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2020/12/23(水)Vol.412

リッカルド・ムーティが語る
ニューイヤーコンサートへの思い
2020/12/23(水)
2020年12月23日号
TOPニュース

リッカルド・ムーティが語る
ニューイヤーコンサートへの思い

「私は希望を持っています」
レプッブリカ紙 動画インタビューより

新年恒例のウィーン・フィルによるニューイヤーコンサートは無観客で行われるとの発表があった。コロナ感染で厳しい状況が続くヨーロッパにおいて中止を免れるための窮極の決定なのだろう。その2021年のニューイヤーコンサートを指揮するのはリッカルド・ムーティである。

イタリアの日刊紙レプッブリカが2020年12月11日にマエストロ・ムーティの動画インタビューを配信した。その中でマエストロが明かした本心とは? 6回目の登場となるマエストロ・ムーティは無観客でのニューイヤーコンサートに対してどう思っているのか語っていた。

「毎年世界の国々で中継される大事なコンサートが中止ということになったら悲しいばかりではなく劇的な重大事になりますから、国は劇場閉鎖をしている中でどうにか実現出来る方法をとったのでしょう。でも今後の感染状況次第だと思いますし、まだ無観客での開催になるかは疑問符つきだと言いたいですね。私は希望を持っています。 8月にザルツブルク音楽祭でベートーヴェンの第九を指揮しました。この時はもちろん無観客ではありませんでしたが、もし、無観客でテレビ放送のみでもこの作品なら可能だったと思います。例えばシューベルトの『未完成』も静寂の中で終わることに異論はありません。でもニューイヤーコンサートは今年のようなイヤな年を忘れて新しい年を祝う喜びを謳歌する演奏会です。静寂の中で始まって曲が終わってもシーンと静まり返っているというのはどんな状態なのか想像が付きません。どんな雰囲気なのか分からない演奏会は今回が初めてです。ポルカのようにテンポの速い曲は観客の気分を高揚させて大きな反応があるのが常ですが、静まり返ったままで終わるのは寂しいです。オーケストラにとっても指揮者にとっても演奏する喜びは観客と共にありますからね。観客が少数でも私には問題ではありません。この数週間で状況が変わることを祈っています。」

マエストロは家でレコードを聞くのと音楽会で生の演奏を聞くのとでは全く違うとも言っている。観客の感動と興奮が演奏者に伝わってこそ素晴らしい演奏が生まれるのだろう。マエストロの願いどおり、少数に制限されても、観客が入るコンサートになるか興味深い。

田口道子

*コロナ禍における芸術活動についてのインタビューは 45 分におよんでいますが、本サイトでは、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートについての部分のみご紹介しました。

◾️レプッブリカ紙 動画インタヴューはこちらからご覧になれます
https://video.repubblica.it/dossier/anno-che-verra/palcoscenico-italia-riccardo-muti-questo-dolore-cambiera-la-musica/372771/373391