〈マラーホフの贈り物〉ファイナルへの想い ウラジーミル・マラーホフ インタビュー

 昨年末ベジャールの『くるみ割り人形』母に抜擢された。ベジャール自らの少年時代を回想した愛と追憶にみちた名作の核となる存在だ。若々しくきれいな渡辺はナイーブな立ち居振る舞いの端々から少年ビムを慈しむ優しい心根を浮びあがらせる。巨匠が強く慕いながらも早世してしまった母親。そのイメージにぴったりだった。
 2009年『白鳥の湖』若手公演でオデットを踊り注目される。均整のとれた肢体に恵まれ、脚のラインや甲が抜群に美しい。加えて、いついかなるときも誠実に踊り、真摯に役柄に向きあって着実にキャリアを重ねる。子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』のリラの精では、大らかな存在感を醸し舞台の格調を高めるまでになった。
 きたる6月『ラ・シルフィード』にて本公演初主演を飾る。清楚で透明感のある踊りを持ち味とするだけにバレエ・ブラン(白のバレエ)がよく似あう。天性の才能と怠らぬ努力に裏打ちされた俊英バレリーナは、いま飛躍のときを迎えている。

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