ウィーン国立歌劇場2016年日本公演 記者会見レポート

s_small_マレク・ヤノフスキ(左)、ドミニク・マイヤー(右).jpg
マレク・ヤノフスキ氏(左)、ドミニク・マイヤー氏(右)


 この秋、4年ぶりに来日公演を行うウィーン国立歌劇場の記者会見が、歌劇場総裁のドミニク・マイヤー氏と、〈東京・春・音楽祭〉の『ジークフリート』公演のため来日中で、ウィーン国立歌劇場公演では『ナクソス島のアリアドネ』を指揮するマエストロ マレク・ヤノフスキの登壇により、本日(3/30)、都内のホテルで行われました。
 
 会見ではまず『ナクソス島のアリアドネ』についてマイヤー総裁が「ウィーン国立歌劇場の総監督も務めたリヒャルト・シュトラウスが、ホーフマンスタールの台本によりウィーンで初演した作品でもあり、私たちにとって特別な作品です。また今年は、1916年に初演されたその"ウィーン版"から100年目にあたり、その意味でも東京での上演を大変喜ばしく思います」と紹介しました。

s_small_ドミニク・マイヤー.jpg 
 つづいて、オペラの舞台付上演の指揮から長らく離れていたマエストロ ヤノフスキが、今回の日本公演に参加することになった経緯を次のように述べました。
「私は90年代にドイツのある歌劇場で『ナクソス島のアリアドネ』を指揮して以来、これまでオーケストラピットに入ることをやめていました。この20~30年のドイツでの、演出先行で音楽を大切にしないオペラ上演の風潮を間違っていると思ってきたからです。しかし最近、演奏会形式でのオペラに携わるうちに再び興味がわき、今夏のバイロイト音楽祭と、今秋のウィーン国立歌劇場日本公演の依頼について、特別に引き受けることにしました。今回のスヴェン=エリック・ベヒトルフ演出版はけっして音楽をないがしろにしたものではないと、総裁に保証していただきましたし、最後に舞台付で振ったオペラが本作だったので何か運命的なものを感じたのです」
 作品の魅力について、「リヒャルト・シュトラウスの最高傑作であり、聴く側の知性も要求される作品です。プロローグは歌詞の中に鋭い皮肉が込められており、第1幕は、プロローグで富豪が要求した通りの、悲劇(オペラ・セリア)と喜劇が絶妙に溶け合った、室内楽の趣きもある美しい音楽」と語りました。
 なお、ベヒトルフによる演出は、2012年のザルツブルク音楽祭で、モリエールの喜劇『町人貴族』と併せて上演する"シュツットガルト初演版"に近い形で初演されましたが、その後のウィーン国立歌劇場公演では、プロローグ付1幕の独立したオペラである"ウィーン版"が採用され、今回日本で上演されるのも同じ版であることがマイヤー総裁から説明されました。
 
s_small_マレク・ヤノフスキ.jpg

 『ワルキューレ』については、「ウィーン国立歌劇場は毎年《ニーベルングの指環》を上演しており、ぜひ日本の皆様にもお聴きいただきたい。こんにち最高のワーグナー指揮者であるマエストロ アダム・フィッシャー、この4月〈東京・春・音楽祭〉でも来日するトマス・コニエチュニーのヴォータンをはじめ、すべてが自信をもってお勧めできるキャスト」。『フィガロの結婚』については、「2008年の来日から再びマエストロ リッカルド・ムーティが戻ってくるので、日本の皆様に喜んでいただけると思います。『フィガロ~』は前回も上演しましたが、今回ムーティ氏がぜひにもと望み、出演者も彼が選びました」。

s_small_0330_マレク・ヤノフスキ(左)、ドミニク・マイヤー(右).jpg 
 最後に、マエストロ ムーティのメッセージが、彼の著作の翻訳を手掛ける田口道子氏から紹介されました。「ウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィルとは長きにわたる付き合いで、1975年に初めて来日したのもウィーン・フィルとの共演でした。『フィガロの結婚』は私が初めて指揮をしたモーツァルトのオペラで特別な愛着があります。今回は若いながらも国際的に活躍するイタリア人歌手たちを起用しております。11月の来日を今から楽しみにしております」


 


ページトップへ