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  東京バレエ団「M」  
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 若くから早熟な才能を文壇で開花させ、その独特の鮮烈な美学と思想に彩られた世界が国際的にも高い評価を得ている三島由紀夫。遠国の心酔者の一人である振付家モーリス・ベジャールは、1993年、東京バレエ団に『ザ・カブキ』に続く二つ目のオリジナル大作を振付けるに際して、なんとテーマにこの文学者を選びました。それは三島の生涯や著作を物語るのではなく、彼の人生・文学・思想・美学をまるごと一つの作品にしてしまおうという、大胆な試みでした。
 始まりは、三島作品の中にもたびたび登場する「海」。水の色をまとった女性たちが表わす潮騒の情景から、制服姿の少年が和装の年配女性に伴われて登場します。作家の原型であるその少年は、祖母と思しき年配女性に導かれ、彼自身の魂の遍歴をなぞるかのような旅を始めます。少年には4人の分身がつづき、4人目は“死”であることが明らかになります。少年あるいは分身たちは、『鏡子の部屋』『禁色』『鹿鳴館』『午後の曳航』『金閣寺』などの著作を暗示する場面や、美学的モティーフであった“聖セバスチャン”のイメージに遭遇しながら、やがてワーグナーの終末的な「トリスタンとイゾルデ」の“愛の死”にのせた『憂国』〜自決へと緊張に満ちたクライマックスへと到達。そして三島の思想の一つである“輪廻転生”して、始まりと同じ海へと回帰してゆくのです。
 「私は詩人(三島)を批評するのではなく、愛するためにこれを創った」とベジャール。天才作家の世界を鋭く看破し、日本人ダンサーの肉体を通して、その魂に狂おしいまでに寄り添うことを願った巨匠のオマージュ—それがこの『M』です。初演以来、欧州の一流オペラハウスで幾たびもの喝采を浴びた傑作が、今ふたたび蘇ります!





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