【ウィーン国立歌劇場】もっと知りたい!歌手紹介⑩

インタビュー・レポート 2016年10月 7日 20:22


10月25日(火)に初日を迎える「ナクソス島のアリアドネ」。新たなキャストとしてステファン・グールド、ステファニー・ハウツィールが日本公演に臨みます。期待の2人の歌手を音楽評論家・奥田佳道さんの解説でご紹介します。


ステファン・グールド Stephen Gould
(「ナクソス島のアリアドネ」テノール/テノール歌手/バッカス)


ウィーンで初演のキャストを務めた世界最高峰のヘルデン・テノール


オペラのクライマックス。悩めるアリアドネに手を差し伸べるバッカス役には、ワーグナーの主役を歌うヘルデン・テノールの声が必要だ。気宇壮大な二重唱を、私たちは抜群のステージ・プレゼンスを誇るソプラノ、グン・ブリット=バークミンと、世界最高峰のヘルデン・テノール、ステファン・グールドで味わうことになった。

2012年暮れ、ウィーン国立歌劇場での「ナクソス島のアリアドネ」のプレミエでバッカスを歌い、アンコールの声に応えて2014年春にも同役を歌ったグールド! 故ヨハン・ボータへの想いを抱き、ウィーン国立歌劇場の大切な日本公演に手を差し伸べるオーストリアの宮廷歌手グールド! 期待は限りない。

Gould (c) unbezeichnet.jpg

Photo:unbezeichne


米ヴァージニア州出身。ボストンのニューイングランド音楽院とシカゴ・リリック・オペラの研修センターで学ぶ。アメリカでオペラ、ミュージカルの舞台を経験するとともに、ニューヨークのMETで歌っていたバリトン、ジョン・フィオリトに師事し、ヘルデン・テノールへの道を歩み出す。

「フィデリオ」のフロレスタン、「ピーター・グライムズ」「サムソンとデリラ」「タンホイザー」で頭角を表す。ズービン・メータ指揮フィレンツェ歌劇場でも成功を収めた。2004年、クリスティアン・ティーレマン指揮の「タンホイザー」でバイロイト音楽祭にデビュー。同年暮れにはコルンゴルト「死の都」のパウルを歌い、ウィーン国立歌劇場にも初名乗りを挙げた。2006年、東京の新国立劇場にフロレスタンでデビュー。以来「オテロ」「トリスタンとイゾルデ」に出演。飯守泰次郎指揮の《ニーベルンクの指環》ではローゲ、ジークムントを歌い、ジークフリートも手掛ける。
2011年、ティーレマンの指揮でザルツブルク音楽祭にデビュー。ティーレマンとは今年のバイロイト音楽祭の「トリスタンとイゾルデ」でも共演している。


ドレスデン国立歌劇場、ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場でも活躍。「オテロ」や「大地の歌」もレパートリーだ。近年、ウィーン国立歌劇場では《ジークフリート》《神々の黄昏》のジークフリート、それに《パルジファル》を歌い、賞賛を博す。来春にはトリスタンも控える。


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