〈躍進する東京バレエ団 vol.5 The Tokyo Ballet

 貴公子然とした端正な容姿と細やかな感受性の持ち主。目元涼しげな顔立ちと華奢にして程よく引締まった体つきを取り柄に颯爽と踊る。2005年入団。20代半ばとまだ若いが、着実にキャリアを積み、大きく羽ばたこうとしている気鋭である。
 昨年末、ベジャールの『くるみ割り人形』猫のフェリックス役で注目された。主人公の少年ビムの飼い猫をチャーミングに踊り演じる。くるくると変わる表情、緩急自在な踊りによって物語の進行役を務めあげた。
 東京・春・音楽祭〈ストラヴィンスキー・ザ・バレエ〉で上演された『春の祭典』では、生贄役に初めて挑んだ。いたいけな表情や佇まいの端々から犠牲となる哀しみをせつせつと伝える。繊細さのなかに力強さも感じさせ新生面を拓いた。
 今春ソリストに昇進。6月の『ラ・シルフィード』ではパ・ド・ドゥを任される。エネルギッシュな踊りと、ひたむきに舞台に臨む姿勢は末頼もしい。若手男性陣の要として欠かせない存在だ。

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