【ウィーン国立歌劇場】もっと知りたい歌手紹介⑨

インタビュー・レポート 2016年10月 5日 12:12


今秋の来日公演で歌う選りすぐりの歌手たちを音楽評論家の奥田佳道さんの解説でご紹介します。11月6日(日)から始まるワルキューレに出演する5人の歌手のプロフィールを5回にわたってお送りしています。


ミヒャエラ・シュースター Michaela Schuster
(「ワルキューレ」メゾソプラノ/フリッカ)


「フリッカ」役は十八番!愛すべき"舞台女優"


2006年、アダム・フィッシャー指揮「ワルキューレ」のジークリンデでウィーン国立歌劇場にデビューし、翌年からウィーンではフリッカを持ち役としているミヒャエラ・シュースターが、十八番を携えて東京のステージに立つ。彼女はもちろん「ラインの黄金」のフリッカもレパートリーにしている。今年は「ローエングリン」のオルトルートも歌った。

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Photo:Nikola Stege


ドイツ・バイエルン州フュルト出身。ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学とベルリン芸術大学で学ぶ。1999年から2002年までダルムシュタット州立歌劇場に所属し、当初はフランス並びにイタリア・オペラで頭角を表す。

シュトゥットガルト州立歌劇場などでフリッカのほか、「パルジファル」のクンドリ、「トリスタンとイゾルデ」のブランゲーネ、「タンホイザー」のヴェーヌスを手がけ、ワーグナー歌いとしての評価を確立。ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場、ドレスデン、ベルリン、ハンブルク各国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ブリュッセルの王立モネ歌劇場、オスロのノルスケ・オペラ(国立歌劇場)、バルセロナのリセウ歌劇場、シカゴ・リリック・オペラへの客演も好評を博した。ロンドンのロイヤル・オペラハウスでは「サロメ」のヘロディアス、「エレクトラ」のクリテムネストラも歌った。

2013年春、ザルツブルク復活祭音楽祭での「パルジファル」のクンドリで存在感を醸す。クリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立管弦楽団との共演。パルジファルは、先ごろ51歳で召されたヨハン・ボータだった。


愛すべき「舞台女優」ミヒャエラ・シュースターは、今年初めにもウィーンでフリッカを歌った。冬以降は「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の魔女を任されている。マーラーの交響曲第3番やドイツ・ロマン派歌曲のCDも素晴らしい。


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