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由良之介(高岸直樹)
プロローグ:現代の東京
 現代の東京。ロックに酔いしれる若者、無気力な若者、さまざまな若者がたむろする東京。若者のリーダーである青年が、古いひと振りの刀をみつける。彼が手をふれた瞬間、時代は急速にタイムスリップしていく。

顔世御前(吉岡美佳)
第一場:兜改め
 鶴岡八幡宮。直義は義貞の兜を奉納するため、昔、義貞に仕えていた判官の妻顔世を召し出し、義貞の兜改めを命じる。現代の若者である青年がその場に迷いこんだように入ってくる。もの珍しそうに、服装、立居ふるまいの違いを驚愕の眼で見つめる。好色な師直は判官の妻と知りながら顔世に言い寄るが、目的を果たすことが出来ない。
第二場:おかる、勘平
 判官の家来勘平は恋人おかるとつかの間の逢瀬を楽しんでいる。おかるに思いをよせている師直の家来伴内が、何かと二人の間を邪魔する。ここでも現代の若者はもの珍しそうに見ているが、次第に自分のおかれている状況に疑問をもち出す。

師直(木村和夫)
第三場:殿中松の間
 殿中松の間。顔世にうまく逃げられた師直は、顔世の夫判官に何かと言いがかりをつけ、いやがらせをする。我慢の限界を超えた判官は、ついに殿中で御法度であることを忘れ、刀を抜き師直に切りつけてしまう。

由良之介(高岸直樹)
判官(森田雅順)
第四場:判官切腹
 殿中で刃傷という事件をひきおこした判官は切腹を命じられる。切腹前に何か遺言を残したいと、家老由良之助の到着を今か今かと待ちわびる判官。いっぽう何かに取り憑かれたように走り続ける青年。どこへ行こうとしているのか、ただひたすらに走り続ける。やがて到着した所は判官切腹の現場であった。この青年に遺言を残して判官は、事切れた。この時を境に青年の人格は由良之助、すなわち四十七士のリーダーへかさなり、現代に生きる若者はサムライ、すなわち武士道の世界へ入っていく。

由良之介(高岸直樹)
第五場:城明け渡し
 判官の切腹、お家断絶を喜ぶ伴内は、腰元たちをあつめ遊興にふけっている。そこへ悲嘆にくれた顔世があらわれ、我にかえった腰元たちと共に屋敷を去る。後に残った家臣たちと善後策の相談をする由良之助は、一同の真意を確かめたうえ、仇討ちの盟約をする。

勘平(大嶋正樹)
第六場:山崎街道
 主人の大事に居あわせなかった勘平は不忠を詫び、おかるの故郷に落ちていく。そして、主君の仇討ちの仲間に加えてもらうことを願いながら、猟人になって生計を助けている。いっぽう妻おかるは、夫の仇討ちに必要な金を工面するため、自らを祇園に身売りする。その半金を懐に家路を急ぐおかるの父親与市兵衛は、雨の山崎街道で、判官の家臣で今は盗人になりはてている定九郎に殺され、大事な金を奪われる。しかし猪を追ってきた勘平の鉄砲によって、定九郎もまた殺されてしまう。勘平は殺したのが猪ではなく人間であることを知って驚くが、定九郎の懐の中にある金を見つけ、主君仇討ちのための資金にと悪いと知りながらその金を懐に入れる。
 与市兵衛の亡骸が家に運ばれてくる。勘平はてっきり自分が父親を殺したと思い込み、進退きわまって切腹する。
 由良之助は家臣たちのこうした不幸な出来事がつづかないためにも、一刻も早く主君判官の仇討ちを行うべくさらに決意を強くするのであった。

由良之介(後藤晴雄)
第七場:一力茶屋
 由良之助は仇討ちの決意を悟られぬよう、敵を欺くため祇園で酒色に耽っているように見せかける。由良之助は息子力弥が届けてきた密書を盗み見する伴内を斬り、今は遊女に身をやつしているあわれなおかるの身の上を案じる。

顔世御前(斎藤友佳理)
由良之介(後藤晴雄)
第八場:雪の別れ
 あくまでも仇討ちの決意を明かさない由良之助に、顔世は失意のいろを隠せない。判官切腹の折りの様子を由良之助に必死に説明する顔世は、波に流されるように由良之助から去っていく。


由良之介(高岸直樹)

由良之介(後藤晴雄)
第九場:討ち入り
 この日のために敵を欺き耐え忍んできた判官の家臣たち四十七名は、雪の降りしきる中、師直の廷内へと討ち入り、主君の仇、師直の首をはねる。
 判官の亡霊がどこからともなくあらわれ、師直の首級を由良之助の手から受け取り消え去る。本懐を遂げた一同は思い残すことなく晴れ晴れとした気持ちで、燦然と輝く朝日の下で切腹して果てる。
 
Photo : Kiyonori Hasegawa
 
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