英国ロイヤル・バレエ団 2026年日本公演

英国ロイヤル・バレエ団 2026

英国ロイヤル・バレエ団が贈る、2つの傑作バレエ。
ユーモアあふれる牧歌的喜劇『リーズの結婚』と、ロマンティック・バレエの最高峰『ジゼル』。

リーズの結婚

La Fille mal gardée

あらすじ

裕福な農園主の一人娘リーズはコーラスと恋仲で、密かに愛を育んでいる。しかしリーズの母シモーヌは娘をぶどう園主の息子アランと結婚させたい。アランとの結婚を望まないリーズは、収穫祭の場で恋人コーラスの存在を告白するが、シモーヌは許さず、娘を家に閉じ込め仕事を言いつける。そこにアランが父親とやってきて、いよいよリーズとの結婚の契約が交わされ…。

人物紹介

『リーズの結婚』相関図

見どころ

見どころ1
心温まるフレデリック・アシュトン版

アシュトン版には主役ふたりの踊りに恋する喜びがあふれ、観ているだけで胸が高鳴る。また、ふたりの恋を阻む母シモーヌやアランにも優しいまなざしが注がれるのも特徴。コミカルに演じながら難易度の高い振付を踊りこなすダンサーの技量にも注目!

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見どころ2
ニワトリたちの軽快な踊り

幕が開いてすぐに登場するのが、1羽の雄鶏とそれに従う4羽の牝鶏による「ニワトリの踊り」。羽と脚をパタパタさせながら軽やかに跳びまわる姿はニワトリそのもので、観客の心をわしづかみに! 愛らしいその姿を通して、農場の夜明けの景色が目の前に広がる。

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見どころ3
かかとを鳴らして踊る「木靴の踊り」

口うるさい母親シモーヌですが、おだてられると乗ってしまう愛らしい一面も。そんな一面が垣間見えるのが、タップダンスのような「木靴の踊り」。かかとを鳴らしながら自慢げに踊りを披露する姿は、なんとも憎めない。ちなみにアシュトン版では、シモーヌ役は男性ダンサーが踊る。

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見どころ4
愛の象徴としての「リボン」

リーズとコーラスの愛の象徴として、リボンが効果的に使われる。リーズとコーラスがリボンを互いの体に絡ませながら踊る「リボンの踊り」。さらに、柱から下がったリボンをダンサーたちが踊りながら編み込んでいく「メイポールの踊り」。そして、リボンを持った友人たちとともにリーズとコーラスが踊るパ・ド・ドゥも必見。

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見どころ5
母と娘の駆け引き

コーラスとの愛を貫きたいリーズと、ふたりを別れさせたい母シモーヌ。第2幕では、そんな母娘の駆け引きも見どころ! シモーヌの目をかいくぐり、リーズはコーラスと愛を語らう。なお、リーズがコーラスとの将来を空想するシーンは、夢見る乙女の愛らしさがあふれているので注目を。

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見どころ6
舞台上に本物のポニーが登場!

終幕、リーズとコーラスが結婚するハッピーエンドに登場して客席をわかせるのが真っ白のポニー! やっと結ばれたふたりを祝福するかのようなポニーの姿で、舞台はさらなる幸福感に包まれる。

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『リーズの結婚』トリビア

トリビア

幕が開き、1羽の雄鶏と4羽の牝鶏が陽気に踊るシーンは、ヤナーチェク作曲のオペラ『利口な女狐の物語』からヒントを得たものである。ベルリンのコーミッシェ・オーパーで上演された、ワルター・フェルゼンシュタインによる演出の同作に登場する鶏たちを観たアシュトンが、その演出と衣裳を参考にした。

トリビア

少し抜けたところはあるが愛すべきキャラクター、アラン。この役はスメタナ作曲のオペラ『売られた花嫁』に出てくるヴァシェックに似ている。なお、同作には恋人のいる主人公が、大地主の息子と結婚させられそうになるという筋があり、そこも『リーズの結婚』と似通っている。

トリビア

周囲にからかわれる気の毒なアランだが、最後にお気に入りの赤い傘を取りに戻ってくるという、素敵なラストシーンが描かれる。このシーンはリヒャルト・シュトラウスによるオペラ『ばらの騎士』の最終場面からヒントを得たと言われている。

トリビア

第1幕にある「メイポールの踊り」と、第2幕に男性たちによって踊られる「スティック・ダンス」は、英国ロイヤル・バレエ学校で実際に教えられている民族舞踊から引用したものである。ちなみにメイポールとは、ヨーロッパの夏至祭のときに飾られる、リボンや花を巻きつけた大木のこと。

トリビア

リボンを使うモチーフは、1803年、プティパとイワーノフによる作品にあった「パ・ド・ルバン(リボンの踊り)」から着想したもの。アシュトンはそのモチーフを拡大させ、作品全体でもっとも重要な隠喩とした。なかでも第2幕のパ・ド・ドゥにある、リーズを中心に輪になったリボンのなかにコーラスが走り込んで彼女を抱き上げるシーンは、ふたりの愛の絆のリボンだけが残るという印象深い演出になっている。

ジゼル

Giselle

あらすじ

村娘ジゼルと村人になりすましたアルブレヒト伯爵は恋仲。ある時、貴族の一行が村を訪れ、ジゼルは美しい貴族女性バチルドをもてなすが、彼女はアルブレヒトの婚約者だった。ジゼルに思いを寄せる森番ヒラリオンはアルブレヒトを怪しみ、皆の前でその正体を暴く。ジゼルは衝撃のあまり狂気に陥り、アルブレヒトの剣で自らの命を絶つ。夜、ヒラリオンとアルブレヒトが相次いで森の中の彼女の墓を訪れる。ジゼルは婚礼の前に男に捨てられて死んだ娘たちの亡霊「ウィリ」の一員になっていた。ウィリたちはヒラリオンを踊らせて殺し、次にアルブレヒトに狙いを定め…。

人物紹介

『ジゼル』相関図

ライト版『ジゼル』鑑賞ポイント!

ジゼルは自ら死を選ぶ

第1幕で、アルブレヒトの裏切りを知って傷ついたジゼルは死を遂げる。多くの版ではショックによる死として表現しているが、ピーター・ライトは死因を明確に自死とした。それについてライトは「初演と同様にジゼルは自殺をするべきだと考えており、だからこそ彼女のお墓は正式な墓地にない。自殺は大罪なので、邪悪なウィリから守られるはずの、キリスト教の正式な墓地に埋葬されることを拒否されたためです」と語っている。死因を明確にしたことでより悲劇性が増し、さらに第2幕でジゼルがウィリになるという物語に一貫性が生まれた。

深い森を表現した美しい舞台美術

ピーター・ライトが「敬意を抱いていた」ジョン・マクファーレンが手がけた美術が、ライト版『ジゼル』が描き出す物語にさらに深みを与えている。第1幕はぶどうの収穫祭がおこなわれる秋らしい黄金色に彩られ、質素ながら豊かに暮らすジゼルらの家々が立ち並ぶ。第2幕は黒い木々に囲まれた深い森のなか、正式に埋葬されなかったゆえの簡素な十字架の墓が目につく。ピーター・ライトは第2幕について「森の深部へ分け入るような奥行きがよく表現されている」と語っている。

ジゼルによる「狂乱の場」の演技

ジゼルがアルブレヒトに裏切られ、気が触れて自死するシーンは「狂乱の場」と呼ばれ、最大の見どころである。ジゼルの演技が注目だが、同時に周囲にいる人々の動きにも目をこらしてほしい。「この場面はジゼルの動きが目立つように細部まで組み立てられていますが、即興でしているように見えなくてはなりません。私はこれが、ジゼルだけでなく、全員にとっての狂乱の場であってほしいのです。村全体が、混乱に陥るということです」(ピーター・ライト)

ぞっとするほど美しいウィリの世界

女王ミルタのもと、夜な夜な通りかかる男たちを死ぬまで踊らせる――そんなウィリたちによる第2幕は背筋が凍るほど恐ろしいが、真っ白なロマンティック・チュチュを身につけた彼女たちが一糸乱れずに踊る様は美しくもある。ピーター・ライトは第2幕について「ウィリたちは月光に照らし出された単なるきれいな女の子ではない。ここでは彼女たちは邪悪ながら魅惑的な若い女性の幽霊で、かつて自分を裏切った男性に報復することを心に誓っている」と説明している。

マイムについて

台詞を伴わないクラシック・バレエでは、言葉の代わりに「マイム」と呼ばれる身振り手振りが用いられます。『ジゼル』でも、母親ベルタがジゼルに村に伝わる恐ろしい伝説を語る場面や、第2幕でウィリの女王ミルタが取り憑いた男を踊り死にさせる場面などで、マイムが重要な役割を果たします。ここではミルタによるマイムの一部を説明しましょう。

1

「あなた(おまえ)

「あなた(おまえ)」と話しかけているマイムです。相手に向かって手を差し出すことで、誰に話しかけているかを明確にします。

2

「ここで」

場所を示すマイムです。ミルタはアルブレヒトやヒラリオンに向かって「この場所で」と示しています。

3

「踊る」

両手を頭上に上げてくるくると回すと「踊る」という意味になります。このマイムは多くの作品に登場し、『ジゼル』では第1幕、村人たちがジゼルに「踊って」と誘う場面でも使われます。

4

「死ぬ」

拳を握り、両手首をクロスさせて地面に向かって振り下ろすのは「死ぬ」を意味します。このマイムも多くの作品で使用され、『眠れる森の美女』ではカラボスがオーロラ姫の死を予言するシーンで用いられます。

Photos: Andrej Uspenski / RBO

公演概要

『ジゼル』

  • 7/10(金) 18:30 マリアネラ・ヌニェス、ウィリアム・ブレイスウェル
  • 7/11(土) 13:30 サラ・ラム、平野 亮一
  • 7/11(土) 18:30 ナターリヤ・オシポワ、リース・クラーク
  • 7/12(日) 12:00 金子 扶生、ワディム・ムンタギロフ
  • 7/12(日) 17:00 高田 茜、セザール・コラレス

会  場:NHKホール (渋谷)

上演時間:約2時間10分(休憩1回含む)

指  揮:マーティン・ゲオルギエフ

演  奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

-川口リリア リオープン記念公演-

『リーズの結婚』

  • 7/3(金) 18:30 マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
  • 7/4(土) 13:00 アナ・ローズ・オサリヴァン、スティーヴン・マックレー
  • 7/4(土) 18:00 マヤラ・マグリ、マシュー・ボール
  • 7/5(日) 13:00 高田 茜、カルヴィン・リチャードソン
  • 7/5(日) 18:00 フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ

会  場:川口総合文化センター・リリア

      フカガワみらいホール(メインホール)

上演時間:約2時間20分(休憩1回含む)

指  揮:ホセ・サラサール

演  奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団