ウィーン・オペラの精髄は世界一のオーケストラ!
ウィーン生まれの俊英ウェルザー=メスト率いる新体制で来日!
世界最高のステータスを誇るウィーン国立歌劇場では、昨シーズンからドミニク・マイヤー総裁とフランツ・ウェルザー=メスト音楽総監督、バレエ監督にマニュエル・ルグリを迎えたチームによるダイナミックなシーズン展開が注目を集めている。プレミエ(新制作プロダクション)の増加、ヘンデル等バロックオペラの充実など、新運営陣の打ち出す企画が大きな賛同をもって受け入れられているところなのだ。そのようなウィーン国立歌劇場の「サロメ」、「フィガロの結婚」、「アンナ・ボレーナ」の演目による今秋の来日公演はグルベローヴァ、フリットリ、シュロット、アルバレス等、スター歌手を揃えて、すこぶる魅力的だ。 9月初めから翌年6月末日まで、ほぼ300日間、オペラに限定しても50以上のレパートリーを毎晩日替わりで提供しているオペラハウスは現在、全世界でウィーン国立歌劇場をおいて他には無い。400年前にイタリアで誕生した音楽と演劇を統合した舞台芸術の一ジャンルとしてのオペラをアルプスの北側の諸都市で、いち早く導入したのがウィーンだ。ハプスブルク帝国による北イタリア統治下にあって、モーツァルトがミラノのためにオペラを書き、ロッシーニやドニゼッティがウィーンで活躍した。その伝統を受け継いで、現在もイタリア・オペラ上演に関しては本拠地、ミラノ・スカラ座に決して引けを取らないのは周知の通りだ。勿論、本来のドイツ・オペラではモーツァルトとはじめとしてワーグナーやR.シュトラウスで他の追従を許さない。一方、フランス・オペラ、チャイコフスキーやヤナーチェク等のスラヴ系の作品、さらにブリテン等のイギリス物もあわせて、現在、オペラ作品の全体をバランス良く網羅しているという意味で、これまた世界随一の充実度を誇っている。 この秋の日本公演で、世界最高の威信をかけたウィーン国立歌劇場のステージこそ、“オペラの真髄”として、これまた世界有数の見巧者が揃う東京で、その真価を発揮に違いない。 (音楽ジャーナリスト 山崎睦)
photos:Wiener Staatsoper / Michael Pohn