【ウィーン国立歌劇場】もっと知りたい歌手紹介⑧

インタビュー・レポート 2016年10月 3日 19:18

今秋の来日公演で歌う選りすぐりの歌手たちを音楽評論家の奥田佳道さんの解説でご紹介します。11月6日(日)から始まる「ワルキューレ」に出演する5人の歌手のプロフィールを5回にわたってお送りしています。


クリストファー・ヴェントリス  Christopher Ventris

(「ワルキューレ」テノール/ジークムント)


イギリスが世界に誇るヘルデン・テノール


 今年1月、ウィーン国立歌劇場でのジークムントで大喝采を博したヴェントリスが、この役で東京のステージに舞い戻ってくる! もちろんウィーンで指揮をしたアダム・フィッシャーも一緒だ。叙情美も烈しい情趣もお任せあれの、今をときめくヘルデン・テノール(ワーグナーの上演に適した英雄的な声のテノール)で味わう「ワルキューレ」。期待は限りない。ジークムントは昨年6月にサー・サイモン・ラトル指揮のウィーン国立歌劇場で、この夏にはマレク・ヤノフスキ指揮によるバイロイト音楽祭でも歌っている。

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 イギリス出身。グラインドボーン音楽祭でデビュー後、オペラ・ノース、イングリッシュ・ナショナル・オペラで頭角を表す。2004年バーデン・バーデン祝祭劇場でのケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ響、レーンホフ演出の「パルジファル」で脚光を浴びた。
その後、ウェルザー=メスト指揮チューリヒ歌劇場での「ピーター・グライムズ」、ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管、オランダ・オペラでのショスタコーヴィチの「ムツェンスク群のマクベス夫人」のセルゲイで喝采を博すとともに、ワーグナーの主要なレパートリーをヨーロッパ、アメリカの主要オペラハウス、フェスティヴァルで歌う。

現代最高峰のワーグナー・テノールで、前述のマエストロのほか、これまでにロリン・マゼール、クリスティアン・ティーレマン、セミヨン・ビシュコフ、ハルトムート・ヘンヒェンなどの指揮者と共演。ワーグナー以外でも「魔弾の射手」のマックス、プフィッツナーの「パレストリーナ」、ヤナーチェクの「イェヌーファ」のシュテヴァ、「ボリス・ゴドゥノフ」のドミトリーも得意のレパートリーだ。
 あらためて記す。今、ワーグナーのジークムント、パルジファル、それにローエングリン、タンホイザー、エリックと言えば、イギリスが世界に誇るテノール、クリストファー・ヴェントリスの出番となる。



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