共演を楽しみにしています。
(インタビュー・文:尾崎瑠衣)
(ワシリー・ワイノーネン振付)
11月 9日(金) 7:00p.m. 東京文化会館
11月11日(日) 3:00p.m. 東京文化会館
入場料:
S=¥12,000 A=¥10,000 B=¥8,000
C=¥6,000 D=¥5,000 E=¥4,000
*エコノミー券/学生券は10/12(金)より受付
エコノミー券=¥3,000(イープラスのみ)
学生券=¥1,500(NBS WEBチケットのみ)
[予定される出演]
クララ:小出領子 王子:ダニール・シムキン
出演:東京バレエ団
指揮:井田勝大/演奏:シアターオーケストラトーキョー
11月22日(木) 7:00p.m. ゆうぽうとホール
11月23日(金・祝) 3:00p.m. ゆうぽうとホール
11月24日(土) 3:00p.m. ゆうぽうとホール
11月25日(日) 3:00p.m. ゆうぽうとホール
入場料:
S=¥15,000 A=¥13,000 B=¥11,000
C=¥8,000 D=¥6,000
*学生券は10/12(金)より受付
学生券=¥2,000(NBS WEBチケットのみ)
[予定される出演]
ダニール・シムキン(アメリカン・バレエ・シアター)
ジュリー・ケント(アメリカン・バレエ・シアター)
イリーナ・コレスニコワ(サンクトペテルブルク・バレエ・シアター)
マリア・コチェトコワ(サンフランシスコ・バレエ団)
マシュー・ゴールディング(オランダ国立バレエ団) ほか