【ウィーン国立歌劇場】もっと知りたい!歌手紹介⑦

インタビュー・レポート 2016年9月30日 20:00

今秋の来日公演で歌う選りすぐりの歌手たちを音楽評論家の奥田佳道さんの解説でご紹介します。11月6日(日)から始まる「ワルキューレ」に出演する5人の歌手のプロフィールを5回にわたってお送りしています。

このヴォ―タンを聴かずして、「ワルキューレ」を語ることはできない



トマス・コニエチュニー Tomasz Konieczny

(「ワルキューレ」(バス・バリトン/ヴォータン)



 ワーグナーのバス・バリトンと言えば、アルベリヒとヴォータンで世界のファンを魅了しているトマス・コニエチュニーだ。特にこの人のヴォータンを聴かずして、昨今の「ワルキューレ」を語ることは出来ないのではないか。


Konieczny (c) Michael Poehn.jpg

Photo: Michael Poehn



 1972年ポーランド出身。同国唯一の映画アカデミーで演劇を学び、オスカー(アカデミー賞)受賞歴もあるアンジェイ・ワイダ監督の<鷲の指環>で映画界にデビューした経歴をもつ。テレビや映画の俳優、ディレクターとして活動した後、ワルシャワのショパン音楽院とドレスデンの音楽大学で声楽を学ぶ。



 1997年、母国を代表する商工業都市ポズナニの歌劇場での「フィガロの結婚」でデビュー。翌年、チェコの温泉保養地カルロヴィ・ヴァリ(カールスバート)で開催された第33回ドヴォルザーク国際声楽コンクールに入賞し、マンハイム国民歌劇場やライン・ドイツ・オペラと専属契約を交わした。2006年以降アダム・フィッシャーが指揮する<ブダペスト ワーグナーの日またはワーグナー・イン・ブダペスト音楽祭>に度々出演。2008年にはドレスデン国立歌劇場でも成功を収めた。ミュンヘン、パリ、シカゴにも客演。



 2008年4月、「ジークフリート」のアルベリヒでウィーン国立歌劇場にデビュー。フランツ・ウェルザー=メストの指揮だった。以来ウィーンでは「ニーベルングの指環」の諸役を任されている。アルベリヒは徐々に卒業するとのこと。「ワルキューレ」のヴォータンは、ウェルザー=メスト、ジェフリー・テイト、コルネリウス・マイスター、サー・サイモン・ラトル、アダム・フィッシャーの指揮で歌っている。


ページトップへ