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装飾的な要素をいっさい排除し、赤い円卓の上の“メロディ”と周囲をとりかこむ“リズム”とがラヴェルの音楽を大胆に象徴するこの作品は、その簡潔さゆえに、踊り手によって作品自体が形を変える。あるときは美の女神とその媚態に惑わされる男たちの繰り広げる“欲望の物語”、あるときは異教の神の司る“儀式”……。聖と俗の間を自在に往き来し、踊り手の本質をさらけだすこの作品は、初演以来30年の間に、多様な姿を見せてきた。
演出もさまざまであり、初演の際は、“メロディ”の女性を取り巻いて“リズム”の男性が配された。やがて男性の“メロディ”と女性の“リズム”、そして“メロディ”“リズム”ともに男性が踊る演出が生まれている。
1990年の日本での初演以来、103回の公演を重ね、日本全国の観客を興奮と熱狂の渦に巻き込んだ衝撃的な世紀の名演に、女王ギエム自らがいよいよ幕を引く。 |
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モーツァルト没後200年に際し、ピアノ協奏曲第23番と第21番を使ってキリアンが創作、NDTによってザルツブルク音楽祭で初演された。ダンスは男女6人のダンサーと、6枚のフォイル(薄片)によって踊られる。これらのフォイルは、攻撃、性衝動、エネルギー、沈黙、洗練されたナンセンス、傷つきやすさなどを視覚化した象徴であり、重要な役を演じる。‘小さな死’とはオルガスムスの意味。相手役にマッシモ・ムッルを迎え、ギエムは今回の日本公演で初めてこの作品に挑む。 |
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ギエムがその才能に惚れ込んだ振付家、ラッセル・マリファント。昨秋、マリファント作品のみを集めて上演した日本公演も、ギエムの新境地をのぞかせる鮮烈な舞台として絶賛されました。今回は、9月にサドラーズ・ウェールズでマリファント自身と踊る予定の新作が、早くも日本に登場します。ギエムの肉体のみが可能にする神秘の扉がまた開かれるに違いありません。 |
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波の音に始まり、ギリシャ情趣たっぷりの曲にのせて、若者たち、娘たちの踊りが連なる。やがてソロの若者の踊りとそれに続く、肩を組んだ青年たちの、帆に風をたっぷりはらんで地中海を進む船を思わせる爽やかな踊りにより、クライマックスを迎える。甘く切ない気持ちを呼び起こされる、不思議な作品。 |
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主役のドン・ジョヴァンニそのものは登場せず、照明や椅子によってその存在が示される。架空の男に対して、愛と情熱とエネルギーを注ぎあう女性たちの姿は、ときに滑稽で、また微笑ましい。女性ソリストが多数出演し、愛情表現として、さまざまな舞踊表現が用いられるのも大きな見どころのひとつ。 |
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シンフォニック・バレエの創始者バランシンが、かつてマリインスキー劇場で初舞台を踏んだ「眠れる森の美女」へのオマージュとして創り、古典バレエへの想いが随所に感じられる。主役の男女を中心に他のダンサーたちが美しく左右対称に置かれ、曲調の変化に合わせて華麗な踊りが繰り広げられる。 |
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現代音楽史上に残るストラヴィンスキーの最高傑作「春の祭典」は、1913年ニジンスキー振付によりパリで初演され、土俗的な生贄の儀式を描いて、賛否両論を呼んだ。59年、若者たちの“生の儀式”として読み直した本作もまた、その革新性により熱狂を呼び、ベジャールは一夜にして時の人となった。 |
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