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1981年の創設以来110年にわたるシカゴ響の輝かしい歴史は、この名門オーケストラの指揮台に立ってきた数多くの巨匠、名指揮者たちが物語っています。創設者のセオドア・トーマスの後を受けて、フレデリック・ストック、デジレ・ドゥフォー、と続いた後、第2次大戦後は、1947年からアルトゥール・ロジンスキー、さらに1950年からラファエル・クーベリックが主席指揮者を務めました。この時代の逸話として、ロジンスキーの後任にヴィルヘルム・フルトヴェングラーへの招請が検討されましたが、ナチスとの関係に疑念が起こり、反対運動などもあり実現しませんでした。 |
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シカゴ響が大いなる発展を遂げたのは、1953年から10年にわたり主席指揮者を勤めたフリッツ・ライナーの時代です。ライナーは団員を入れ替えて演奏水準の飛躍的な向上をはかり、優れたバトン・テクニックでシカゴ響を全米随一のトップ・オーケストラに育て上げました。絶妙なアンサンブルと完璧なテクニックは、驚異的なものであり、多くのレコーディングに今もその名演を聴くことができます。ライナー亡き後、後任の音楽監督には、フランスの名匠ジャン・マルティノンが就任し、多彩なレパートリーで活躍しました。 |
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そして1969年に音楽監督に就任したのが、当時ヨーロッパで名声を高めていた、ゲオルグ・ショルティです。彼はその個性的で明快な音楽作りに取り組み、強靭なアンサンブルと艶やかでパワフルなサウンドに磨きをかけました。マーラー、リヒャルト・シュトラウスなどの華麗なオーケストラ曲、ベートーヴェン、ブラームスなどの重厚で豊麗なドイツ音楽、さらに華麗なストラヴィンスキー、バルトーク、ラヴェルなど、実に多彩なレパートリーで、世界中の音楽ファンにオーケストラを聴く醍醐味を与え、オーケストラ音楽といえば、誰しもがまずショルティ=シカゴ響というほどまで人気を高めました。ショルティ時代には、1971年初の欧州ツアー、1977年初の日本公演が実現し、世界の音楽ファンを魅了しました。 |
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第2期黄金時代がショルティの手によって成されたとすれば、現在の音楽監督バレンボイムの活躍によって、シカゴ響は第3期の黄金時代を迎えているといえます。高齢のショルティ自らが、後継者として指名したのが、世界的に活躍していたバレンボイムです。1991年より音楽監督を務めるバレンボイムは、かつてライナーやショルティがつくりあげた輝かしいサウンドと高い音楽性にさらに磨きをかけてきました。ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、ブルックナーなどの伝統のドイツ音楽をはじめ、ベルリオーズ、ラヴェル、ドビュッシーなどのフランス音楽、チャイコフスキーやショスタコーヴィチなどのロシア音楽も積極的に演奏し、また欧米の現代作品にも意欲的に挑んでいます。世界レベルのソリスト級奏者が大勢いるシカゴ響は、精力的にエネルギッシュに音楽を生み出すバレンボイムの豊かな統率力のもと、ゴージャスで重量感と迫力に富んだ名演を繰り広げ、世界の音楽ファンから高い評価を得ています。 |
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