いよいよ12月20日に始まる今夏の〈第16回世界バレエフェスティバル〉有料配信。それに先立ちパフォーマンスとインタビュー、バックステージ映像を抜粋した10分ほどのクリップが公開されています。その内容を少しだけご紹介します。

「このバレエフェスに出演することは私にとって大変重要」と映像で第一声を発するのは、パリ・オペラ座バレエ団随一の人気を誇るエトワールで、親子二代でこのバレエフェスに出演するサラブレット、マチュー・ガニオ。「世界中で活躍するダンサーが集まるガラなのだから、自分のキャリアアップにも繋がる」（ガニオ）。ボリショイ・バレエの華麗な実力派プリマ、オリガ・スミルノワは「いまダンスは観客とダンサーにとってかつてないほど必要になっていると思う。普通の生活に戻れるという希望の存在だから」。また、かつて英国ロイヤル・バレエ団やアメリカン・バレエ・シアターに在籍し、めくるめくドラマティックなオーラで世界を席巻して現在でも多くの崇拝者をもつベテランのアレッサンドラ・フェリは、「このような時にバレエフェスが開催されるのは素晴らしい。私たちが愛し、生き続けていくことの必要性を証明してくれたから」とその意義を強調します。

3人のスターのインタビューをはさみながら、抜粋で繰り広げられるのは「3つのプレリュード」（アルビッソン、ガニオ）、「瀕死の白鳥」（ザハロワ）、「海賊」（オニール、エイマン）、「ロミオとジュリエット」（スミルノワ、シクリャローフ）、「スティル・オブ・キング」（ゴメス）、「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ（バデネス、ムンタギロフ）、「椅子」（フェリ、ロマン）、「グラン・パ・クラシック」（菅井円加、ダニール・シムキン）、「ドン・キホーテ」（クリサノワ、キム・キミン）の9つのパフォーマンスの煌めく瞬間です。

まるで重力がないかのように滞空する跳躍やリフト、そこからどこまでも伸びていく身体、留まることを知らない回転、そんな目の覚める超絶テクニック以上に私たちを時空の彼方に連れ去る、深淵な男と女の物語......。抜粋映像とはいえ、技術的にも芸術的にも圧倒的なクオリティが画面からこぼれ出してきます。

そんなオンの映像と、最終日のカーテンコールのために用意された法被（はっぴ）に楽しそうに身を包んで記念撮影を始める彼らのリラックスしたオフシーンとのギャップが、コロナ禍の下での緊張の日々に自ら身を捧げたスターたちの歓びを如実に感じさせてくれます。

演じるダンサーも観る方々もさまざまな思いを抱えながらその場を共有した今夏の〈第16回世界バレエフェスティバル〉。年末年始にはご自宅でこの配信を通して、あの奇跡のような日々をいま一度じっくり体感してみてください。

※日本語、英語字幕対応