ズービン・メータ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

巨匠メータと“世界一の弦” 彼らだけが生み出せる響きがある!

6月14日（土） 10:00a.m.より 一斉前売開始

The Israel Philharmonic Orchestra Conducted by Zubin Mehta

　半世紀以上もの強い絆をもつ指揮者ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団（IPO）が、4年ぶりに来日します。
　メータとIPOの組み合わせはさまざまな意味でほかに類をみない特別な特徴をもっています。何よりも歴然としているのは、ともにしてきた時間の長さ。1961年の初顔合わせの後、メータは音楽顧問、音楽監督を経て、1981年からは終身音楽監督となって、このオーケストラを率いてきたのです。実に半世紀以上！　この時間の長さだけでも、世界中のオーケストラと指揮者で比肩するものはありません。さらに、その長い年月の間に、戦争や政治的な影響を免れることができない状況が幾度も訪れたことも、世界中の著名なオーケストラではなかったことでしょう。ひたすらに音楽への愛と平和を願う ーー メータとIPOの絆は、どんなに困難なときにも貫かれてきました。
　かねてから、IPOは“世界一の弦”と、その魅力が讃えられています。たしかに、その独特な音色は魅惑的に響きます。しかし、世界中のオーケストラの響きが“グローバル化”されつつある現代において、変わらぬ独自性をもっているという点では、IPOはもはや弦だけが魅力というわけではありません。「世界にはIPOより洗練された演奏を行うオーケストラはあっても、IPOのメンバーほど自発的に音楽を解釈し、自身が楽しんで演奏しているオーケストラは他にはないでしょう。楽しみ、喜んで演奏していることが聴衆にもそのまま伝わる、これこそがIPOの魅力なのです」と、かつてメータは語っています。
　IPOは、本拠地テルアビブにおいて、数々のシリーズ・コンサートを開催しています。本格的な重量級のプログラムを組んだものから、誰もが気軽に楽しめるものまで、年間120回以上におよぶ多彩なコンサートを開催しています。幅広いレパートリーの充実においても、長い時間をかけて向き合ってきたメータの功績は多大であったといえます。メータはIPOをフレキシビリティをもったオーケストラだと言います。「彼らは、アンサンブルだけではなく、音そのものに対しても、柔軟です。ブラームスにはブラームスの音とスタイルで、モーツァルトにはモーツァルトの音とスタイルで演奏することができるのです」と。
　今回は、ヴィヴァルディ、モーツァルト、そしてチャイコフスキーがプログラムされています。「4つのヴァイオリンのための協奏曲」は、ヴィヴァルディがヴェネツィアの女子養育院の音楽院で教師として指導していたころに数多く作曲したなかから選ばれた12曲による協奏曲集〈調和の霊感〉の第4番。“世界一の弦”の魅力が発揮されるには打ってつけの一曲です。モーツァルトの交響曲第36番は、軽やかさやモーツァルト特有の生き生きとした疾走感が魅力の作品。日本ではこれまであまり、メータ＆IPOに軽やかなイメージはなかったかもしれませんが、メータは交響曲はもとより、オペラでもモーツァルト作品で優れた手腕を発揮しています。また、つい先頃、メータは2015年のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを指揮することが発表されました。メータ＆IPOの音楽への愛が満ちたモーツァルトが期待されます。そして、チャイコフスキーの交響曲のなかで、第6番の〈悲愴〉と並んで人気を誇るのが第5番です。叙情的で流麗、メランコリックな旋律の美しさ、そして絢爛豪華なオーケストレーションがその理由といえますが、その人気は映画音楽や、第２楽章のメロディーがジャズ音楽「ムーン・ラブ」に用いられるなど、多彩です。メータとIPOによる奥深い響きは、この曲の味わいをたっぷりと楽しませてくれることでしょう。
　最後に、IPOと日本の結びつきについてもご紹介しておきましょう。IPOの本拠地であるテル・アビブのマン・オーディトリアムは、2013年5月に2年間の改修を終えて再開を迎えましたが、その音響設計を手がけたのは日本人でした。今回の日本公演は、音響の良くなった本拠地で磨きをかけたその演奏を、メータ＆IPOが日本の聴衆に披露してくれる機会でもあります。