ウラジーミル・マラーホフ アーティスティック・アドバイザー就任記念 マラーホフ演出・振付 「眠れる森の美女」

 東京バレエ団創立50周年〈祝祭ガラ〉に駆けつけてくれたウラジーミル・マラーホフ。この秋からはいよいよ東京バレエ団アーティスティック・アドバイザーとしての活動も本格始動します。今号では、2015年2月に上演されるマラーホフ自身が振付けた「眠れる森の美女」について、あらためてその思いをうかがいました。
 「この『眠れる森の美女』は、"善と悪の対比"にポイントを置いてつくりました。善はリラの精でカラボスが悪。リラの精は全編を通してオーロラ姫を守る存在、カラボスはオーロラ姫に災いをもたらす存在です。この二人の対比は、この世の普遍の象徴といえるものです。素晴らしいことが起こる一方で、悪いことも起こるというような。リラの精に物語を引っ張っていくという役割を与えているのも、カラボスとの対比を出すためなのです」
 最終的に善が勝利するとしても、そこに至るまでに何事からも守ってくれるリラの精とそれを邪魔するカラボスという対立する存在を浮かび上がらせるマラーホフ版「眠れる森の美女」は、単なるおとぎ話よりちょっぴり大人テイスト。
 「ただね、カラボスは"悪の象徴"ではあるけれど、実際にはこういう人とか出来事というのは、普通にあるよね。ほんのちょっとしたことが、誰かの邪魔をすることになったりすることがあるでしょう?」
 自身が踊るマラーホフのカラボス観には、どこか親近感もあるようです。

 「大きな捉え方としては、プロローグがあって、第1幕はオーロラの幕、第2幕は王子の幕、そして第3幕はオーロラと王子二人の幕。振付を考えたときには、観る人が退屈しないようにすることも大切にしました。だから、キャラクターたちも、最低限にしました。赤ずきんちゃんは普通はオオカミと踊るのですが、ここでは一人で踊ります。オオカミは…‥赤ずきんちゃんが毛皮をまとっていることで、"一緒"に居ることをあらわしています」
 すでにベルリンでの公演は終了したため、いまやマラーホフ版「眠れる森の美女」が見られるのは東京バレエ団の公演のみ。3度目を迎える今回にあたってはアーティスティック・アドバイザーとしての意欲もうかがわせます。
 「もちろんこれまでも素晴らしい公演が行われてきましたが、東京バレエ団には、若い情熱をもった新しいダンサーがたくさんいます。今回は今まで以上に準備に時間をかけることもできると思うので、それぞれの個性を生かすために、手を加えることもできるんじゃないかと思っています。一度見てもまた見たくなるように、ということも、ぼくがこの『眠れる森の美女』を振付けるときに念頭においていたことですから。どうぞ楽しみにしていてください」


東京バレエ団 マラーホフ演出・振付
「眠れる森の美女」

会場:東京文化会館

【公演日】
2015年
2月7日(土)2:00p.m.
2月8日(日)2:00p.m.

【予定される主な配役】
オーロラ姫:上野水香(2/7)、 川島麻実子(2/8)
王子:柄本弾(2/7)、 岸本秀雄(2/8)
カラボス:ウラジーミル・マラーホフほか

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【入場料(税込み)】
S=¥12,000 A=¥10,000 B=¥8,000 C=¥6,000 D=¥4,000 E=¥3,000
エコノミー券=¥1,500 学生券=¥1,000

*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで2015年1月9日(金)より受付。
ペア割引券(S,A,B席)あり。
親子ペア券割引(S,A,B席)あり。

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