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今回の公演では東京バレエ団の輝かしい歴史を象徴する5作品を披露します。まず幕開けは、1970年の第8回パリ国際ダンスフェスティバルで大成功を収めた『レ・シルフィード』。世界から集まった観客を興奮の渦に巻き込み、日本のバレエの実力を一躍世界に知らしめた記念すべき舞台です。第2部は、東京バレエ団を愛する現代の巨匠たちの3作。——先鋭な美と感性の世界を生み出すキリアンが、東京バレエ団のソリストたちと共に創り上げた『パーフェクト・コンセプション』。東京バレエ団を“我が第2のカンパニー”と呼び、名誉芸術顧問も引き受けてくれたベジャールが、インドの神々に想を得て創った名作『バクチ』。そして、ダンサーとの濃密な繋がりを作品に反映するノイマイヤーが、深い信頼を寄せている斎藤友佳理と高岸直樹に特別に上演を許可した『椿姫』のパ・ド・ドゥ。「これはきみのバレエだ」ノイマイヤーは斎藤にそう語り、ハンブルクのワークショップで特別に踊らせた上で、この公演に送り出しました。最後を飾るのは、1982年に東京バレエ団が再び第20回パリ国際ダンスフェスティバルを席巻した『エチュード』です。バレエ・クラスの情景を多様に展開しながら、息をのむテクニックと壮麗な幾何学美をもって興奮を導くこの舞台は、パリ・オペラ座バレエ学校のベッシー校長や若き日のマニュエル・ルグリをも感嘆させました。その栄光の復活と未来を祝福する、壮大なフィナーレにご期待ください。 |
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【予定出演者】 |
プレリュード: |
斎藤友佳理(8月21日)/吉岡美佳(8月22日) |
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マズルカ: |
遠藤千春(8月21日)/大島由賀子(8月22日) |
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ワルツ: |
佐野志織(8月21日)/小出領子(8月22日) |
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詩人: |
後藤和雄(8月21日)/木村和夫(8月22日) |
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ショパンのいくつかのピアノ曲を用いた一幕のバレエ。1907年にマリンスキー劇場で「ショピニアーナ」というタイトルで初演された。ショパンの祖国ポーランドの色彩の濃い演出に改訂が加えられ、1909年、バレエ・リュスの初のパリ公演で現行の形となり、あわせて現タイトルに改められた。
月明かりに照らされた森。純白のチュチュをつけた空気の精たちが舞い踊る。特定の物語はなく、ただ幻想的なシーンが踊りで綴られる。ロマンティック・バレエの雰囲気を漂わせながら。後にシンフォニック・バレエ、アブストラクト・バレエなどの名前で定着する二十世紀のバレエへの橋渡しをした舞踊組曲でもある。
1970年、この作品をもって、第8回パリ国際バレエ・フェスティバルに参加。フェスティバルのオープニングを飾り、しかも金賞フォーキン賞受賞の栄誉に輝いた。東京バレエ団の実力を海外に知らしめた作品といえる。 |
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【予定出演者】 |
井脇幸江、吉岡美佳、飯田宗孝、大嶋正樹(8月21日、22日) |
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流れるような動き、ナイーヴな内面世界を描いた詩情にみちた作品を次々に発表し、現在もっとも注目されている振付家キリアンによる東京バレエ団オリジナル作品。キリアンが若いころダンサーとして在籍したシュツットガルト・バレエ団、現在芸術監督として采配をふるっているネザーランド・ダンス・シアター(通称NDT)以外のカンパニーに作品を振り付けたのは、この東京バレエ団の「パーフェクト・コンセプション」が初めてである。
逆さ吊りにされた樹木のオブジェ、舞台天井に吊り下げられた大きな天秤を思わせるような、ゆっくり旋回する照明塔といった抽象的な舞台装置。胎内音、カラスの鳴き声、グレン・グールドのうめき声の聞こえる「ゴールドべルグ変奏曲」といった、何やら不思議な雰囲気のある音。時には衣裳に、時には小道具にもなる変幻自在な四角い青いチュチュ。これら印象的な道具立ての中を男女2人ずつのダンサーが、細やかな配慮をもって現在の一瞬一瞬を踏みしめるかのように、微妙なニュアンスに満ちた踊りを淡々と演じる。
「パーフェクト・コンセプション」とは、“完全なる構図”と“処女懐胎”のふたつの意味をもち、またオランダの抽象画家モンドリアンの幾何学的な構図をイメージしたものであるという。 |
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【予定出演者】 |
斎藤友佳理、高岸直樹(8月21日、22日) |
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「白鳥の湖」「くるみ割り人形」のように、ノイマイヤーの作品には既存の著名なテキストに彼流の大胆な解釈を加えた作品があるが、「椿姫」もその一例。デュマ・フェスの原作を基にしつつ、マノン・レスコーとデ・グリュー(プレヴォー原作)などが登場して、愛の物語を繰り広げる。
今回、踊られるのは、この作品の最後のパ・ド・ドゥ。マルグリットの突然の失踪に傷ついたアルマンは、シャンゼリゼで偶然彼女と再会したとき、復讐のためにマルグリットの友人オランピアの気を引く。すでに死に至る病を患うマルグリットは、アルマンの部屋を訪ね、自分を苦しめる振る舞いはやめてほしいと懇願する。
1978年11月4日、シュツットガルト・バレエ団でマリシア・ハイデにより初演された。
昨年(2003年)秋、斎藤友佳理と高岸直樹がノイマイヤーより振付指導を受け、ハンブルグ・バレエ団が定期的に行なっているワークショップで初めて踊っている。東京バレエ団においては、今回が初演となる。 |
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【予定出演者】 |
上野水香、後藤晴雄(8月21日)/井脇幸江、古川和則(8月22日) |
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1960年代、モーリス・ベジャールは2度にわたるインドへの旅を契機として、かねたから関心のあったインド文化からその思想・芸術創造に大きな影響を受けた。「バクチ」(ヒンズー教で“親愛”を意味する)はその影響を色濃く反映した、ヒンズー教をテーマとし、ヒンズー音楽を用いた。3つの挿話からなる作品である。
全体は3つのパートから成る。最初は古代叙事詩「ラーマーナヤ」で有名な、ヴィシュヌ神の化身ラーマとその妻シーターの踊りで、白の衣裳で踊られる。2つ目はヴィシュヌ神のもうひとつの化身、若さと美貌、音楽の神でもあるクリシュナとラダーの踊りで、黄色の衣裳で踊られる。そして3つ目が東京バレエ団のレパートリーとなっている、シヴァ神と妻シャクティの踊りで、赤の衣裳で踊られる。 |
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【予定出演者】 |
吉岡美佳、高岸直樹、木村和夫(8月21日)
上野水香、木村和夫、後藤晴雄(8月22日) |
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「エチュード」は振付家ハラルド・ランダーの代表作のひとつであり、バレエの練習風景を描いたもので、チエルニーの練習曲によってバレエ・ダンサーの訓練とその進歩のさまざまな段階がつぎつぎに展開される。
この作品は特別なストーリーはもたないが、バレリーナが毎日、技術向上のためにおこなうレッスンを描いたものである。まず5人の少女が教師の前で、つぎつぎに足の五つのポジションをとり、プリエをする。ついでバーが置かれ、バーによる目常訓練になり、めざましいテクニックを織りまぜたソロやパ・ド・ドゥ、パ・ド・トロワやアンサンブルの踊りが加速度的に展開きれ、息つく間もなく緊張感が高まり、華やかなフィナーレに終わる。練習風景を通して古典バレエのテクニックを存分に披露する瀟洒な作品である。
「エチュード」はデンマークのバレエ作品中、国際的レパートリーとして最も広く知られた作品で、1948年1月15日、デンマーク・ロイヤル・バレエで初演され、1951年、1962年、1970年と三度ハラルド・ランダーによって改訂演出された。デンマーク以外では、1952年にパリ・オペラ座が上演して以来、欧米の主要バレエ団の多くがレパートリーに加えている。
東京バレエ団では、1982年にパリ・シャトレ劇場で行なわれた、第20回パリ国際ダンスフェスティバルでこの作品を上演しフィガロ紙に“わずか20年足らずで100年の伝統を持つヨーロッパ第1級のバレエ団の仲間入りを果たした”と最大級の賛辞が寄せられた。 |
※上記の配役は2004年4月20日現在の予定です。都合により変更になる場合がありますのでご了承ください。
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