ストーリー 第1幕

第1場:クララの家へ雪道を急ぐお客たち

 クララの家のクリスマス・パーティーに招かれた親子連れが、楽しそうにおしゃべりしながら雪景色の中を、次々とクララの家へ向かっています。少女たちは雪を投げたり、押し合ったりしています。少年たちは、陽気に飛び跳ねています。きちんとした身なりの男の人と着飾った女の人、おしゃべりなおばさんやこっけいな男たち、太ったおじさんなど、さまざまな人がにぎやかに通り過ぎてゆきます。そのあとから少し遅れて、奇妙なステップを踏みながら慌てて走ってゆくおじさんがいます。脇にかかえているのは、おかしな顔をした“くるみ割り人形”です。

第2場:クララの家の広間

 クリスマス・ツリーを飾ったクララの家の広間に招かれた人たちが集まっています。パーティーが始まり、大人たちが踊っていると、雪道を慌てて走っていたおじさんが仮面をつけて現われ、踊りが中断されます。集まってきた子どもたちの前でおじさんはまず人形劇をみせ、次に機械仕掛けの人形を取り出します。ピエロに続いてコロンビーヌ、そしてムーア人の人形が踊り、子どもたちは大喜びです。子どもたちにせがまれて仮面を取ると、おじさんの正体はクララのお父さんの友達の人形師、ドロッセルマイヤーでした。
 ほかの子どもが退場した後、クララと兄フリッツの願いをきいて、ドロッセルマイヤーはおかしな顔をした“くるみ割り人形”を取り出します。クララはこの人形になぜか心を惹かれますが、フリッツはからかうばかりで、そのうちに人形を壊してしまいます。怒ったドロッセルマイヤーはフリッツを追い払い、直そうとしますがうまくいきません。フリッツは懲りずに友達とねずみのお面をつけて、悲しんでいるクララをからかいに来ますが、また追い出されてしまいます。
 少々お酒を飲んで上機嫌の大人たちが、ふたたび部屋へ入ってきて踊りはじめ、やがてパーティーも終わりになります。

第3場:帰り道

 雪のちらつく道を、パーティーを終えて疲れたお客たちが何人かずつ帰ってゆきます。ドロッセルマイヤーは来たときと同じシルクハットにマントという姿で一人満足そうに先頭を足早に去ってゆきます。

第4場:真夜中の広間──おもちゃとねずみの戦い

 誰もいない真っ暗な広間にローソクを手にしたクララが入ってきます。大好きな“くるみ割り人形”を優しくなでているうちに眠りにつき、夢を見ます。
 時計が12時を告げると、さっきの機械仕掛けの人形が出てきます。人形師の合図でクリスマス・ツリーがどんどん大きくなり、クララは魔法の世界に引き込まれます。
 突然、ねずみたちが現われ、“くるみ割り人形”とおもちゃの兵隊との戦いが始まりますが、クララがねずみの王様にスリッパを投げつけ、ねずみたちは退散します。すると“くるみ割り人形”は美しく立派な王子に、クララは少女から娘へと成長します。王子はクララに救ってくれたことを感謝し、クララを雪の世界へと導きます。

第5場:雪の国

 あたりは見渡す限り一面の雪景色です。こんもりした雪の丘や雪に覆われて小山のように見えるモミの木が神秘的に輝いています。その光はだんだん輝きを増し、まばゆいくらいの明るさになります。
 雪の精のワルツが始まり、クララと王子も一緒に踊ります。そして、キラキラとした雪の降る中、雪の精たちに見守られながら、二人は遠い未知の世界へと旅立ってゆきます。

第2幕

第1場:ふしぎの国への舟の旅

 喜びと幸せに満ちあふれたクララと王子を乗せて、虹色の背景の中、舟が静かに水面を渡ってゆきます。クララはわくわくする思いを抑え切れません。
 その後ろにはピエロ、コロンビーヌ、ムーア人を乗せた船が続きます。さらに、しぶとく生き延びたねずみたちが二人を狙って追いかけてきています。

第2場:ふしぎの国の城の庭

 クララと王子がふしぎの国に到着します。いろいろな国の民族衣裳を身にまとった人々や花の精たちが二人を迎え、あいさつをしています。そこへねずみの王様がねずみたちを引き連れて現われ、決戦を挑みます。しかし王子たちは勇敢に戦い、ねずみの王様を倒します。王子は奪った冠を剣で掲げながらみんなに勝利を知らせ、クララにその王冠を捧げます。
 そして、クララと王子を歓迎する、ふしぎの国の華やかな踊りの宴が始まります。

第3場:エピローグ

 クララが一人椅子にもたれて眠っています。目を覚まして、元の醜い“くるみ割り人形”を見つけ、楽しかった夢を思い浮かべて大切そうに胸にしっかり抱きしめます。朝の日差しが辺りを柔らかく包み、クララは憧れが、いつの日にか自分のものになることをはっきりと思い描きます。

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