6月の東京バレエ団公演『ラ・シルフィード』は、次代を担う二組の若きスターたちが主役を務めるとあって、フレッシュな舞台への大きな期待が寄せられています。そこで、この新鮮な二組のキャスティングの背景、またそれぞれの魅力と個性についてを、東京バレエ団芸術監督の飯田宗孝、バレエミストレスの佐野志織に聞きました。
 初日のシルフィード役は、渡辺理恵。昨年、ベジャールの『くるみ割り人形』で初めて踊った母役の、皆を温かく包み込むような、優しさに溢れた演技が記憶に新しいところ。飯田宗孝芸術監督は、「その優しい雰囲気は“子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』”リラの精でも活き、美しかった。おっとりとした雰囲気の中にも、芯の強さが感じられる」、またバレエミストレス・佐野志織も「身体のラインがとてもきれい。経験を積んで、身体や表情から表現が溢れるようになった」。シルフィード役でのさらなる飛躍を予感させます。
渡辺のパートナーとしてジェイムズを踊るのは、柄本弾。『ザ・カブキ』由良之助で見せた躍動感に満ちた若きリーダー像、『ギリシャの踊り』での颯爽としたソロ、とすでにいくつもの重要な役柄でその存在感を印象づけています。ジェイムズ役も今回が2回目。「やる気に満ちて、テクニックも問題ない」(飯田)、また「ノーブルさと男っぽさ、色気を兼ね備えている」(佐野)と同時に、作品の中で自分を活かす感性を持っているとのこと。初めて組む渡辺をリードするとともに、より深みのある演技への期待が高まります。
 一方の沖香菜子と松野乃知のカップルは、入団間もないながら、 “子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』”初演の主役に大抜擢。再演でも主役の重責を果たし、周囲の期待に応えています。
 沖はボリショイ・バレエ学校留学を経て2010年に東京バレエ団に入団。「華があって明るく、踊りたいという気持ちに溢れている」(佐野)というだけあって、舞台でのプレゼンテーションも抜群。それはベジャールの『くるみ割り人形』で急遽踊ることになったアラブでも発揮され、「とても良かった。独特のテクニックが要求される『ラ・シルフィード』も、指導をしっかりと受け止めてより伸びるはず」(飯田)。将来性を強く感じさせます。
 相手役の松野はまだ入団3年目。2001年のワシーリエフ版『ドン・キホーテ』初演に子役で出演した時から目立つ存在で、東京バレエ学校時代を知る佐野は、「踊れることが嬉しくて仕方がないという印象。少年っぽいところと、夢の世界にふと引き寄せられていくような雰囲気を持つ」。長身、身体の柔らかさは大きな強み。「この難しい役を踊りきることで、さらに力をつけるはず」(飯田)と、その可能性は無限大です。
 1984年以来、東京バレエ団を代表するレパートリーの一つとして上演され続けている『ラ・シルフィード』。今回の公演は、このバレエ団の“財産”が若い世代に継承される場であり、彼らの躍進の場ともなるでしょう。若手スター二組の活躍に、ぜひ注目を。


〈東京バレエ団50周年プレ企画 バレエ・ブラン・シリーズ1〉
注目のライジング・スターたちの競演でお届けするバレエ・ブランの傑作!
「ラ・シルフィード」 全2幕

会場:東京文化会館

2013年
6月15日(土) 3:00p.m. / 6月16日(日) 3:00p.m.

【予定される主な配役】
シルフィード:渡辺理恵(6/15)、沖香菜子(6/16)
ジェイムズ:柄本弾(6/15)、松野乃知(6/16)

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【入場料(税込み)】
S=¥8,000 A=¥6,000 B=¥4,000 C=¥2,000

◆ペア割引券 S席ペア割=¥15,000 A席ペア割=¥11,000
◆ファミリー券 大人S席またはA席+子ども1名様につき2,000円
エコノミー券 ¥1,000 
学生券 ¥1,000 
(エコノミー券、学生券は5/17(金)よりNBS WEBチケットのみ)

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