バイエルン国立歌劇場 広報部長インタビュー(前半) ~最高峰の指揮者と歌手で最先端の演出を実現しています~


バイエルン国立歌劇場の日本公演まであと39日!
すでに『魔笛』、『タンホイザー』の舞台装置、衣裳は日本に向けてバイエルンを出発し、公演に向けて着々と準備がすすめられています。
本日はバイエルン国立歌劇場スタッフ、クリストフ・コッホさん(広報部長)のインタビューをお届けします。今回のツアーで上演する作品について、バイエルン国立歌劇場について、熱い想いが伝わってくるインタビューです。


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『タンホイザー』 第1幕より


- 今年の日本公演では『魔笛』と『タンホイザー』の2演目を上演しますが、この作品を日本で公演することは劇場にとってどのような意味があるのでしょうか?

クリストフ・コッホ
- バイエルン国立歌劇場にとってモーツァルト、ワーグナー、Rシュトラウスの3名の作曲家は非常に重要です。
3名ともこの劇場で働いていましたし、各々の時代の国王も、作曲家のスポンサーとして支援していました。そして、いくつもの重要な作品をここミュンヘンで初演しています。『トリスタンとイゾルテ』、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、『ワルキューレ』など、実にたくさんあります。
 また、代々の音楽監督が長い歴史の中でオーケストラを磨き上げてきました。特にモーツァルトとシュトラウス、そしてワーグナーを演奏するときには他のオーケストラにはない独特の音色があります。


- 三浦真澄さん(舞台背景画家)のインタビューでも3名の作曲家の話が出ました。スリー・ゴッドというそうですね。

クリストフ・コッホ
- そうです! 3名の作曲家の胸像が劇場に飾ってあるのをご覧になりましたか? ミュンヘンにとって、バイエルン国立歌劇場にとって、とても大切な音楽家たちです。


ペトレンコとカステルッチの組み合わせは大きな注目を集めています


- 今回の『タンホイザー』新制作は、劇場にとって重要な試みなのでしょうか?

クリストフ・コッホ
- 音楽監督(キリル・ペトレンコ)がプレミエを指揮することで注目されていますし、ロメオ・カステルッチは現在最も興味深い演出家の1人です。劇場にとってもペトレンコとカステルッチの組み合わせでオペラを上演することは初めての試みでしたので大きな挑戦といえるでしょう。
 私たちはとても幸運だと思います。この素晴らしい作品を日本で上演できることを本当に嬉しく思っています。
なぜなら、今回の『タンホイザー』はとても美しい舞台で、かつオペラに対しての新しいアプローチが試みられています。私たちは21世紀になってもオペラを発展させていかなければなりません。観客はカステルッチのプロダクションをとても喜んでくれています。もちろん、好みではなくブーイングをする方もいますが、この舞台、演出について活発な議論がなされています。


- カステルッチがこれまでにバイエルン国立歌劇場で演出したことはありますか?

クリストフ・コッホ
- 初めてのことです。バイエルンだけではなく、ドイツでオペラを演出したのは初めてのことです。


リスクを冒して若く才能ある歌手を積極的に登用しています


- バイエルン国立歌劇場の魅力とは、どのような点にあるのでしょうか?

クリストフ・コッホ
- まず、ファーストクラス、世界最高峰の指揮者が集うこと、次に同じくファーストクラスの歌手が出演すること、そして最先端の演出を実現していることです。
 それだけではなく、今回日本で上演する『魔笛』のように、スタンダードな演出ですが、長い歴史を誇り、時代を超えて愛されている演出もあります。また、リスクを冒して若く才能ある歌手を積極的に登用しています。


- 日本公演でも若手実力派の歌手がキャスティングされていますね。

クリストフ・コッホ
- まず、ハンナ=エリザベス・ミュラーはここバイエルンのオペラ研修所で学んだ歌手です。近年ではザルツブルク音楽祭でルネ・フレミングの主演した『ばらの騎士』に出演し、大きな成功をおさめました。今回の日本ツアーにも参加します。
 それからエルザ・ベノワもバイエルンからキャリアをはじめた歌手です。例えばタラ・エロートもそうなのですが、この劇場から世界にはばたき、次世代を担う歌手として注目されつつあります。エルザはとても若いのですが、昨年のミュンヘン・オペラフェスティバルで上演したラモーの『優雅なインドの国々』で大役(エミリー役)をつとめました。
 また、日本公演にはアンネッテ・ダッシュも出演します。アンネッテはとても素晴らしい歌手です。ビッグスターです! バイエルンでも何度も主演しており、7月のオペラフェスティバルでプレミエをむかえる『オベロン』も彼女が主演です。


- 他のドイツのオペラハウスとは違った、バイエルン国立歌劇場の特色をあげるならばどのような点があるでしょうか?

クリストフ・コッホ
- ドイツにはとてもたくさんのオペラハウスがありますが、その中でももっとも大きな劇場です。そしてトップクラスの歌手が集まっています。他の劇場でも面白い舞台はやっていますが、今回カステルッチの演出した『タンホイザー』のプレミエのような歌手をそろえることはできないでしょう。


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※このインタビューは2016/2017シーズン中の5月29日に行われました。




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