ロメオ・カステルッチの語る 新『タンホイザー』~エピソード1「金の円盤」

インタビュー・レポート 2017年5月19日 20:02


 いよいよ『タンホイザー』の初日まであと2日!
 バイエルン国立歌劇場では本番直前まで入念なリハーサルが行われており、連日のように現地ではニュースに取り上げられています。今回のプレミエが劇場にとっていかに大きな挑戦であるか、ミュンヘンの人々ならず、世界中のオペラファン、音楽ファンが注目している中、いよいよそのヴェールがはがされようとしています。

 
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左からクラウス・フロリアン・フォークト(タンホイザー役)、ロメオ・カステルッチ(演出)


 NBSのスタッフも5/18(木)に現地入り。リハーサルにお邪魔しましたが、マエストロ・ペトレンコとバイエルン国立歌劇場のオーケストラの紡ぎだす圧倒的な音色に完全にノックアウトされた様子。もちろん主役のフォークトをはじめ絶好調の歌手陣にも期待が高まるばかりです。

 
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© Bayerische Staatsoper Wilfried Hösl


そんな本番直前のさなか、演出を担当するロメオ・カステルッチが演出コンセプトを語るメッセージ映像が届きました!
今日から4回に分けてご紹介してまいります。初回は「金の円盤」をキーワードに語っています。ぜひご覧ください!



(翻訳)
ロメオ・カステルッチの新演出におけるシンボル ~ エピソード1 「金のディスク(円盤)」

円というのは、もっとも根源的な形状と言えるでしょう。
円は、目を意味し、盲点を意味し、そして何かが目の中に貫通するポイントを意味しています。
円はしばしばイメージのシンボルとして登場するとも言えるでしょう。
つまりもっとも純粋なイメージとも言えます。
円盤、金の円盤は、太陽の象徴でもあります。
突然に辺りを照らす太陽。
そして、タンホイザーは、その突然の明かりによって啓蒙され動かされるのです。
タンホイザーは、光をみるたびに聖母マリア、ヴェーヌス、エリーザベトの名前を思い起こします。いつも女性の名前を。
そしてそうした名前は、彼の中に稲妻のような効果をもたらします。
それはほとんど仏教とも言えるでしょう。再解釈された仏教。
金の円盤はつまり、タンホイザーの意識を突き抜ける光の筋を意味しているのです。



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