バレエ「ドン・キホーテ」の舞台はスペイン、バルセロナ。街の喧騒の中で踊られる陽気なセギディーリャに甘美なマドリガル、颯爽とした闘牛士と踊り子のダンス。場面が変わるとエネルギッシュなジプシーダンスや妖精たちの優美なクラシック・ダンス、そして情熱的なスパニッシュをはさんで主役ペアの華麗なグラン・パ・ド・ドゥでフィナーレを迎えるまで息つく暇なく多彩なダンスが繰り広げられ、古典バレエの中でも随一のゴキゲンな楽しさです。
 東京バレエ団の「ドン・キホーテ」は伝説の名ダンサー、ウラジーミル・ワシーリエフによる演出・振付です。ボリショイ・バレエの伝統と現代的な感覚が絶妙に融合され、エネルギッシュで豊かな芝居心に溢れているのが特徴です。その完成度の高さは初演で「日本のバレエもついにここまで来たか」と各方面から絶賛を浴びたほど。今回は久々にワシーリエフが舞台を全面的に監修・指導し、またキトリ役でつねに神がかり的な演技を披露してきた斎藤友佳理も指導に加わるという万全の態勢で臨みます。
 主役のバジルとキトリを踊るのはワシーリエフが認めた二組。まずゲストとして招くのは、ボリショイ・バレエのアナスタシア・スタシュケヴィチとヴャチェスラフ・ロパーティン。この数年でたちまち主演舞台を増やして頭角を現した、スタシュケヴィチの未知の魅力はおおいに期待できるところ。またスタシュケヴィチと同じく初登場のロパーティンは、本作の演技に定評があり、相手役スタシュケヴィチとのパートナーシップも万全です。
 もう一組は華やかなオーラを放つ東京バレエ団のペア。四肢を伸びやかに使った大胆華麗な演技で、入団以来、本作を十八番としている上野水香。そして若くして「ザ・カブキ」の由良之助の押し出しの良さや「ロミオとジュリエット」での柔らかな感情表現が高評を得ている柄本弾が、初めてバジルに挑みます。
 個性的なキャラクターと群集のパワーが舞台に横溢し、祝祭的な気分に包まれる舞台をどうぞお楽しみください!

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