ジョゼ・マルティネス インタビュー
ジョゼ・マルティネス インタビュー
パリ・オペラ座バレエ団2010年日本公演では、「シンデレラ」を3組、「ジゼル」を4組のキャストが競演するのも見どころのひとつ。ダンサーたちがそれぞれの役をどのように捉え、演じていくのか・・・。フリーライターの佐藤友紀さん、フィガロ・ジャポン パリ支局長の大村真理子さんによる、ダンサーのインタビューを開幕までお届けします。
初回は、「シンデレラ」で映画スターを、「ジゼル」でアルブレヒトを演じるジョゼ・マルティネス。
8月の第12回世界バレエフェスティバルのガラ公演で見せてくれた、アニエス・ルテステュとの「ジゼル」は、短い時間にもかかわらず、ジゼルとアルブレヒトのドラマをくっきりと見せてくれました。
意外なことに、ジョゼが日本で「ジゼル」の全幕を踊るのは今回がはじめて。「全幕が観たい!」と待ち望んでいらした方も多いのではないでしょうか。
ジョゼ・マルティネス(エトワール)
1987年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1988年 19歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
1989年 コリフェに昇格。
1990年 スジェに昇格。
1992年 プルミエ・ダンスールに昇格。
1997年 5月3日「ラ・シルフィード」(ピエール・ラコット振付)終演後、エトワールに任命される。
「僕たちプロのバレエ・ダンサーは、たとえそれが未経験の作品でも、1回振付けられた踊りを踊れば、その作品のコードというか、パや動きはスーッと身体に入っていく。でも作品の考察や自分の役の解釈、表現の深さはそこから始まっていくんだよ」
全幕物の作品でも1回で振付を覚えてしまうなんて、とびっくりしてしまうが、それが長い伝統を誇るパリ・オペラ座バレエ団の底力なのだろう。自分の属するカンパニーについては、こんな自負心もあるというジョゼ・マルティネス。
「ヌレエフ振付の『シンデレラ』では映画スター役も女装しての意地悪な継母役も踊り、かと思えば自分で振付けた『天井桟敷の人々』も上演してもらえる。これってフレキシビリティに富むパリ・オペラ座バレエ団ならではさ」
加えて振付家として、役を割り当てた仲間のダンサーの個性にも常に目を配っている様子だ。他のカンパニーのスター・ダンサーが集う世界バレエフェスティバルでは「英国ロイヤル・バレエ団のマリアネラ・ヌニェスが一番印象に残ったな」と正直な感想を口にする。
「新作を創るのももちろんやり甲斐があるけど、パリ・オペラ座バレエ団の伝統を確固たるものとしている古典の演目に向き合えるのもうれしいことなんだ。というのは、僕らの場合、プロコフィエフの音楽を使った定番の『ロミオとジュリエット』の他に、ベルリオーズの音楽でサシャ・ヴァルツが振付けた全く別の『ロミオとジュリエット』があるように、『ジゼル』にしてもマッツ・エック版を踊ったりして、そこから得た人間考察というか、役の解釈を再び反映することができるから。カードゲームで、切り札を2枚持っているようなものなんだよ(笑)」
ジゼルを踊るのが、アニエス(ルテステュ)の時は「他のダンサーが踊るジゼルより、積極的というか好奇心のあるジゼルだからね。イキイキとしているし(笑)」
というわけで、「最初からだまそうなどと考えずに、いつの間にか恋の喜びにはまっていたという踊りになる」のだとか。さすが名コンビだ!
◆ジョゼ・マルティネス出演予定日
「シンデレラ」
2010年3月12日(金)6:30p.m. (映画スター)
「ジゼル」
2010年3月18日(木)7:00p.m. (アルブレヒト)
2010年3月20日(土)1:30p.m. (アルブレヒト)
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