躍進する東京バレエ団 vol.6 The Tokyo Ballet

 多彩な役柄を演じ分け舞台を盛り上げる得難い個性だ。
 子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』のカラボスは当たり役。オーロラ姫の誕生式に招かれず、怒りをあらわにするが、「憤懣やるかたなし」というよりも、引くに引けなくなって、ごねているような憎めなさがある。
 いっぽう、クランコの名作『オネーギン』では、主人公タチヤーナとオリガ姉妹の母である貴婦人ラーリナ夫人を淑やかに演じた。
 先日行われた〈マニュエル・ルグリの新しき世界III〉で上演されたプティの『こうもり』では、ウィーン国立バレエ団のヤコヴレワ&ルグリと共演。女主人ベラとその友人ウルリックに振り回されるメイド役をコミカルに演じ笑い誘った。お芝居の上手さは折り紙つき。
 『白鳥の湖』三羽の白鳥、『ラ・バヤデール』侍女たちの踊り(ジャンペの踊り)などで端正かつ力感ある踊りを披露しているのも見逃せない。東京バレエ団の公演をおもしろくしているキーパーソンのひとりといえる。

NBSについて | プライバシー・ポリシー | お問い合わせ