インタビュー 超絶技巧を備えた ロイヤルの看板ダンサー スティーヴン・マックレー

英国ロイヤル・バレエが新作の全幕バレエを制作する、それも誰もが知る『不思議の国のアリス』で! このニュースはまたたく間に英国中に広まり、『アリス』は一般のメディアまでもがこぞって取り上げる異例の超話題作となった。初日の幕が降り、満員のオペラハウスでアリスや白ウサギなどと並び大喝采を受けたのが、マッドハッター(帽子屋)役を初演したスティーヴン・マックレーである。火を噴くような超絶技巧と、ひとつひとつの振りを高度なレベルで決めてみせる完璧主義。加えてモダンな粋とエレガンスを備えた彼は、現在のロイヤル・バレエ団を担う看板ダンサーの一人である。俊敏で大胆な舞台での印象とは異なり、周囲をほっとさせるような、ゆったりとした口調で、彼は『アリス』や来日公演について語ってくれた。

――『アリス』の制作が決定した際の、カンパニーの反応は?

マックレー:わくわくするのと同時に、新作が物語バレエだと分かってみんな安心したんだ。ストーリーを語るのは僕らが得意なことだから。(振付家の)クリストファー・ウィールドンとは物語バレエを作ったことがなかったから、彼がどんなやり方をするか分からなかったけれど、彼はコメディー風の味付けをして、ウィット溢れる楽しい作品に仕上げたんだ。団員ひとりひとりに役割があって、面白い登場人物がたくさん登場する。バレエ団の総力を上げた作品になったんだよ。

――最新技術を駆使した舞台装置も話題になりました。

マックレー:まるで視覚のパーティーという感じで、たくさん見るものがあるし、いろいろなことが舞台で起こるんだ。子どもは本当にこの作品が好きなんだよ。次々と舞台装置が変わるし、色々なキャラクターがたくさん現れるからね。映像プロジェクターをたくさん使っているのと同時に、人形劇のような、伝統的な要素も入っている。それに古典バレエへのオマージュやジョークが散りばめられている。『眠れる森の美女』のローズアダージオが、(お菓子の)タルトのアダージオになったりね。日本の観客の皆さんは本当にバレエに詳しいから、そのシーンは特に楽しんでもらえると思うな。

――マッドハッター役ではタップダンスを披露されています。

マックレー:ウィールドンは登場人物の個性を際立たせようとして、僕がタップダンスを踊っていたのを思い出したんだ。振付では、僕が細かいステップを加えたんだよ。彼とスタジオに入り、彼が『ダ・ダ・ダ・ダ』とリズムを口ずさむと、僕が足でそのリズムをやってみせる。そうすると彼が『いいね』とか『もっと抑えて』とか、『こんなふうに見える足の形が欲しい』とか言ってね。彼は自分の求めているものがはっきりしている。それを物語という形に落とし込んで、ステップとして仕上げていく過程は本当に楽しかったよ。

――アシュトンやマクミランといった振付家の作品を中心に上演してきた英国ロイヤル・バレエ団にとって、ウィールドン振付の本作の成功は、バレエ団の新たな一歩を象徴しているように見えます。

マックレー:カンパニーは今までも長い間、未来に向けて変革を起こそうとして来たんだ。新作を作り続けることはバレエ団を健全に保つのに必要不可欠だからね。芸術監督が交代したこともあって、確かに、現在カンパニーは変革の時期にあると思う。でも(前芸術監督の)モニカ・メイスンが退任のスピーチで話したように、変化は良いことで、変化を恐れてはいけない。うまく扱うことが出来れば、変化は成功をもたらすし、素晴らしいものになるのだから。ロイヤル・バレエは今でも最高のカンパニーのひとつだけど、これからもっともっと、今まで以上にさらに高いところへ飛翔するのを見せられると思うよ。

――ダウエル版「白鳥の湖」ではジークフリート王子役で出演されます。

マックレー:ダウエル版のジークフリートはとても人間的で、単なる2次元の王子様ではないんだ。僕はこの役を踊るとき、英国王室のハリー王子をイメージする。彼は皇族で、大きな重圧を抱えている。しかし同時に彼もひとりの人間で、友だちもいて、自分が出来る限り普通の生活を営もうとしている。それにダウエル版の第3幕の舞台美術は、中世の不吉な雰囲気があって美しいよ。

――非常に若くしてプリンシパルになり、すでに幅広い役柄を踊ってこられました。今までのキャリアでの転機、そしてこれからの目標は?

マックレー:入団1年目にプリンシパルダンサーに混じって『シンフォニック・ヴァリエーション』を踊ったのは転機だった。その後、僕は本当にたくさんの踊る機会を与えられて、成長することが出来たんだ。そして2008年に怪我をした。ひどい怪我で、1年間舞台に立てなかったけど、でもそれは良いことだったと思う。たくさんの公演を見たり、(元プリンシパルの)レスリー・コリアとレッスンをしたり、本当に様々なことを勉強できたのだから。これが僕のキャリアの真のターニングポイントだったと思う。賢く、そして身体的にも強くなって舞台に戻って来ることができた。将来の目標は、自分のために創作された全幕作品を踊ることなんだ。


「不思議の国のアリス」(全3幕)

会場:東京文化会館

2013年
7月5日(金) 6:30p.m./ 7月6日(土) 1:00p.m./ 7月6日(土) 6:00p.m./ 7月7日(日) 1:00p.m.

【予定される主な配役】
アリス:ローレン・カスバートソン(7/5,7/7)ベアトリス・スティックス=ブルネル(7/6昼)、サラ・ラム(7/6夜)
ハートのジャック/庭師ジャック:フェデリコ・ボネッリ(7/5,7/7)、ルパート・ペネファーザー(7/6昼)、スティーヴン・マックレー(7/6夜)
白うさぎ/ルイス・キャロル:エドワード・ワトソン(7/5,7/7)、ブライアン・マロニー(7/6昼)リカルド・セルヴェラ(7/6夜)
ハートの女王/アリスの母親:ゼナイダ・ヤノウスキー(7/5,7/7)、イツァール・メンディザバル(7/6昼)ラウラ・モレーラ(7/6夜)
マッドハッター/マジシャン:スティーヴン・マックレー(7/5,7/7)未定(7/6昼)、アレクサンダー・キャンベル(7/6夜)


「白鳥の湖」(全4幕)

会場:東京文化会館

2013年
7月12日(金) 6:30p.m. /7月13日(土) 1:00p.m. /7月13日(土) 6:00p.m. /7月14日(日) 1:00p.m.

【予定される主な配役】
オデット/オディール:アリーナ・コジョカル(7/12)、ロベルタ・マルケス(7/13昼)、サラ・ラム(7/13夜)、マリアネラ・ヌニェス(7/14)
ジークフリート王子:ヨハン・コボー(7/12)、スティーヴン・マックレー(7/13昼)、カルロス・アコスタ(7/13夜)、ティアゴ・ソアレス(7/14)


たった一夜のスペシャル・プログラム!
<ロイヤル・ガラ>

会場:東京文化会館

2013年7月10日(水) 6:30p.m.

【予定される主な配役】
*演目・出演者・発売方法などは追って発表します。


チケット発売日

一斉発売開始 2月16日(土) 10:00より

入場料[税込]

S=¥22,000 A=¥20,000 B=¥18,000
C=¥13,000 D=¥10,000 E=¥7,000

エコノミー券=¥5,000
学生券=¥3,000

◆「不思議の国のアリス」「白鳥の湖」2演目セット券[S, A, B券]
◆ペア割引券 ※NBSチケットセンター電話予約のみで受付
S券ペア割=¥43,000 A券ペア割=¥39,000 B券ペア割=¥35,000
◆親子ペア割引券 ※3月12日(火) よりNBSチケットセンター電話予約のみで受付
親子S券ペア割=¥33,000 親子A券ペア割=¥30,000
親子B券ペア割=¥27,000
◆7月6日(土) 1:00p.m. 公演限定「アリス」ファミリー券 (※3月12日(火)より、NBS電話予約とイープラスのみで受付開始)
大人=¥18,000(B券相当) + 子ども1名様につき¥3,000)

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