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ウィーン国立歌劇場日本公演 「サロメ」ヘロディアス役がイリス・フェルミリオンに決定!

2012年6月28日 16:59

12-06.28_cast.jpgウィーン国立歌劇場日本公演『サロメ』のヘロディアス役は、イリス・フェルミリオンが演じることが決定いたしました。
ウィーン国立歌劇場のほか、バイエルン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座でも成功をおさめているフェルミリオンのヘロディアス、どうぞお楽しみに。














photo:WienerStaatsoper/MichaelPoehn


ウィーン国立歌劇場 小学生のためのオペラ「魔笛」公演詳細決定!

2012年6月 8日 15:59


ウィーン国立歌劇場が誇る、子どもの心に届く"本物"の楽しさ!


12-06.07_02.jpg今回のウィーン国立歌劇場日本公演では、3つのオペラ上演のほかに、「小学生のためのオペラ『魔笛』」の公演も実現します。これまで外来の歌劇場が子ども向けの作品をもってきたことは一度もありませんでした。わが国のオペラの観客も年々高齢化が目立ちますが、次世代の観客を育てることは差し迫った課題になっています。また近年の情報機器の急激な発達・普及により、子どもたちの情操の問題が取り沙汰されておりますので、情操教育の一環としてオペラ鑑賞の機会を子どもたちに提供することは、子どもの心の健全な育成のために大きな意義があると考えています。こうした背景から、このたび世界最高峰のウィーン国立歌劇場が来日するにあたり、NBS では初めて子どものためのオペラ上演に踏み切ることにいたしました。これをきっかけにこうした子ども向けの活動が関心を呼び、子どもたちの舞台鑑賞の機会が増えることを願っています。
ウィーン国立歌劇場で毎年2 月に行われる大舞踏会は世界的にも有名ですが、この催しのために客席を取りはらった平土間を使って、子どもたちにオペラを体験させようと、2003 年から前総裁イオアン・ホーレンダーと前音楽監督小澤征爾によって始められたのがこの子どものためのオペラです。パパゲーノ役の歌手がナビゲーターとなって、オペラの物語や楽器を紹介していきます。およそ1時間とコンパクトにまとめられていますが、主要アリアは網羅されているうえ、演奏がウィーン・フィルのメンバーとなれば上演の質は世界の一級品にほかなりません。
「オーストリアの子どもたちに、オペラを観たことがあるかというアンケートをとったところ、Yes と答えた子どもの80%が、この子どものためのオペラを挙げました。子どもにとっては、舞台と客席ではなく、手が触れられる距離であることはとても重要な経験なのです」と、現総裁のドミニク・マイヤーは語ります。今回の日本公演では、ウィーン国立歌劇場でも活躍している甲斐栄次郎がパパゲーノ役を演じ、日本語で直接子どもたちに語りかけます。子どもたちが最も大きな反応を見せる「夜の女王のアリア」を歌うアルビナ・シャギムラトヴァはこの役でウィーン国立歌劇場にデビューした実力派。さらに、パパゲーナ役のヴァレンティーナ・ナフォルニータはマイヤー総裁のお墨付き。「彼女はカーディフなどの大きな国際コンクールで優勝していますが、私はそれよりも前にイタリアのコンクールで彼女の才能に出会い、すぐにウィーンに来て勉強するようにしたのです」 「オペラは長時間、お行儀よく聴かなければならない」と考えるのは、残念ながら子どものころに「わくわくするような楽しさとびっくりするような歌声や美しい演奏が次々出てくる」"本物" の体験をしていないからなのではないでしょうか。


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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
〈小学生のためのオペラ 「魔笛」〉

Wolfgang Amadeus Mozart Die Zauberflöte für Kinder

第19回神奈川国際芸術フェスティバル



12-06.07_01.jpg[指揮]パウル・ヴァイゴルト Conductor:Paul Weigold

[演奏]ウィーン国立歌劇場管弦楽団
Orchester:Orchester der Wiener Staatsoper


[出演]
ザラストロ:イル・ホン
Sarastro:Il Hong

タミーノ:カルロス・オスナ
Tamino:Carlos Osuna

夜の女王:アルビナ・シャギムラトヴァ
Die Königin der Nacht:Albina Shagimuratova

パミーナ:アレクサンドラ・ラインプレヒト
Pamina:Alexandra Reinprecht

パパゲーノ:甲斐栄次郎
Papageno:Eijiro Kai

パパゲーナ:ヴァレンティーナ・ナフォルニータ
Papagena:Valentina Naforniţă

モノスタトス:ヘルヴィック・ペコラーロ
Monostatos:Herwig Pecoraro


[公演日] 2012年 10月26日(金) 6:00p.m. 開演

[会場] KAAT神奈川芸術劇場 ホール

[チケット発売方法]
●親子券(子ども席+大人一般席) FAX先行抽選予約 7月下旬より受付開始予定

●親子券(子ども席+大人一般席) 一斉発売 8月下旬開始予定
 ※先行抽選予約で残券があった場合に発売いたします。

●大人一般席 一斉発売9月中旬 開始予定
 ※親子券発売後、残席があった場合のみ、発売いたします。

[お問い合わせ お申し込み]
NBSチケットセンター TEL03-3791-8888(平日10:00~18:00、土曜10:00~13:00)


[主催] 公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
[提携] KAAT神奈川芸術劇場(指定管理者:(公財)神奈川芸術文化財団)
[後援] オーストリア大使館/神奈川県教育委員会/横浜市教育委員会


photo:Wiener Staatsoper/Michael Poehn


「アンナ・ボレーナ」が日本最後の公演となるエディタ・グルベローヴァ 最新インタビュー

2012年6月 1日 15:10


30年間にわたってオペラ・ファンを熱狂させた"女王"の告別公演に! 
「今度の『アンナ・ボレーナ』が日本で最後のオペラになります」


取材・文:山崎睦(在ウィーン 音楽評論家)


12-06.01_01.jpg4月24 日、ウィーン国立歌劇場の監督部門が置かれている3階廊下で広報部スタッフとともに待機するなか、エディタ・グルベローヴァが現れた。ターキッシュ(トルコ)がかった鮮やかなブルーのコスチュームがよく似合って、見るからに元気そうな彼女に一堂ほっと一安心。2日後に同劇場でのリサイタルを控えているのだ。今回のインタビューにあたり、劇場側は"女王様" にふさわしい設えということで、もっとも豪華で格式の高い"皇帝のティーサロン"を準備して、すべてが特別待遇だ。この秋のウィーン国立歌劇場日本公演で彼女の演目になる『アンナ・ボレーナ』をテーマに話を進め、それ以降の来日について尋ねたところで、衝撃の引退宣言が出たのだ。「ちょうど良い機会ですから、ここではっきりさせておきたいのですが」と前置きしてから、「今度の『アンナ・ボレーナ』が日本で最後のオペラになります」といきなり言われて、筆者は動転。気を取り直してリサイタルなどでの単独来日の可能性を打診したところ、「それも、もう考えていません。長年にわたって私を応援してくださった日本のファンの方々にお別れするのはつらいですし、お世話になった主催スタッフの皆さんに対しても同様の気持ちですが、ここで区切りを付けます。SAYOU-NARA !」。そしてヨーロッパでも2015 年春以降の予定は入れていないのだと語った。
1980 年の初来日以来、30 年以上を通じてわが国では熱烈なファン・グループが形成されて、一人の歌手に対する広範な支持層の広がりという点では例を見ない存在がグルベローヴァだ。たしかに現在65 才(1946 年12 月23 日生まれ)のグルベローヴァは、一般に歌手生命が短い高音歌手としては、すでに記録的な年齢に達しているわけであって、ここで引退宣言があっても不思議ではない。だが"天下無敵" のコロラトゥーラであり、不世出のディーヴァには、いつまでも歌っていてもらいたいという願望が大きすぎるあまり、もう彼女のライブが聴けなくなるなどとは想像もしたくなかったのだ。じつに潔い、見事な引き際である。


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1970 年のウィーンで、まずモーツァルト『魔笛』の夜の女王で認められ、76 年にR. シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタで世界的にブレークしたグルベローヴァだが、このままドイツオペラに留まっても、自分のリリコ・レッジェーロの声がカヴァーできる役柄は制限され、発展の可能性は限定される。悩んだ末にトライしたのがドニゼッティ『ランメルモールのルチア』だ。


――『ルチア』での空前の大成功により、ベルカント・オペラの方向が開けたのですよね。

グルベローヴァ:はい、そのときからドニゼッティ、ベッリーニの作品が私の中心的レパートリーとなり、ライフワークになりました。そのなかでもドニゼッティの"女王三部作" といわれる『マリア・ストゥアルダ』、『ロベルト・デヴェリュー』、そして今度日本で歌う『アンナ・ボレーナ』は私にとってひときわ重要です。このうち『ボレーナ』は作曲家の出世作と評価され、実際に歌っていても若い意欲と活気あふれる音楽に啓発される素晴らしい作品です。私自身、イギリス・チューダー朝の歴史に強い関心があるので、様々なかたちでエリザベス一世が出てくるこれらの作品は史実としても
興味深く、『ストゥアルダ』は若きエリザベス、『ロベルト』は最晩年のエリザベス、そして『ボレーナ』は彼女の母親、アン・ブリンの物語です。ここでドニゼッティは娘を役柄として登場させませんが、今回のウィーンの演出でも子役が出てきて、観客に二人の親子関係を印象付けるような舞台になっているんですよ。


――長い歌手生活は、まさに波乱万丈でしたでしょうね。

グルベローヴァ:ウィーンに出てきて、最初の7年間はたいへん苦労しました。たまに『魔笛』や『ホフマン物語』のオランピアのチャンスがありましたが、座付きソプラノとして『パルジファル』の花の乙女グループ1の1、『メデア』や『ダフネ』で女中1、とか名前もなく番号で呼ばれる役が多く、意気消沈の毎日でした。


――若い頃から最強の高音をお持ちだったから、グループでも一番上の1番ですけど。ほかに『椿姫』のフローラ、『蝶々夫人』のケート・ピンカートンとか、いまではとても考えられない端役ですね。そうそう、ワーグナー『ジークフリート』の森の小鳥を聴いていますよ。

グルベローヴァ:ああ、あれはちょっとしたお遊びというか(笑)。ただ、ここで言いたいのは、小さい役柄というのは先の発展に継らないですよ。物事はすべてそうでしょうが、大きく困難な課題を与えられて、それを乗り越えようとがんばる、その努力が将来の発展に繋がっていくものです。


――大きな挑戦ということで、ドニゼッティ、ベッリーニの数々の大役を歌ってこられて、あなたのおかげで長年埋もれていた作品が再び上演されるようになったことはオペラ史上、たいへん意義のあることに違いありません。

グルベローヴァ:この夏からベッリーニの、上演される機会のない『異邦人』に着手します。まずミュンヘンにおける演奏会形式で、それで13 年にはチューリッヒで舞台上演にかけます。15 年冬にはアン・デア・ウィーン劇場を予定していて、私の最後のオペラということになりますね・・・。


photo:Wiener Staatsoper/Michael Poehn


ウィーン国立歌劇場音楽総監督 フランツ・ウェルザー=メスト インタビュー

2012年5月11日 17:34

『サロメ』を選んだのは、
"ウィーン・フィル"によってのみ可能な、最高の上演を確信するから!



取材・文:山崎睦(在ウィーン 音楽評論家)



音楽総監督としての展望、日本で振る"ウィーンの『サロメ』"の魅力など、4月初旬のインタビューでは、フランツ・ウェルザー=メストの自信と確信が語られました。


Q:まずは3月の叙勲おめでとうございます。"勲一等学術芸術栄誉勲章"はオーストリアでは最高位の勲章であって、いま52才でこの勲章が授けられると、次はどうなるのでしょう。

フランツ・ヴェルザー=メスト(以下FWM):ありがとうございます。じつはこの国の叙勲システムをよく知らないので、将来については見当が付きません(笑)。


Q:ウィーン国立歌劇場の音楽総監督(GMD)に就任されて、ほぼ2シーズンとなりますが、事前の期待と、その後の現実とのギャップについて、どのように考えられますか。

12-05.11_WELSER-MOEST.jpgFWM:私が国立歌劇場にデビューしたのは1987年のことだから、当時のことはともかく、2010年のGMD就任前に、06年からR.シュトラウス『アラベラ』、ワーグナー《ニーベルングの指環・四部作》、『タンホイザー』と続けてプレミエで出しているので、様子はすでに良く分かっていて、いまのポストに就いた後も、ことさらギャップはありません。


Q:国立歌劇場でオーストリア人が音楽面のトップに立つのはカラヤン以来、じつに46年ぶりとなります。世界最高の歌劇場の頂点に当たる地位だから、あらゆる指揮者にとっての究極のポストであることに違いはないですが。

FWM:カラヤンの前にはベームがいて、彼らの同国人の後継者として、たいへん栄誉なことであると同時に大きな責任も感じています。ただ、当時といまでは歌劇場を取り巻く環境がまったく異なるわけで、それらを踏まえたうえで21世紀における前進、充実をつねに考えているところです。


Q:ウィーン国立歌劇場の魅力や特徴について、最高責任者としての見解は。

FWM:歴史、伝統、格式といったこととは別に、まず毎晩の上演内容のレベルの高さに注目すればウィーンに匹敵する歌劇場はないでしょう。たとえばこの3月に限っても、私自身がR.シュトラウス『影のない女』、『トスカ』、ヒンデミット『カルディヤック』を、ド・ビリが『タンホイザー』を指揮し、復活祭の『パルジファル』をティーレマンが準備しています。他に『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』、『シモン・ボッカネグラ』、『蝶々夫人』、『愛の妙薬』等を、それぞれ第一線級の歌手で提供しているオペラハウスはないですよ。演目数が年間55程度と数が多いだけではなく、フランス・オペラ、スラヴ物などのバランスといい、素晴らしい充実度を誇っています。


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Q:今回、日本で指揮される『サロメ』に話題を移しましょう。国立歌劇場は1980年に一度『サロメ』を日本で客演していますが、再度上演する意味、またバルロク演出のプロダクションの魅力について。

FWM:私がGMDとしての最初の日本ツァーに『サロメ』を決めたのは、"まずオーケストラありき"ですよ。国立歌劇場管弦楽団は周知のようにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(VPO)と重複していて、このオケあってこそのシュトラウスということを強調しておきたいです。カラヤンはウィーンを退出した後、ベルリン・フィルと多数のオペラをレコーディングしていますが、自分が大切にしていたR.シュトラウスの作品、なかでも『サロメ』に限っては、夏のザルツブルク音楽祭もふくめて、VPO以外とは演奏しようとはしなかったですよね。私も彼とまったく同意見であり、作曲家のイメージした世界が、多様な色彩感、自由で即興的な速度と音量の揺れ、そしてなによりも世紀末の雰囲気をこれほど見事に再現できるのはVPOをおいて他にはないでしょう。ウィーンの『サロメ』こそ、稀代の管弦楽法の名人であったシュトラウスの真髄をつたえるものであると確信します。バルロク制作のステージに関しては、世紀末ウィーンのユーゲントシュティールの画家であり、今年生誕150年になるクリムトを大胆に写した舞台美術・衣裳とあわせて作曲当時の世相である爛熟、退廃した空気感が濃厚に伝わってくる素晴らしいステージです。プレミエから40年経っていることなど、まったく超越していて、VPOの演奏と織りなす絶妙のコンビネーションが今回の『サロメ』の見どころ、聴きどころとなります。


Q:ドイツ人ソプラノで題名役に扮するグン=ブリット・バークミンについて。

FWM:バークミンを、私が直接ウィーンでオーディションして起用することにしました。たいへん個性的で演劇的才能があり、なによりもテキストを舞台に反映させる表現力が非常に優れています。私がサロメ役の歌手に求めるものに、まさに該当するからです。


Q:2007年のチューリッヒ歌劇場との『ばらの騎士』以来、日本ではR.シュトラウス指揮者というイメージが強くなりますが。

FWM:そういうふうに見られることに関しては、むしろたいへん名誉なことだと思いますよ。20世紀のオペラ作家として傑出した彼の作品を演奏するのに最適なVPOを擁する歌劇場で、私が指揮できる境遇にあることを感謝したいほどです。来シーズンに『ナクソス島のアリアドネ』、その先に彼の晩年の『ダーナエの愛』、『エジプトのヘレナ』も取り上げるつもりで、私のこの作曲家に対する偏愛は、いっそう強くなっています。


photo:WienerStaatsoper/Michael Poehn


※NBSニュースvol.303より転載


エディタ・グルベローヴァ ウィーン国立歌劇場「アンナ・ボレーナ」が日本最後の舞台に!

2012年5月10日 16:55


12-05.10Gruberova.jpg ウィーン国立歌劇場総裁ドミニク・マイヤーの記者会見レポート(5/7付)でもお知らせしましたが、"完全無欠のコロラトゥーラのプリマ・ドンナ""ベルカントのディーヴァ"と称賛され、30年以上にわたって日本の聴衆を酔わせてきたエディタ・グルベローヴァが、今秋のウィーン国立歌劇場公演「アンナ・ボレーナ」を日本における最後の舞台とすることを、彼女の所属エージェントを通じて正式に発表しました。グルベローヴァは歌手として日本の舞台から退くことを決意しており、今後はリサイタル等での来日もありません。

 グルベローヴァは1970年にウィーン国立歌劇場の「魔笛」の夜の女王で本格的なデビューを飾り、カール・ベーム指揮による「ナクソス島のアリアドネ」でツェルビネッタを歌って一躍国際的な注目を集めました。1980年にはウィーン国立歌劇場とともに来日。「後宮からの逃走」のコンスタンツェと「ナクソス島のアリアドネ」のツェルビネッタを歌い、圧倒的な美声と驚異的な技巧をもって日本初登場の舞台をセンセーショナルに飾りました。

 その後もウィーン国立歌劇場、フィレンツェ歌劇場、バイエルン国立歌劇場とともに来日し、「ランメルモールのルチア」と「シャモニーのリンダ」のタイトルロール、「椿姫」のヴィオレッタ、「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナ、「ロベルト・デヴェリュー」のエリザベッタで登場。また1987年の第1回を皮切りに12回にわたって開催したリサイタルはつねに熱狂を巻き起こし、2003年には自身満を持しての「ノルマ」全2幕を演奏会形式で実現、深い感銘を与えました。

 昨秋のバイエルン国立歌劇場公演前のインタビューで、グルベローヴァは日本の観客について、「日本のファンの皆様とは深い結びつきを感じており、誠実な応援には感謝の念が絶えない。近しい友だち、家族のようにも感じています」と語っています。今回の「アンナ・ボレーナ」は、彼女が日本への特別な想いを込めて歌うファイナル・ステージとなります。希代のディーヴァ、グルベローヴァの天上の歌声を心に刻み込むために、ぜひ劇場にお運びください!


※近日中にエディタ・グルベローヴァのインタビューを掲載します。楽しみにお待ちください。


photo:WienerStaatsoper/Michael Poehn


ウィーン国立歌劇場ドミニク・マイヤー総裁 記者懇親会レポート(音楽評論家:加藤浩子)

2012年5月 7日 16:19

5月1日、ウィーン国立バレエ団日本公演に合わせて来日したウィーン国立歌劇場総裁ドミニク・マイヤー氏の記者懇親会が開催されました。
音楽評論家の加藤浩子さんに懇親会の模様をレポートしていただきました。




選り抜きの3本に、特別なお土産!
〜ウィーン国立歌劇場総裁ドミニク・マイヤー氏、来日公演を語る



音楽評論家:加藤浩子

12-05.07WienSO01.jpg オペラハウスは数あれど、総合的な意味で世界一のオペラハウスはどこかときかれたら、ウィーン国立歌劇場に指を折るひとは多いのではないだろうか。公演の水準の高さ、内容の幅広さ、回数の多さ、建物の豪華さ、雰囲気の素晴らしさ、そして、チケットが毎夜ほぼ完売という人気・・・そのすべてが揃っている歌劇場は、他にない。
 ウィーン国立歌劇場総裁、ドミニク・マイヤー氏が強調するウィーン国立歌劇場の最大の長所はこれだ。「世界一のオーケストラがピットに入ることです。歌劇場では「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」と呼ばれるこのオケは、コンサートホールでは「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」と呼ばれるのです」。
 世界一のオーケストラ、ウィーン・フィルが演奏するオペラを体験できるのは、たしかにここだけだ。そのオペラを享受する贅沢を、日本のオペラファンは1980年以来満喫してきた。ちなみに来日公演のような外国公演の間も、ウィーンでは公演が続けられる。こんなオペラハウスもまた、他にない。
 8度目の来日となる今回の演目は、《サロメ》《フィガロの結婚》《アンナ・ボレーナ》。マイヤー総裁によれば《サロメ》は、2010年に音楽総監督に就任したウェルザー=メストの希望だという。「メスト氏がシュトラウスを得意にしていることは、よく知られています。そして、かつて音楽監督をつとめたこともあるシュトラウスの作品は、国立歌劇場ではとても愛されているのです。なかでも《サロメ》は毎年のように上演されており、オーケストラのメンバーは暗譜でも弾けるほど作品になじんでいます」(マイヤー総裁。以下M)
タイトルロールに抜擢されたのは、ドイツが生んだドラマティック・ソプラノ、グン=ブリット・バークミン。チューリッヒでも《サロメ》を歌っており、「メストじきじきの希望」(M)だという。若い才能を見出すことには定評のあるウィーンのこと、耳の肥えた日本のオペラファンをも満足させてくれるに違いない。

12-05.07WienSO03.jpg
 若い才能をきらめかせる作品といえば、モーツァルトのオペラほどそれに適した作品はないだろう。ソロとアンサンブル、双方の聴きどころが揃ったモーツァルト・オペラは、スターから新人まで、ありとあらゆる歌手の力を発揮させる力を持っている。大傑作《フィガロの結婚》では、これぞウィーン、と喝采したくなるポネル演出の名舞台で、ベテランのシュナイダーの棒のもと、大スターとフレッシュな顔ぶれが競演する歌手たちが最大の魅力だ。伯爵夫人に、この役を歌わせたら右に出るひとはいないバルバラ・フリットリが扮するのをはじめ、カルロス・アルヴァレス(伯爵)、アーウィン・シュロット(フィガロ)らトップスターが揃うのに加え、27歳!のチャーミングなルーマニア人ソプラノ、ハルティッヒ(スザンナ)ら、専属歌手として活躍する若手が大胆に起用されている。「ハルティッヒはモーツァルトの諸役で聴衆を魅了し、すっかり人気者になりました。昨年は代役で《ラ・ボエーム》のミミをスカラ座で歌い、大成功を収めています。今後メトなどでもミミ役を歌う予定です。ウィーンではこのように優秀な若手を専属にし、抜擢して、将来のスターを育てているのです」(M)

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ウィーンが世界に誇る専属歌手のシステムが将来のスターを育んでいることは、数々の実例で証明されている。このほど「オーストリア宮廷歌手」の称号を得たフリットリも、90年代の一時期を専属歌手として過ごした。
だからウィーンでは、素晴らしい歌手の伝統が絶えることなく続いているのだ。
 専属歌手から巣立った大スターといえば、まっ先にあげたい名前がエディタ・グルベローヴァ。ドニゼッティやベッリーニのベルカントオペラの傑作がウィーンで復活し、また上演され続けてきた大きな理由は、グルベローヴァの存在にある。日本公演でも語り草となっている数々の名演を残しているのは、オペラファンならご承知だろう。
 そのグルベローヴァが今回披露するのは、ドニゼッティの出世作《アンナ・ボレーナ》。ヘンリー8世の2番目の王妃アン・ブーリンをヒロインに据えた「女王もの」で、2010年に制作されたばかりのプロダクション(ジェノヴェーゼ演出)だが、何とその時がウィーン国立歌劇場初演だったという。「このような傑作がまだ上演されていなかったのは、大きな驚きでした。私は幸運だった(笑)」(M)。本作のようなウィーンでは知られていない傑作を、積極的に国立歌劇場で初演したいというマイヤー総裁にとって、願ってもないプロダクションだったことだろう。グルベローヴァがこのウィーンのプロダクションに出るのは来日公演が初めてとなる。残念ながら、グルベローヴァ&ウィーン国立歌劇場の来日公演はこれで最後になるとのこと。私たちの記憶に永遠に残る舞台になるのではないだろうか。

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 共演者も選り抜きだ。アンナのライヴァル、ジョヴァンナ役を歌うのは、ベルカントメッゾの最高峰、ソニア・ガナッシ。私事で恐縮だが、この3月にフィレンツェで聴いた同役は圧倒的だった。完璧なベルカントのテクニックに、色めいた艶のある声で聴き手を引き込む。現役の歌手では世界最高のジョヴァンナだろう。エンリーコ8世には、人気沸騰中のイタリア出身のバス、ルカ・ピサローニ。美声と色気、そして「パーソナリティがある」(M)魅力的な歌い手だ。やはり専属歌手から出発し、今やスター街道ばく進中のメッゾ、クールマンが歌うスメトンにも注目して欲しい、とマイヤー総裁。「ワーグナーもレパートリーにしているほど声がフレキシブル。暗い声質もズボン役に向いています」(M)。ベルカントオペラの第一人者、エヴェリーノ・ピドの指揮も楽しみ。「デセイが初めてベルカントオペラに挑戦した時に指導をした、この方面のベテランです」(M)。

12-05.07WienSO02.jpg 今回の来日公演では、この豪華3演目に加え、とびきりの手土産が用意されている。「ウィーンでとても重要な位置を占めている」(M)という、《子どものためのオペラ魔笛》がそれ。「ウィーンに住んでいる子どもに、オペラを観たことがあるかどうかアンケートを取った時、「観た」と答えた子どもの8割が《子どものためのオペラ魔笛》を観ていました」(M)
 何事も大切なのは、「はじめの一歩」。とくに感受性の鋭い子どもには、本物に接してもらいたい。そう思う方は少なくないだろう。ウィーン・フィルと国立歌劇場の専属歌手たちによる《子どものためのオペラ魔笛》は、演目も含めて理想的な「はじめの一歩」ではないだろうか。劇中随一の人気者のパパゲーノを歌うのは、専属歌手として活躍する甲斐栄次郎。もしかしたらその日の客席から○○年後、「第2の甲斐栄次郎」が現われるかもしれない。


舞台写真クレジット
WienerStaatsoper/MichaelPoehn(「サロメ」「アンナ・ボレーナ」)
WienerStaatsoper/Axel Zeininger(「サロメ」「アンナ・ボレーナ」)


ウィーン国立歌劇場2012年日本公演オフィシャルサイト オープン!

2012年4月16日 18:31

今秋10月~11月、東京・横浜で開催されるウィーン国立歌劇場2012年日本公演のオフィシャルサイトサイトがオープンしました!
音楽の都ウィーンが誇るオペラの殿堂、ウィーン国立歌劇場4年ぶりの日本公演にご期待ください!



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●ウィーン国立歌劇場2012年日本公演公式サイト 


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