ローマ歌劇場 2014年日本公演


―――『シモン・ボッカネグラ』のガブリエーレ・アドルノ役はローマ歌劇場でデビューしたのですか?

メーリ:ガブリエーレ・アドルノは2010年にパルマで歌ってデビューしました。2012年にローマ歌劇場で歌う前にはウィーンでも歌っています。僕は歌手としてデビューした時はテノール・レッジェーロでベルカントがレパートリーだったので、ガブリエーレのようなリリックの役は最近歌い始めました。

――ヴェルディの作品も多く歌っていらっしゃるでしょう?

メーリ:『ファルスタッフ』のフェントンや『リゴレット』のマントヴァ公爵、『椿姫』のアルフレードなどヴェルディ作品の中でもレッジェーロの役から歌い始めました。ローマ歌劇場のエルナーニが私にとって13本目のヴェルディの作品。ヴェルディの全作品の半分はレパートリーにしたことになります。

――多くのヴェルディ作品のレパートリーの中で『シモン・ボッカネグラ』のガブリエーレは、どのように役作りに取り組まれましたか?

メーリ:ガブリエーレは愛情豊かでロマンティックな青年ですが、正義の味方というか、権力に対抗して、間違っていることは指摘して正していこうとする性格です。そして、シモンを継いでジェノヴァの二番目の総督になります。ロマンティックな役というのは、声の音色もベルカントの要素が必要で、ドラマティックに力一杯に歌うという一般的なヴェルディの歌い方に対する考え方では正しく表現できないと思います。

――その点はマエストロ・ムーティとの共演が多いことが影響していますか?

メーリ:僕はロッシーニやベッリーニをレパートリーにしていたこともあって、ベルカント唱法を勉強してきました。マエストロと共演するようになって、僕の歌や声に対する考え方が間違っていなかったと再確認できたと思います。ヴェルディは「力一杯に声を張り上げて歌う」というような印象が深かったので、マエストロ・ムーティに対しては「歌手の声を抑制してしまう」というような批判的な偏見があったことも確かですが、それは正しくマエストロのことを理解していないからだと思います。マエストロは楽譜を深く読むことを要求されますが、楽譜に書かれたことを大切にすることは、歌手にとって大変役立つことなのです。なぜ、この音がこの長さなのかとか、なぜここに休符があるのかとか、よく読んでみるとその理由が分かってくるのです。そうすると、自然に内容もよく理解できてきます。マエストロ・ムーティが「ヴェルディはたった一つの音でも雰囲気を創り出してしまう」とよくおっしゃいますが、本当に一つの音だけで、状況を変えてしまう。音楽に演出が書かれているということも実感することができます。マエストロ・ムーティと共演していない時でも、楽譜を尊重するという勉強の仕方が身に付いて、これは歌手にとって大きな助けになります。

――ローマ歌劇場の『シモン・ボッカネグラ』の魅力とは?

メーリ:このプロダクションはダンテ・フェッレッティというオスカー賞を受賞した美術デザイナーの舞台で、美しくて大変大規模です。正統的な演出でもあるし、音楽を邪魔せずに浮き立たせてくれていると思います。衣裳も美しいし、きっと日本の皆さんにも気に入っていただけると思いますよ。

――日本の聴衆にはどのような印象をお持ちですか?

メーリ:日本には多くの熱心なオペラ・ファンがいてびっくりしました。公演中は本当に集中して聴いてくれて、終わってからはサインを求める人たちが並んで待っている。こういう国は他には無いと思います。僕がペーザロでリサイタルをした時に歌ったリストの『ペトラルカのソネット』を聴いた方から、日本でもこの曲を歌って欲しいとリクエストされて、プログラムに入れたことがあります。日本の聴衆は「素晴らしい」の一言です。

――では日本の皆さんにメッセージをお願いします。

メーリ:日本に行くことが待ち遠しくてたまりません。イタリアの財産であるオペラ芸術やイタリア文化をイタリア人よりも高く評価して、大切にしてくださる日本の皆さんに満足していただける演奏ができますようにと願っています。

          

ローマ歌劇場 2014年日本公演
『ナブッコ』

【公演日】
2014年
5月20日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月30日(金)3:00p.m. NHKホール
6月 1日 (日)3:00p.m. NHKホール

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
ナブッコ:ルカ・サルシ
イズマエーレ:アントニオ・ポーリ
ザッカーリア:ドミトリー・ベロセルスキー
アビガイッレ:タチアナ・セルジャン
フェネーナ:ソニア・ガナッシ


ローマ歌劇場 2014年日本公演
『シモン・ボッカネグラ』

【公演日】
2014年
5月25日(日)3:00p.m. 東京文化会館
5月27日(火)6:30p.m. 東京文化会館
5月31日(土)3:00p.m. 東京文化会館

【入場料(税込み)】
S=¥54,000 A=¥47,000 B=¥40,000
C=¥33,000 D=¥26,000 E=¥19,000 F=¥12,000

【予定される主な配役】
シモン:ジョルジョ・ペテアン
アメーリア:バルバラ・フリットリ
ガブリエーレ・アドルノ:フランチェスコ・メーリ
フィエスコ:リッカルド・ザネッラート
パオロ・アルビアー二:マルコ・カリア

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