【ウィーン国立歌劇場】 もっと知りたい!歌手紹介③

インタビュー・レポート 2016年8月30日 12:03

今秋の来日公演で歌うのは選りすぐりの歌手たちです。音楽評論家の奥田佳道さんに、まず「ナクソス島のアリアドネ」に出演する歌手4人を解説していただきました。


ヴェッセリーナ・カサロヴァ Vesselina Kasarova
(「ナクソス島のアリアドネ」作曲家役)


名舞台、名録音は枚挙にいとまがない、メゾ・ソプラノの女王カサロヴァ


4_Vesselina Kasarova_024(photo_Andre Springer).jpgバロック、モーツァルト、ロッシーニ、ベッリーニ、それにフランス物で世界を魅了してきたメゾソプラノの女王カサロヴァが、ウィーン国立歌劇場の「ナクソス島のアリアドネ」とともに帰ってくる! 歌うはこの機智に富んだオペラ前半の鍵を握る作曲家。喜びを隠せないオペラ好きも多いのではないか。


ブルガリア出身。ピアノのディプロムを取得後、18、9歳から声楽を学ぶ。1989年、彼女の録音を聴いたヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)が共演を希望したが、カラヤンの急逝で実現しなかった。


同年チューリヒ歌劇場のメンバーに迎えられる。1991年にはザルツブルク音楽祭にモーツァルト「皇帝ティトの慈悲」のアンニオでデビュー、賞賛を博す。コリン・デイヴィスの指揮だった。同年ウィーン国立歌劇場に「セビリャの理髪師」のロジーナでデビュー。その後ザルツブルク音楽祭でマリリン・ホーンの代役で「タンクレディ」を歌い、声価を高めた。
2003年以降、ザルツブルク音楽祭ではニコラウス・アーノンクール指揮するウィーン・フィルと「皇帝ティトの慈悲」のセスト!を歌った。レッシュマン、ガランチャ、ボニーらとの共演は映像化されている。


バロックのオペラも十八番でグルックの「オルフェとエウリディーチェ」、ヘンデルの「アルチーナ」の騎士ルッジェーロ、「アリオダンテ」などを手がけてきた。
チューリヒ、ウィーン、ミュンヘン、ザルツブルク、パリ...。名舞台、名録音は枚挙にいとまがない。2008年以降「カルメン」、サン=サーンスの「サムソンとデリラ」のほか、「ドン・カルロ」のエボリ公女、「こうもり」のオルロフスキー、さらにバルトークの「青ひげ公の城」のユーディットを歌っている。


2014年秋にバーデンバーデンで録音されたロシア・オペラ名曲選(ムソルグスキー、チャイコフスキー、グリンカ、リムスキー=コルサコフほか)もカサロヴァの新境地を示す。ウィーン国立歌劇場宮廷歌手。


photo: Andre Springer


9月3日(土)10:00より第2次発売開始!


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