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マラーホフの贈り物 A Gift From Malakhov

ウラジーミル・マラーホフ 2004年のプランと近況を語るVladimir Malakhov INTERVIEW

---今回の大きな見どころとメンバーについて教えてください。
 観客の皆さんに楽しんでもらえるように、今度も新しいプランを用意しています。今回は初めてのメンバーが多いし、とくにディアナ・ヴィシニョーワがパートナーとして参加してくれるので、僕の新しい面もいろいろと見てもらえると思う。まずAプロはディアナと僕を中心に、東京バレエ団にも加わってもらって「バレエ・インペリアル」を上演します。これはベルリンでも上演しているし、ディアナのバランシーンは素晴らしい。それに、東京バレエ団に参加してもらうのはこのシリーズの“伝統”だからね。Bプロの「アポロ」は、僕と、三人の美しいミューズ—ディアナとポリーナ(セミオノワ)、それに僕が芸術監督をしているベルリン国立歌劇場のコリーヌ・ヴェルデイユという取り合わせです。
 ディアナとはベルリンやマリインスキー劇場以外でもいろいろなところで踊っています。これまでのパートナーも素晴らしかったし、僕は相手によってテクニックも表現も変えるから比較はできないけれど、彼女とはとても踊りやすいのです。彼女の目を見れば考えがわかるし、動きを見れば感じることができる。お互いに大変理解し合えているんです。
---今年、あなたが日本に紹介したポリーナ・セミオノワも大きな話題になっています。
 彼女の素晴らしさは、「眠れる森の美女」と「くるみ割り人形」でよくわかってもらえたと思う。彼女のことはぼくがすべて面倒を見ています。ぼくの“子ども”だからね(笑)。19歳になったばかりで、若いから何でもやりたがるし、外部出演の引き合いも多くなっているけれど、この時期にやり過ぎは禁物。ひとつの舞台に対して時間をきちんとかけて準備しなくては。まずは古典、それからドラマティックな作品、というように。舞台経験と人生経験が一体となったところで、初めて表現できるような作品もあるから。彼女のような逸材は時間をかけて育てないといけないと思っています。でも、ポリーナは賢いし素直だから、きっと順調に伸びてくれると信じています。
---彼女のほかにも、今回は注目の若手が登場しますね。
 マルチン・クライエフスキーもベルリン国立歌劇場の才能ある若手です。とにかくボールのようによく跳ぶので、ベルリンでは「ラ・バヤデール」の黄金の仏像を踊っている。この公演ではソロの「レ・ブルジョワ」、それにコリーヌとも組みます。バレエ学校時代から知っているシュツットガルトのフリーデマン・フォーゲルは、今回はポリーナと組んでもらいます。背が高くてバランスがいいし、二人ともきれいなダンサーだから素敵なペアになると思う。それから、おなじみのルシア・ラカッラとシリル・ピエールは、今度も官能的な舞台を見せてくれるでしょう。スピーディな踊りのガリーナ・ステパネンコはアンドレイ・ウヴァーロフと参加します。官能、スピード、リリカル、ドラマティック、ちょっと変わったもの、いろいろなものが見られるよ! その中で僕は、“お年寄り”の役かなぁ(笑)。
---そういえば、前回のコミカルな「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」にはびっくりさせられました(笑)。今回また、披露しますね。
 僕は、地はひょうきんものだからね。今までその才能を発揮する作品があまりなかったんだ。これはディアナもやってみたいと言っていたんだよ。
---ところで、ベルリン国立歌劇場の芸術監督職も2シーズン目に入りましたね。
 最近またオーディションを行って、若いダンサーたちを採用しました。たくさんの孫を抱えたお祖父さんのような気分だよ。将来彼らがどれだけ伸びるかという潜在能力で選んでいますし、ダンサーとしての美しさも重視している。パリ・オペラ座のレティシア・ピュジョルの妹、ガエラも入団しました。彼女がなぜオペラ座に採用されなかったのか、まったく謎ですね! それと、日本人の女の子も一人採用しました。オーディションには日本から35人も受けにきたんですよ。
 じつは、年内には正式決定する予定ですが、僕のところと、ベルリン・ドイツ・オペラ、コーミッシェ・オペラのバレエ団が統合されることになり、僕がその統合カンパニーの芸術監督となります。現在66人の団員が、88人に増える予定です。いろいろな問題をクリアして足並みが揃うまでには時間がかかると思うけれど、ドイツ・オペラのほうが現代物のレパートリーは抱負だから、それを吸収できればいいと思う。
---来年3月に初演される3作目の振付・演出、「シンデレラ」の準備は進んでいますか。
 まったく新しいコンセプトを考えています。現代の、あるバレエ団が舞台になっていて、その現実のあいだに夢の世界としての「シンデレラ」が劇中劇のように挟まるという構造。二つの世界の人物はそれぞれ対応していて、主人公の新進プリマがシンデレラ、二人のベテラン・プリマが二人の義姉、芸術監督がお母さん、年配のバレエ・マスターが妖精、ゲスト・ダンサーが王子というように、すべて二役です。バレエ団は「シンデレラ」を上演しようとしていて、そのキャスティングをめぐって物語が進む。シンデレラ役はポリーナ。ぼくは醜い、というか体型に問題のあるベテラン・プリマの一人を演じる予定。もちろん、女性役(笑)。でもシリアスな役なんだよ。それから別の日には王子も踊ります。この「シンデレラ」については4つ〜5つあったアイデアの中から幾つかを合わせたのですが、この他にも実現したい舞台のプランがたくさんあるんですよ。
---これからはベルリンの動向にも目が離せませんね。どうもありがとうございました。

NBSニュース 2004年1月号 vol.203 からの転載







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