財団法人 日本舞台芸術振興会
HOME最新情報NBS公演一覧チケットの予約チケットの予約






過去の公演情報
  エディタ・グルベローヴァ
"シューベルト、R.シュトラウスの
歌曲を歌う"
 
    公演概要  
    グルベローヴァ プロフィール  
  過去の公演一覧にもどる  


エディタ・グルベローヴァ リートの夕べ
東京公演

2004年10月19日(火) 7:00pm

サントリーホール
2004年10月23日(土) 3:00pm 東京芸術劇場



 グルベローヴァがまるで彗星のように日本の聴衆の前に現われたのは1980年のウィーン国立歌劇場の客演だった。最晩年のカール・ベームの指揮で『ナクソス島のアリアドネ』の難役ツェルビネッタを軽々と歌いこなし、そのチャーミングな舞台姿とともに日本の音楽ファンの心を瞬時に射止めた。高度のテクニックが要求されるコロラトゥーラ・ソプラノの全盛期は、一般的には決して長くない。そうしたなかで、四半世紀以上コロラトゥーラで観客を魅了するグルベローヴァは奇跡的な存在だ。
 ドイツ・オペラからキャリアを踏み出した彼女は、イタリアのベルカント・オペラの役柄で新たな境地を拓いた。フィレンツェ歌劇場の『ランメルモールのルチア』(1996)、ウィーン国立歌劇場の『シャモニーのリンダ』(2000)、さらには昨年の演奏会形式による『ノルマ』は、いずれも彼女の個性が鮮やかに刻印された至芸と呼ぶにふさわしいもの。また、2000年のウィーン国立歌劇場公演では、昔からのレパートリーである『ナクソス島のアリアドネ』のツェルビネッタを20年前とは異なる陰影に富んだ表現で演じて喝采を集めた。このようにグルベローヴァは常に進化を続けるコロラトゥーラである。
 グルベローヴァが長年にわたって積極的に取り組んでいるもうひとつのジャンルがリート。なかでも、リヒャルト・シュトラウスはピアノ伴奏歌曲ばかりでなく、オーケストラ伴奏歌曲も数多く手懸け、録音はいずれも折り紙付きの評価を得ている。自らの声にもっともふさわしい作品を厳選したシューベルト歌曲も見事という他ない。そこで見せる詩に対する深い理解にもとづく奥深い表現は、オペラとは一味違った魅力をたたえている。
 シューベルトの10曲、シュトラウスの6曲からなる今回のプログラムは、3月のミュンヘン、4月のレーゲンスブルク、7月のルートヴィヒスブルクのリサイタルを経て、9月にシュヴァルツェンベルクのシューベルティアーデ音楽祭でも歌うもの。世界からシューベルトを愛する人々が集う桧舞台におけるプログラムだけに、グルベローヴァは全力を傾注して最良の成果を披露するに違いない。それをそのまま日本に移行する10月のリサイタルは、リート解釈者としての今を知る絶好の機会を提供してくれることだろう。
 ピアノを受け持つフリードリヒ・ハイダーは2月に新国立劇場で『サロメ』を指揮し、シュトラウスの名解釈を聴かせたばかり。グルベローヴァの伴侶で伴奏ピアニストとしても卓越した技量を持つハイダーが、舞台上でも最良のパートナーであることは言うまでもない。グルベローヴァは日本で歌曲によるリサイタルを開くのはこれで4度目だが、すべてドイツ・リートで固めたプログラムは1987年だけ。その意味でも今度のチャンスを逃すことはできない。

岡本稔(音楽ジャーナリスト)







   サイトマップ   |   お問い合せ   |   NBSについて

Copyright by 財団法人日本舞台芸術振興会