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速報
ベルリン国立歌劇場
 ヨーロッパの中心地ベルリンで最古の劇場であり、世界で最も美しいオペラハウスの一つとされるベルリン国立歌劇場。ダニエル・バレンボイムは、この伝統と格式を誇る劇場が創立250周年を迎える1992年に音楽監督として迎えられました。この長い歴史をもつ劇場が、その時々の社会情勢から影響を受けてきたことは周知の通りですが、どの時代においても、ヨーロッパのオペラ界にとって重要な位地を占めてきたことも、またよく知られています。そうした時代の荒波にさらされ続けてきたベルリン国立歌劇場と、強い社会的意識をもつダニエル・バレンボイムとの巡り会いが、この上ないベスト・マッチであったことは、音楽監督就任以来、14年におよぶ現在までに、多岐にわたって有形無形のかたちで現れています。
 なかでも最大の成果とされるのは、1994年から開始された〈ベルリン・フェスト・ターゲ〉であり、また、ハリー・クプファーとのコンビによるワーグナー作品全10作の新演出制作といえるでしょう。さらに、バレンボイム時代におけるもう一つの功績には、20世紀および同時代の作品への取り組みがあります。ヨーロッパのオペラ界における財産とでもいうべき作品を、高度な解釈によってベルリンから世界へと発信するその手腕には、世界中が注目し続けているのです。
 2007年秋の日本公演に予定されている三作品を見ると、なるほど、これはバレンボイム率いるベルリン国立歌劇場の魅力のすべてを披露しようとしている、と意気込みが伝わってくることでしょう。モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』は、バレンボイムにとって初めて指揮したオペラであり、ドイツの名門オペラハウスとしては、欠くことのできない作品。ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』は、現在の「バレンボイム&ベルリン国立歌劇場」を象徴する“看板”のような作品です。そして、バレンボイムが「これを日本で上演するのは自分の義務だ」とまで断言するシェーンベルクの『モーゼとアロン』。三演目それぞれが大きな意味と価値をもって選ばれています。
 前回、2002年日本公演での《ニーベルングの指環》全曲演奏は今も日本のオペラ・ファンに鮮烈な印象を残しているに違いありません。しかし、音楽監督バレンボイムとベルリン国立歌劇場は、日々刺激的に変貌するベルリンという地にあって、また世界の時代の大きなうねりのなかで、常に前進しています。それは、次の時代を見据えたバレンボイムの強烈なリーダーシップがそうさせているように思えます。オペラ・ファンの目を釘づけにしているのは、常に鮮度の高い上演を続けているからに他なりません。これがバレンボイム&ベルリン国立歌劇場の最大の魅力といえるでしょう。 
■公演日
2007年9月28日(金)
2007年9月30日(日)
2007年10月2日(火)
2007年10月6日(土

■会場 東京
■予定される主な出演者
ドン・ジョヴァンニ:ペーター・マッティ
ドンナ・アンナ:アンナ・サムイル
ドンナ・エルヴィーラ:アンネッテ・ダュシュ
ツェルリーナ:シリヴィア・シュヴァルツ
レポレロ:アンノ・ミューラー=ブラッハマン
 世紀の色男を主人公とした『ドン・ジョヴァンニ』は、モーツァルトのオペラのなかでも3本の指に入る人気作品。すでに日本でも数々の演出が上演されてきましたが、ここで上演されるのは人間の感情を繊細に描き、ドラマの深みを堪能させることで定評をもつトーマス・ラングホフが手がけた舞台です。今では当代随一の指揮者として世界に認められているダニエル・バレンボイムですが、実は彼のオペラ・デビューは『ドン・ジョヴァンニ』だったのです。常に高い音楽的要求をもち続けてきたバレンボイムですが、この作品にはそうした背景もあって、格別な思い入れがあるようです。バレンボイムが厳選した実力派歌手が揃えられていることにも注目。バレンボイムの『ドン・ジョヴァンニ』は必聴、必見です。 
■公演日
2007年10月 8日(月・休)
2007年10月11日(木)
2007年10月14日(日)
2007年10月17日(水)
■会場 東京、横浜
■予定される主な出演者
トリスタン:クリスティアン・フランツ
イゾルデ:ワルトラウト・マイヤー
マルケ王:ルネ・パペ
クルヴェナル:ロマン・トレケル
ブランゲーネ:ミシェル・デ・ヤング
 ダニエル・バレンボイムと演出家ハリー・クプファーといえば、ベルリン国立歌劇場におけるワーグナーのオペラ全10作品の制作を果たした“ゴールデン・コンビ”。ワーグナーを知り尽した二人に加え、クリスティアン・フランツ、ワルトラウト・マイヤーをはじめとした現代最高のワーグナー歌手たちが揃うこの上演は、まさに決定版ともいえる名舞台になることは間違いありません。叔父の花嫁であるイゾルデと甥トリスタンの道ならぬ恋。その行き着く果ての死というこの物語のテーマはずばり「愛と死」。甘美な愛から恍惚の死まで、波間を漂わせ、やがて官能の海に溺れさせます。観る者すべての心を陶酔させる究極の上演こそ、ワーグナーが描いた『トリスタンとイゾルデ』なのだということをあらためて納得させる上演が約束されています。 
■公演日
2007年10月15日(月)
2007年10月18日(木)
2007年10月20日(土)
■会場 東京
■予定される主な出演者
モーゼ:ジークフリート・フォーゲル
アロン:トーマス・モーザー
 ベルリン国立歌劇場でシェーンベルクの大作『モーゼとアロン』プレミエが行われた2004年4月、その衝撃的な上演のニュースは世界へと広まりました。このオペラのテーマは、神の存在をめぐる思想(言葉)とイメージ(音楽)の対立とされていますが、ペーター・ムスバッハによる演出は、まさに現代社会を映したものとしてつくられ、我々に問題を提起したからです。特徴的なのは、本来はモーゼがいなくなり、不安と焦燥に駆られた民衆の前に、アロンが仕立てたのは黄金の仔牛と設定されていますが、これを人型の黄金の像に変えていることです。やがて民衆の心が離れたときには、その頭部がもぎ取られ、倒された像のうえで大騒動が巻き起こる…。この光景は、誰の目にも、その前年に世界を震撼させたフセイン政権崩壊を思わせるものでした。また、出演者全員が背広にネクタイ、髪をなでつけサングラスをかけているというのが、映画「マトリックス」を連想させたことも、視覚的に強いインパクトを与えたのです。
 モーゼとアロンという二人の主役とともに、このオペラの上演に重要な役割を果たすのは合唱団。音楽監督バレンボイムは合唱団には2年、オーケストラには半年余という時間をかけて、この難曲の上演に取り組んだといいます。
 こうして、誕生したバレンボイムとベルリン国立歌劇場の「モーゼとアロン」は、来年秋の日本公演においても、最大の注目を集めるばかりではなく、日本オペラ上演史上においても、歴史に残る大きな出来事となるはずです。

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