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Aプロ 2004年9月1日(水) 7:00pm
Bプロ 2004年9月2日(木) 7:00pm
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昨秋のミラノ・スカラ座日本公演での「マクベス」と「オテロ」は鮮烈な印象を残しました。すべてが指揮者リッカルド・ムーティの意のままに統率され、見事なアンサンブルを生み出していたのです。
そのカリスマ的な統率力は、"皇帝" 異名にふさわしいものでした。スカラ座がつねに最高水準のオペラ上演を維持していられるのは、オペラに関してはこれ以上ない性能を備えたオーケストラを擁しているから。ムーティとスカラ座のオーケストラは、一体となり、日本の観客を興奮の坩堝に巻き込んだのです。
ムーティがこの9月、スカラ・フィルを率いて再び来日します。今回予定されているプログラムには、これまで必ずといっていいほど組まれていたオペラやバレエ曲が一曲も入っていません。しかし、スカラ・フィルにとってのシンフォニー・コンサートとは、歌手に代わって楽器が「声」となることなのです。コンサートはそれぞれの奏者が持てる技量を誇示しながら、精妙なアンサンブルを披露する場になっています。彼らは数々のオペラ上演で、あらゆる登場人物の喜びや哀しみを表現し尽くしてきたからこそ、人生の機微を聴き手に切々と訴えることができます。彼らが演奏すると、シンフォニーもオペラと化すのです。
イタリアの青い空を思わせる輝かしい響きとイタリアの血ならではの豊かな歌心と表現力、そしてオペラで培われたドラマティックな音楽づくり・・・。世界中のオーケストラが、没個性化が進むなかにあって、スカラ・フィルのように、独自の確固たるカラーをもっているオーケストラは、ますます貴重な存在になってきています。このところ、スカラ・フィルはウィーン・フィルと対比して語られることが多くなっていますが、それは取りも直さずスカラ・フィルの高い評価を裏付けるものといえるでしょう。
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