『タンホイザー』プレミエ ~現地の公演評 ③~

公演関連情報 2017年6月16日 17:23

シリーズでご紹介している『タンホイザー』プレミエの公演評(抄訳)。
最終回はドイツを代表する新聞のひとつ、南ドイツ新聞に掲載された評をご紹介します。
ぜひご一読ください。


南ドイツ新聞 2017年5月23日付

圧倒的なタンホイザー

ワーグナーのオペラの初日後はブーイングの嵐が見込まれるが - それは一般の人々の歓声に沈んだ。今宵の公演には、演出家の比喩的な言葉に関しては、いくつか論議されるところがあるのは確かであるが。

アンドレアス・シューベルト

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 多くのブーイングをロメオ・カステルッチは、かなり早く消化したようであった。初日の後のパーティーでは、イタリアの演出家はかなりリラックスしていた。バッハラー総裁が演出を賞賛し、出席のメンバーから多くの拍手をもらったことにもよるのであろう。バッハラー総裁は、今回のキャスティングは全ての役で現在最高の歌手であったこと、そしてワーグナーのオペラの初日で必ず語るように、「ここミュンヘンでは作曲家の精神(魂)が今でも感じられるので、"なにか特別なもの"であった。」と述べた。

 だからといって、新しい『タンホイザー』が観客に不評だったということではない。終演後のカーテンコールで歓声に包まれた歌手たちのあとにカステルッチが舞台に出ると、ブーイングの嵐が待っていたのは、モダンな演出の際には常である。しかし、それに対して多くのブラボーもあった。
 ブーVSブラボー:これはミュンヘンの良いオペラの初日には、つきものである。今回のオペラの2回の休憩時間は、日曜日の午後の陽光に輝くオペラハウスの階段をそぞろ歩く観客の中にバイエルン州の文部大臣ルードヴィッヒ・シュペレがおり、顔を輝かせて「大変に素晴らしい」そして最上級の賛辞「圧倒的」と言った。今宵の公演には、特に演出家の比喩的な言葉に関しては幾つか議論されるところがある。シュペレ大臣は血を連想させるシーンでは、オーストリアのヘルマン・ニッチュ(血のアーティストとよばれた)を思い起こしたそうだが、これは彼だけではなかったであろう。
 しかしながらオペラが多くの議論の素材を提供するならば、それだけでオペラを見に行ったかいがあるというものだ。

 クラウス・フローリアン・フォークト(タンホイザー)は、まさに長距離走行を終えたばかりのようだが、にこやかなカーテンコールであった。ワーグナー・テノールの役には経験豊富な彼だが、タンホイザー役はこれがデビューであった。新しいタンホイザーの誕生に、「今は、本当にほっとした気持ちです」と。カーテンコールではまずプロンプターに握手をした。「彼には本当に助けられました。」初演後のパーティーでは魅力的な笑顔で、「今晩は長く祝っていたい!」と語った。。


〜 『タンホイザー』プロモーション映像 〜


 
 



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