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クリスマスの夜、男の子がひとり、ちっぽけなモミの木のそばにすわっている。その枝には、去年のクリスマスからずっと残されたままの飾りが、寂しげに揺れている。母親 [1] は亡くなったのだ。男の子ビム [2] は、父にもらったくるみでひとり寂しく遊んでいる。部屋には父(M... [3] )と飼い猫のフェリックス [4] がいる。と、夢なのか魔法なのか、男の子のそばに白いスーツに身を包んだ母親が現れて、モミの木の下に小さなプレゼントを置こうとする。

背景の幕が落とされ、夢のような夜が始まる。
まず、赤と白のレオタードのダンサーたちがあらわれ、クラス・レッスンが始まる。ビムのバレエとの出会い [5] である。マントを羽織ったM... [3] (ここではマリウス・プティパ)がダンサーたちの間をゆっくりした足取りでみて回っている。ビムもダンサーたちについて一生懸命に踊る。

猫のフェリックスが呪文を唱えると赤いカーテンから、かわいらしい緑のマントをつけた女の子が現れる。ビムの妹である。小さい頃ふたりはよくこんな扮装をして、ビムの大好きな「ファウスト」のお芝居 [6] をして遊んだのだ。懐かしい家族団欒の雰囲気に誘われたのか、ふたたび母が、今度はマリンルックで現れる。待ちかねていたかのように母の元に、ビム、妹、フェリックスが集まってきて、M...(ここでは父)は母の手の甲にキスをする。

母や妹が去ってしまい、夢は次の場面へ。M...が杖でリズムをとると、それに合わせて規律正しく行進してきたのは、ボーイスカウトの少年たち。ビムも嬉々として一緒に踊る。やがて疲れ果ててみんなが寝袋に入って眠りについてしまうと、森の奥からまばゆく光り輝く天使 [7] がふたり、そうっと現れる。やがてふたりの妖精も加わって、少年たちを見守るように、暖かく包み込むように舞い踊る。朝がきてビムと少年たちは目覚め、ふたたび元気に動き出す。すると、彼らの目の前に現れたのは…

大きくそびえる聖母像だった。ビムは像に母の面影を見出し、一生懸命によじ登ろうとするが、なかなかうまく登れない。ついには足を滑らし、落ちてしまう。M...はそんなビムを突き飛ばし、荒荒しく猛るように踊り出す。

やがて、像がくるりと回転し、美しいほこらが現われ、そこにはビムの捜し求めていた母の姿が。そしてビムと母の愛情溢れるパ・ド・ドゥ。

ビムと母のふたりがほこらに消え、光の天使と妖精たちが踊り出す。と、それに誘われるかのように雪が降りだし、そりに乗ってサンタクロースならぬ、マジック・キューピーが登場。アコーディオンの暖かなメロディーにのせ、華やかなマジックを披露して、やっと母とふたたび出会えたビムを祝福するのだった。
やっと出会えた大切な時間に、互いをいとおしむように踊るビムと母。が、M...に促されビムは、精一杯母を喜ばせようと、趣向を凝らした踊りの数々を母に見せるのだった。闘牛で盛り上がる「スペインの踊り」、自転車に乗った「中国の踊り」、不思議なマジックで始まる「アラビアの踊り」、ダイナミックで華やかな「ロシアの踊り」、そして猫のフェリックスもタキシードの男たちを引き連れて愉快な踊りを披露するのだった。

スペイン、中国、アラビア、ロシア…何かが足りない…そうだ、フランスだ!そして小粋なシャンソン [7] で「パリの踊り」が始まる。ビムも母も一緒にワルツを踊り出す。

楽しく踊るうちに、ビムはバレエの世界に惹き込まれていく。M...(マリウス・プティパ [9] )がお手本を見せるかのように踊りだし、ビムの目は釘づけになる。

白いドレスを身にまとっている母も、「花のワルツ」にのせて若い娘のように軽やかに踊り出す。タキシードの男たちも加わって、ビムも母も嬉しそうだ。

そしてM...(マリウス・プティパ)の紹介で、グラン・パ・ド・ドゥが踊られる。

場面は冒頭のシーンに戻る。ビムはクリスマスツリーのかたわらで眠り込んでしまっていたのだ。夢から覚めると目の前にプレゼントが。包みを開けるとそれは、愛しい母の面影を宿した像なのだった。
 
Photo : Kiyonori Hasegawa
 
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