ウィーン国立歌劇場2012年日本公演『サロメ』指揮者変更のお知らせ
10月14日に開幕するウィーン国立歌劇場日本公演で、『サロメ』を指揮する予定となっておりました、フランツ・ウェルザー=メストは、右腕に負った怪我により指揮の動きに激痛が伴うことから、医師から数週間指揮を休むように厳しく命じられ、日本公演での指揮を断念せざるを得なくなりました。
ウェルザー=メストに代わり、今回の日本公演で『フィガロの結婚』を指揮するペーター・シュナイダーが『サロメ』を指揮いたします。
シュナイダーは1984年に『ばらの騎士』を振り、ウィーン国立歌劇場にデビューして以来、ウィーンの数々の作品を指揮。『サロメ』も彼の得意とするレパートリーのひとつであり、2012/13年シーズンにも『サロメ』を指揮することが発表されております。
音楽総監督に就任して初めての日本公演に並々ならぬ情熱を注いできただけに、このような事態になったことをウェルザー=メストも非常に残念に思っており、日本の観客に向けてのメッセージが届いております。併せてご一読いただければ幸いです。
フランツ・ウェルザー=メストの『サロメ』にご期待いただいていた皆さまには、たいへん申し訳ございませんが、この指揮者変更に何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
公益財団法人日本舞台芸術振興会
■フランツ・ウェルザー=メスト 日本の観客の皆さまへのメッセージ
親愛なる観客の皆様
このたび、ウィーン国立歌劇場日本公演の一員としてではなく、こうしてウィーンより皆様にご挨拶をお送りせねばならないことを大変残念に思っております。
大変遺憾ながら、腕の怪我によりウィーン国立歌劇場の日本公演を降板せざるをえなくなりました。数週間、指揮を休むよう厳しく医師より命じられているのです。
これまで日本に何度となくご招待いただき、日本の皆様のクラシック音楽、とりわけオペラへの特別な情熱に触れる機会を得てきました。この皆様の音楽への真の愛情、深い関心を感じることは、アーティストにとっていつも素晴らしく、そして比類のない経験です。加えて、私個人におきましても、今回の日本公演はとても楽しみにしておりました。ウィーン国立歌劇場の音楽総監督として初めて来日し、ウィーンのレパートリーの中でも大変重要な『サロメ』を3公演指揮し、歌劇場の長年にわたる伝統を素晴らしい皆様の国と一緒に称えるという、私にとって大変意義深い公演となるはずでした。
音楽を愛する皆様と日本またはウィーン、いずれかの地で再びお目にかかれますように。そして、8回目となるウィーン国立歌劇場日本公演が皆様に大きな喜びをもたらし、いつまでも思い出に残る素晴らしい公演となりますことを心より願っております。
ウィーン国立歌劇場音楽総監督
フランツ・ウェルザー=メスト
■ペーター・シュナイダー Peter Schneider
ウィーン生まれ。ウィーン少年合唱団で活躍した後、ウィーン音楽院で作曲と指揮を学んだ。ザルツブルクとハイデルベルクでコレペティトールやカペルマイスターとして研鑽を積んだ後、ライン・ドイツ・オペラの指揮者となる。ここで数々のオペラのレパートリーを習得した。1978年にブレーメンで音楽監督に就任。1981年からは、バイロイト音楽祭にも出演を重ねている。
1993/94年シーズンより、バイエルン国立歌劇場およびバイエルン国立管弦楽団の首席指揮者、現在も主席客演指揮者を務めている。
1995年にはメトロポリタン歌劇場にデビューした。
ウィーン国立歌劇場には、1984年に『ばらの騎士』を振ってデビュー。以来、『カプリッチョ』、『ドン・ジョヴァンニ』、『フィガロの結婚』、『フィデリオ』、『魔笛』、『さまよえるオランダ人』、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、≪ニーベルングの指環≫、『パルシファル』、『トリスタンとイゾルデ』、『影のない女』、『パレルトリーナ』など数々の作品を指揮している。2012/13年シーズンには、『サロメ』、『ワルキューレ』、『フィデリオ』などが予定されている。