東京バレエ団 モーリス・ベジャール振付『M』

初演キャスト・小林十市(モーリス・ベジャール・バレエ団バレエマスター)が語る『M』のヒミツ

初演キャスト・小林十市(モーリス・ベジャール・バレエ団バレエマスター)が語る『M』のヒミツ

※この動画は2020年12月に製作されたものです。

ベジャール✕三島
2人の天才により生み出された圧倒的な美の世界

東京バレエ団には何作ものオリジナル作品がありますが、その中でもひときわ強い輝きを放っているのがモーリス・ベジャール振付『M』(1993年世界初演)。日本を代表する作家、三島由紀夫の傑作群と作家自身の人生をわずか100分の中に凝縮させ、まるで絵巻物のような美しい場面と迫力あふれる踊りが息をつかせぬほどのテンポで展開していきます。
三島、と聞くと思わず身構えてしまう方もいるかもしれませんが、『M』は三島作品を読んだことがない方でも楽しめる魅力にあふれています。
ここではそんな『M』の魅力を様々な角度からご紹介します。

1993年パリ・オペラ座公演より
1993年パリ・オペラ座公演より photo: Jacqus Moatt

これを知ればもっと舞台を楽しめる!
『M』~5つの鑑賞ポイント~

東京バレエ団総出演!
全プリンシパルが同じ舞台に立つ最高に贅沢なステージ

バレエの舞台を牽引するのは華やかなプリンシパル(最高位ダンサー)たちであることが多いわけですが、彼らは基本的に主役を踊るための存在。…

まるで絵巻物のような美しい場面の連続!

『M』には三島由紀夫の様々な作品が登場しますが、特筆すべきは各場面の圧倒的な美しさ。 それぞれの場面がまるで完成された巨大な絵画のような輝きを放ち、次々と展開していく様は上質の絵巻物のようです。…

ベジャールが仕掛けたマジック

ベジャールは、本作において観客の想像力を刺激するような様々なマジックをしかけています。早いテンポに慣れた現代人の感覚にも違和感のないほど、本作では次々と場面が展開していきますが、…

高度な技巧満載、迫力ある踊りの洪水

実は、ベジャールの振付を踊るには高度なクラシック・バレエの技巧が求められるのです。本作においてもパッと見ただけではわからないような高度なテクニックがふんだんに盛り込まれ、確かな技術に裏打ちされた…

天才的な選曲

『M』の幕開けは静かな潮騒の音からはじまります。本作の中心を成すのは、その「La Mer(海)」を含む、黛敏郎による20以上のオリジナル曲。しかしそれ以外にも、わらべ歌、ワーグナーのオペラ、シャンソンと多彩な音楽が挿入されており、それらを選んで舞台にまとめあげたのがベジャール。その手腕には驚かされます。さらに!…

出演者からのコメント

上野 水香(女役)

女というのは、この作品で唯一有機的な役名です。個としての名前はないけれども三島さんの作品に出てくる女性像を包括するような表象ともとれます。強い女性の役ですが、強さだけではなく、女性としての薫りを出せるようにつとめていきたいと思っています。それが出せれば、より魅力的な役になれる、ものすごい色や光を秘めている役だと感じています。テクニック的にはイチとのパ・ド・ドゥが非常に難しく、音楽ですらないような音に載せて身体を極限まで使う役ですが、三島作品のエッセンスを感じつつ、ベジャールさんが表現したかったこと、この役に込められたある種の理想の女性像を客席にお届けできたらと思います。

Photo: Kiyonori Hasegawa

池本 祥真
(Ⅳ―シ役)

東京バレエ団に入団して7年、幸いなことに様々なベジャール作品を踊る機会がありました。ベジャールの作品にも様々な種類がありますが、その中でも『M』は特に難しい作品の1つ。テクニックももちろんですが、表現が特に難しく、抽象的な作品世界の中で何を表現するかが出演者に問われます。僕たちの世代にとって三島由紀夫は接点もなく、あまり触れる機会のない作家ですが、前回初めてこの作品に出演した際、作品の内包する普遍的なテーマに触れた気がしました。僕が演じるⅣーシは、「死」でもあります。「死」というのは誰にも等しく訪れるもの。三島由紀夫の死生観、そして日本人ならではの死に対する考え方というものが作品に含まれていると感じます。踊りをとおしてその精神性をお客様に感じていただきたいと思います。

Photo: Kiyonori Hasegawa

樋口 祐輝(聖セバスチャン役)

『M』には明確な物語がないので、お客様に「何を」伝えるのか?という点が非常に難しいと感じています。僕が演じる聖セバスチャンは抽象的であり中性的であり、かつナルシズムの表現が必要とされる役です。僕個人のキャラクターとはかなりかけはなれた役なので演じるのはとても難しいのですが、樋口祐輝という人格は舞台上では封印し、お客様には聖セバスチャンという役の輪郭をしっかりとお見せしなければと思っています。踊りという点では技巧的に難しいソロが多く、あまり他の役との絡みもありません。そのソロの踊りをとおして、役としての変化をお客様に感じていただけたら。リハーサルでは小林十市さんから「手の表現よりも、呼吸の使い方でいかに身体を大きく動かすことができるか」という点を特にご指導いただいています。

Photo: Kiyonori Hasegawa

芸術監督 佐野志織の語る『M』
~初演から現在に至るまでの軌跡~

主な登場人物&作品の構成については
コチラからお読みください

東京バレエ団 「M」

東京バレエ団
「M」

振付・演出・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎、C.ドビュッシー、J.シュトラウス二世、E.サティ、R.ワーグナー

2025年
9月20日(土)14:00
9月21日(日)14:00
9月23日(火祝)13:00

会場:東京文化会館(上野)

上演時間:約1時間40分(休憩無し)
※音楽はピアノの生演奏、および特別録音による音源を使用します。

助成:  文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動)) 独立行政法人日本芸術文化振興会

主催: 公益財団法人日本舞台芸術振興会

後援:一般社団法人日本バレエ団連盟 / 在日スイス大使館

委託:日本博2.0 公式WEBサイト