バンジャマン・ペッシュ インタビュー
バンジャマン・ペッシュ インタビュー
バンジャマン・ペッシュ(エトワール)
1986年 パリ・オペラ座バレエ学校入学。
1992年 18歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。
1994年 コリフェに昇格
1997年 スジェに昇格。
1999年 プルミエ・ダンスールに昇格。
2005年 9月22日中国・上海公演で「ジゼル」のアルブレヒトと「アルルの女」のフレデリを演じ、終演後、エトワールに任命される。
バンジャマンが「ジゼル」を初めて踊ったのは2002年。「これはキャリアの最後まで共に歩んでゆきたい作品。なぜってダンサーが個人として経験し成熟することで、役作りが豊かになってゆくから。良いワインと同じ。年月を経るほどに熟成して、味わい深くなるんです」。
アルブレヒトについて彼の解釈はというと・・・舞台上に颯爽と登場するのは、城の中で育ち、その環境ゆえに少しばかり傲慢なプリンス。それが物質的に恵まれない農家の素朴な娘に出会う。彼女こそが真実。それまで味わったことのない感情に素直に心を動かされ、その気持ちに流されるまま、婚約者のいる身である現実を忘れ、その結果、物語の展開は悪い方向へ向う。
「ジゼル」アルブレヒト(photo:Julien Benhamou/Opéra national de Paris)
「第二幕でのケープをかけて登場するシーンでは、罪悪感と贖罪の気持ちから歩みは映画のスローモーションのように。頭の中ではジゼルとの最初の出会いから思い返していて、もし僕がこうしていたら結果は違っていただろう・・と。心、ここにあらずという歩みなんです」。
「ジゼル」での彼にとって大切な3シーンの1つがここである。もう1つは、第一幕でジゼルと鉢合わせする出会いの場。次の展開を知っているという動きにならぬよう、ごく自然に演じるように努めるという。もう1つは最後にジゼルが墓に消え、さて、これが夢だったのか現実だったのか、というアルブレヒトの思いをみせる場である。「演技過剰もいけないし、カリカチュアすぎてもいけない。できる限り自然に演技する必要があるので、とても難しい役ですよ。公演のたびに、白紙の状態で臨むようにしてます」
第二幕でよく話題にのぼるアントルシャ・シスは、ダンサーの任意。従ってダンサーによって見せるものが異なるのだ。その部分、彼はドゥーブル・アッサンブレを見せた。アントルシャ・シスより自分には難しい、と言うダンサーもいるように、これは力強さを要求されるテクニックだ。「流れとして、このほうが僕にはしっくり思えたので。ショーヴレとアタナソフの「ジゼル」をみたけど、彼もアントルシャ・シスはしなかった。でも彼らが舞台上で発したものは凄かった。技術の披露よりダンサーの俳優的演技が重要な作品。150年前のバレエが、近日のものとして存続できるのもそれゆえですよ」。東京公演の彼のパートナーのイザベルも、演劇性を重視するタイプである。ダンスを超えた、深い感動を残す舞台が期待できそうだ。
大村真理子(フィガロ・ジャポン・パリ支局長)
「ジゼル」アルブレヒト(photo:Icare)
◆バンジャマン・ペッシュ出演予定日
「ジゼル」 2010年3月20日(土)6:30p.m. (アルブレヒト)
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