〈躍進する東京バレエ団 vol.3 The Tokyo Ballet

 キリっと引締まった体つきに端正なマスクが映える――。近年、東京バレエ団の財産であるベジャール作品において主要な役柄に挑み、その魅力を輝かせる逸材だ。
 しなやかで粘りのある体使いが持ち味。緩急自在なベジャール振付を巧みに踊りこなす。『中国の不思議な役人』では倒錯したエロスを表す娘役をあでやかに演じた。『ザ・カブキ』では塩冶判官ならびに勘平を務めるなど役柄の幅も広い。なかでも『春の祭典』の生贄は鮮烈だった。凛として涼やかなたたずまいの彼が犠牲になる様子は痛切極まりない。
 古典もきっちり踊れる。先日、子どものためのバレエ『ねむれる森の美女』のデジレ王子に抜擢された。オーロラ姫役の吉川留衣と息のあったパートナーシップを披露。マナーよく王子役を演じ進境を示した。
 3月16日に行われる「NHKバレエの饗宴2013」では『春の祭典』の生贄を任される。花も実もある実力派。新世代が台頭するバレエ団の中核として一層の活躍が望まれる。

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