ローマ歌劇場特集 2014年日本公演 12月7日(土)10:00a.m.より 一斉前売開始

マエストロ・ムーティ、
ローマ歌劇場日本公演への序曲

 2013年10月下旬、イタリアが誇るマエストロ、リッカルド・ムーティが、3年ぶりに日本にやってきた。東京・春・音楽祭の特別公演、「ムーティ conducts ヴェルディ」を指揮するためである。
 多忙なマエストロが日本滞在に割くことができたのは、ほんの1週間ほど。
 来日早々の26日にはオーチャードホールで、講演会「ムーティ、ヴェルディを語る」。講演に加え、歌手2人(安藤赴美子さんと加藤宏隆さん)とピアニストを呼んでの『椿姫』のヴィオレッタとジェルモンの二重唱を、指揮者として指導実演したこの講演会は、予定を1時間オーバーする2時間半という、充実した開催となった。
 その3日後の29日には、本番を翌日と翌々日に控えて、序曲、バレエ曲、合唱曲などの全曲目を通しで演奏するゲネプロが、すみだトリフォニーホールで行われた。  この日のゲネプロ後に楽屋で、衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」のクラシック・チャンネル「THE CLASSIC」のためにインタビューさせてもらえることになったので、インタビュアーの自分は、どきどきしながら客席で見学していた。
 熱く、しかし厳しい音づくりで知られるマエストロだけに、さぞやピリピリムードと思いきや、意外にもにこやかに、リラックスした雰囲気で、ヴェルディの音楽の昂揚とエネルギーを、在京の主要オーケストラの首席奏者など、若く優秀なメンバ-からなる東京春祭特別オーケストラから引きだしていく。予定の曲をすべて終えたあとも指揮台に残って、40年前の1973年に、ウィーン国立歌劇場に初めてよばれて『アイーダ』を指揮したときの思い出を、ジョークまじりに語って全員を笑わせ、和やかに終った。
 急いで楽屋に向い、インタビュー開始。初めだけ、マエストロはさすがに疲れた様子だったが、口をひらくとすぐに、舞台と同じ熱い活力を放射しはじめた。
 「にこやかだったのは、やはりヴェルディの音楽を演奏したからだと思います。この音楽は、イタリアの文化を代表していると思います。それからさらに大切なことは、オーケストラも合唱団も本当に高いレベルで、そして全員が情熱をもって音楽に向かっておられたので、それでにこやかなリハーサルになりました。
 私も、今回こうやって演奏させていただけたことを幸せに感じたのですが、たぶん、ヴェルディも幸せに思ってくれていると思います。といいますのは、これだけ離れた国の、まるで違う文化の人たち、日本の方々が、本当によく理解してこの音楽に向かってくださった。それが一番うれしいことだからです。
 今年はちょうどヴェルディの生誕200年にあたります。そのヴェルディ・イヤーに、ヴェルディを愛してくださる日本の皆さんに、その音楽を紹介する機会をもてたことを、本当に嬉しく思っています。
 このヴェルディ・イヤーのしめくくりに、来年5月には、ローマ歌劇場によるオペラを持ってきます。ヴェルディを愛してくださる方々の前で、自分がヴェルディを演奏させてもらうということはとても嬉しい。私が思いますに、これから将来に向かって、もっともっとヴェルディの音楽が私たち人間にとって、必要になってくる。彼の音楽は本当に人を慰める。勇気を与える。そういう意味のある音楽だと思うからです」
 先の講演会で、マエストロは、自身のキャリアにおけるヴェルディのオペラとの取り組みは“私の長い闘い”であったと語り、「ヴェルディは“劇場”なのです。その音楽にすべてが書かれている」と、その信念を明らかにした。“ヴェルディのスペシャリスト”と呼ばれるまでになったいまもなお続くその探究を実現させているのがローマ歌劇場といえるだろう。
 「今回日本で取りあげる2作品は、最近ローマ歌劇場で上演したものです。これらはただ観客の喝采を浴びただけでなく、国際的にも評価を得たものです。
 演出は、現代的な奇をてらったものではありません。といって、古めかしい、内容のない愚かなものでもありません。日本の方々にもきっと気に入っていただけると思います。『ナブッコ』はヴェルディの作品の中でもよく知られている人気のある曲ですし、『シモン・ボッカネグラ』は大傑作だと思います」
 『ナブッコ』は、マエストロがキャリアの初期から得意にしてきた作品であり、一方『シモン・ボッカネグラ』は、長年にわたって温め、指揮する機会を慎重に待っていた作品。その意味では対照的だが、どちらも歌劇場での豊かな経験を活かした、熱気と思慮深さを両立させた公演となるはずだ。
 インタビューの翌日に聴いた本番は、ゲネプロよりさらに熱く引きしまっていたが、楽員の自発性を巧みに活用した点で、マエストロのさらなる進歩を感じさせるものだった。
 この演奏会そのものを序曲にして、来年にはローマ歌劇場日本公演の幕が開く。その日が、今から楽しみだ。



ローマ歌劇場 2014年日本公演
『ナブッコ』

【公演日】
2014年
5月20日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月30日(金)3:00p.m. NHKホール
6月 1日 (日)3:00p.m. NHKホール

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
ナブッコ:ルカ・サルシ
イズマエーレ:アントニオ・ポーリ
ザッカーリア:ドミトリー・ベロセルスキー
アビガイッレ:タチアナ・セルジャン
フェネーナ:ソニア・ガナッシ


ローマ歌劇場 2014年日本公演
『シモン・ボッカネグラ』

【公演日】
2014年
5月25日(日)3:00p.m. 東京文化会館
5月27日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月31日(土)3:00p.m. 東京文化会館

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
シモン:ジョルジョ・ペテアン
アメーリア:バルバラ・フリットリ
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
フィエスコ:リッカルド・ザネッラート
パオロ・アルビアー二:マルコ・カリア

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