ローマ歌劇場 2014年日本公演

 ローマ歌劇場2014年日本公演では、リッカルド・ムーティ指揮によるヴェルディの2作『ナブッコ』と『シモン・ボッカネグラ』が上演されます。“生涯における多くをヴェルディに献身してきた”というムーティですが、今号ではまずローマ歌劇場の『ナブッコ』に、マエストロ自身が向ける熱い思いをご紹介します。
 ムーティは、2010年から終身名誉指揮者としてローマ歌劇場に就任しました。これは、“純粋に音楽面において力を注ぐために”というマエストロの意思を尊重したもの。ムーティは、オーケストラ・メンバーのオーディションをはじめ、合唱団の指導など、実質的には音楽監督としてローマ歌劇場を担っているといえます。
 「ローマ歌劇場は、イタリア・オペラにおいて、ずば抜けて素晴らしくなっている」と、ムーティは2012年夏にはすでに公言していましたが、今年8月には、これがはっきりと証明されることとなりました。ムーティ率いるローマ歌劇場によるザルツブルク音楽祭での成功は、イタリアだけではなくオーストリアをはじめ、世界中に報じられたのです。“世界で最も厳しい聴衆”に認められたのは、ほかでもない『ナブッコ』(演奏会形式)でした。
 『ナブッコ』が、オーストリア支配下にあるミラノで初演されたとき、人々はイタリア独立への思いを重ね合わせ、熱狂しました。このオペラがイタリア統一を促進したとさえいわれます。ローマ歌劇場が、イタリア統一150年を記念した新制作に『ナブッコ』を選んだことは必然でもあったでしょう。そして2011年、統一記念日当日の記念公演では、「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」が終わると、鳴りやまぬ拍手に応え、ムーティは聴衆に語りかけました。
 「私もイタリア万歳には賛同します。しかし私はいま、この合唱の言葉にイタリアの文化のことを考えていました。今夜この合唱のアンコールは、愛国者としてではなく、合唱の言葉である美しくも失われた祖国、つまり、イタリアの歴史である文化を失う事態を招いていることへの遺憾の気持ちからなのです」
 これは、このころにイタリアで文化予算の大幅削減が発表されたことにちなんだものでしたが、ムーティはほかの機会に、「オペラはイタリアの誇るべき文化である」こと、『ナブッコ』によって“蘇った”ローマ歌劇場の“イタリアの魂”についても語っています。
 「ローマ歌劇場のオーケストラ、合唱団は、『ナブッコ』を通じて、自分たちにはヴェルディの音楽をふさわしく演奏するDNAが備わっていることを再確認できたのです。それによって、現在、世界のオペラハウスでは失われつつある“イタリアの音”やイタリア人のアイデンティティに根差したイタリア・オペラの表現を完成しつつあるのです」
 『ナブッコ』は、ムーティがかつて、ミラノ・スカラ座の音楽監督として登場する際に選んだオペラで、以来ムーティの十八番となった作品。イタリア人の熱き思い、ヴェルディの音楽の真価、オペラの国イタリアの誇り…、指揮者ムーティの思いのすべてが注ぎこまれた『ナブッコ』が実現します。

          

ローマ歌劇場 2014年日本公演
『ナブッコ』

【公演日】
2014年
5月20日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月30日(金)3:00p.m. NHKホール
6月 1日 (日)3:00p.m. NHKホール

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
ナブッコ:ルカ・サルシ
イズマエーレ:アントニオ・ポーリ
ザッカーリア:ドミトリー・ベロセルスキー
アビガイッレ:タチアナ・セルジャン
フェネーナ:ソニア・ガナッシ



ローマ歌劇場 2014年日本公演
『シモン・ボッカネグラ』

【公演日】
2014年
5月25日(日)3:00p.m. 東京文化会館
5月27日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月31日(土)3:00p.m. 東京文化会館

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
シモン:ジョルジョ・ペテアン
アメーリア:バルバラ・フリットリ
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
フィエスコ:リッカルド・ザネッラート
パオロ・アルビアー二:マルコ・カリア

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